コミュニケーションの秘訣

こんにちは、平です。

日本人の恋愛がうまくいかないいちばんの理由をあげるとしたら、それは間違いなくコミュニケーションの問題といえるでしょう。

日本は島国であり、単一民族の国であり、言葉も文化もみな同じですから、「言わずともわかるだろう」と考えてしまいがちです。

グローバルな視点でいうと、そもそもコミュニケーションとは、民族、言葉、文化などがまったく違う人どうしが、一つの共同体で「いかにうまくやっていくか」ということがその土台になっています。

つまり、「違うのがあたりまえ」という前提があって、共通点を探していこうとしたりするわけですが、私たち日本人はついつい、「同じなのがあたりまえ」、「違うはずがない」と考えてしまうわけです。

日本は古くから農耕文化の国でしたが、昔は機械などありませんでしたから、お百姓さんにとっては共同作業が不可欠でした。また、現代のような交通手段はありませんでしたから、自分の村を離れるということはほとんどありませんでした。

その結果、一つの共同体で生まれ、同じような価値観をもって、同じような生き方をし、その共同体の中で死んでいく人が大多数であり、その中で、ものごとの違う見方や考え方をする人は、異端児と呼ばれたり、村八分にされたりしながら、排除されてきたわけです。

地方の人が進学や就職で東京に出てくると、標準語がしゃべれるようになるまでは、必要最低限しか言葉を発さないという話をよく聞きます。
世界各国、どこに行っても、臆することなく平気でしゃべっているのは関西弁の人だけだという話もあるほどで、やはり日本には、「表現しない」という文化、「自分を隠す」という文化があるようです。

だから、私たちはついつい、こう思ってしまうわけです。

「なんで、わかってくれないの?」

さきほども述べたとおり、コミュニケーションの基本とは、「わかってもらえないのがあたりまえ。それを、いかに理解してもらえるように表現するか」ということに尽きます。

ところが、私たち日本人は、「そこまで言わなくたって、わかるだろう?」と考えがちなのです。

外国に旅行したとき「助かるなぁ」と思うのは、表示などにマークが多用されていることです。
たとえば、『?』は観光案内所のマークです。その国の言葉が十分にわからなくても、マークならわかりやすいですよね。最近は、日本でもだいぶ導入が進んでいるようですが‥‥。

ロマンスの時代はどのカップルも、二人の絆にまだまだ自信がもてないので、二人の間にある“いっしょのこと”を一生懸命探し、それを共有し、安心していきます。
でも、重ねて言いますが、コミュニケーションでいちばん大事なのは、二人が“共有していない部分のこと”なのです。

また、女性の多くは、男性から誘われたとき、すぐに承諾してしまうと軽い女だと思われてしまうので、多少はもったいをつけたほうがいいと教えられたりします。

しかしながら、男女関係に奥手な男性の場合、相手の女性に少々もったいをつけられただけで、「自分はあまり好まれていないのではないか」と考えたりします。そして、「少しは押してきてもらいたい」という女性の気持ちとは裏腹に、さっさと撤退してしまったりします。

これでは、二人の関係がなにも始まりませんよね。日本人の得意な「いやよいやよも好きのうち」というのが、いうなればアダになって、好きなのかイヤなのか、よくわからなくなってしまっているわけです。

とくに恋愛初期のコミュニケーションでは、好きなのかイヤなのか、つまり、「YES」なのか「NO」なのかをはっきり言ったほうが、間違いが少なく、致命的なトラブルを招かずにすむようです。

たとえば、女性がよく言う「ちょっと苦手かも‥‥」は、ほんとうは「とてもイヤ」なときに使われる表現です。ところが、多くの男性は、「ちょっとなのか」とそのまま受け取り、「ちょっとぐらいのイヤなら、きょうは俺につきあえよ」とムリ押しし、大惨事を引き起こしたりしてしまいます。

コミュニケーションの最大の秘訣は「NO」をはっきり言うことだと、いつもみなさんにお教えしていますが、「好き」と「きらい」はとくにはっきり表現しないと、あとで大きなトラブルの原因になることもあるのです。

 

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。