男性性と女性性のバランス

こんにちは、平です。

私たち人間の中には男性性・女性性というものがありますが、男性にも女性性が、そして、女性にも男性性がそなわっています。

たとえば、どんなにたくましくパワフルな男性にも、花を見て美しいと感じたり、夕日を見て切なくなったりするような心がありますよね。これも女性性の一つであるわけです。

一方、女性が「どんなことをしても、この子は私が守ってみせる」というような男前のエネルギーで行動したり、バーゲン会場でブルドーザーのようなパワフルさを見せたりすることがありますが、それは、女性の中にある男性性が発揮されているときといってもよいかもしれません。

私たちは、「自分は男性だから」、「自分は女性だから」とまるで自分に言い聞かせるかのようにしながら、男性は自分の男性性、女性は自分の女性性のエネルギーを引き出そうとします。

しかし、どうも、「男性性と女性性のバランスがとれている人ほど、よいパートナーシップをつくれるようだ」と私は考えているのです。

女性は、「もしも、私が男性に生まれたとしたら、こんな生き方をしてみたい」という人生を体現しているような男性に恋をすることが多いといわれます。

これは、彼女の女性性がかなり強くなり、男性性とのバランスが悪くなっているときに作られる物語といえるかもしれません。その少ない男性性を強化しようと、強い男性性を求めているともいえるからです。

男性の中にある女性性は、二つに分かれています。すなわち、男性が女性に望むことは、大きくは二つあるからです。

一つは、どんなに悪いことをしても、自分を受け容れ、許してくれる、“母親”や“マリア様”のような存在です。そして、もう一つは、ずばり、“セックス”です。

ところが、“母親”や“マリア様”と“セックス”は、まるで水と油のようなもので相容れませんから、男性の中では二つの女性性が戦っているような状況になります。

これによって男性たちが陥りがちなのが、嫁と姑のケンカが起きたとき、「この対立はどうしようもない」とあきらめてしまうという状況です。

母親とセックスのシンボルである嫁のケンカは、男性の心の中にある女性性の対立そのものです。

女性性がこの二つに分裂し、統合することなどありえないと思っていて、それを家庭内の嫁と姑の対立に投影してしまうわけですから、「うちの母親と嫁が和解するわけなどない」と感じてしまうのです。

一方、女性にとっての男性性のイメージもまた、自分を守ってくれる“父親”のような存在、そして、“セクシーな男性”の二つといえそうです。

その二つはやはり相容れがたく、“セクシーな父親”などというものは気持ちの悪いものと思われがちです。

だから、父親の男性性というと、強さ、包容力、厳格さといったイメージが出てくるんですね。

テレビや映画には、「おまえなんかに、うちの娘はやらん!」というガンコ親父もよく出てきますが、そんなふうに、「父親というものは、いつも私の彼と対立しているものだ」というような感覚を女性たちは抱きがちです。

しかし、実際にはほとんどそんなことは起こらず、娘が連れてきた相手に、「不肖の娘ですが、どうぞよろしくお願いします」と頭を下げる父親のほうが圧倒的に多いようです。

男性の多くは、「男は強くあらねばならない」と感じ、感動して涙することや、情を感じることを抑圧しようとします。そして、感情表現がとても下手です。

じつは、女性のみなさんが、感動屋で情にもろい男性を軽蔑するということはほとんどないはずなのですが‥‥。

また、一見、とてもかわいらしかったり、おとなしかったりする女性だったとしても、結婚後、ご主人に聞いてみると、「嫁コワイ!」とおっしゃることはよくあります。

どんな女性の中にも強さやたくましさはあり、男性も、ただかわいらしいだけ、奥ゆかしいだけではなく、そういった部分も女性には求めているということなのでしょう。

つまり、男性が自分の中に情の部分を受け容れ、女性が自分の中に行動的であることを受け容れることができたとしたら、とてもよいバランスが生まれそうなのです。

そもそも、男性よりも女性のほうが行動的だと私は前々から思っています。

また、繊細な感情を感じることは、じつは女性よりも男性のほうが上手である場合も多いようです。たとえば、美容師や料理人の世界で、多くの男性が活躍しているのもそれに通じるような気がします。

さて、みなさんはいかがですか?

自分の中にある男性性と女性性のバランスを、ときどき、チェックしてみてはいかがでしょう。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。