こんにちは、平です。
先週の続きのお話をしていきましょう。
きれいなお母さんと比べ、自分には女性としての魅力がないと思っていた彼女。自分のことをまるで男の子のように扱い、生きてきたわけですが、友だちとの東南アジア旅行で女性性に目覚めたのです。
それをきっかけにおかあさんとの距離が近づき、美しい女性になることに喜びを感じた彼女は、それをビジネスにしてみようと考えました。いうなれば、「昔の自分に、女性としての喜びをあげたい」と思ったわけです。
兄3人の4人きょうだいの中で、彼女は長年、「なぜ、自分だけが女の子なのか?」という強い不満をもっていました。
「自分が男だったら、おにいさんたち同様、パパの会社を引き継げたのに‥‥」という理不尽な思いもあり、ずっと「女性はつまらない」と思っていたのです。
そんな以前の自分に対し、「女性って、いいわよー!」と教えるかのようなビジネスを始めたわけです。
彼女には、おしゃれやお化粧にまったく興味がないという女の子の気持ちが手にとるようにわかりました。だって、それは、少し前までの自分なのですからね。
同時に、彼女には、「おかあさんはずっと、私のことをこういう目で見てくれていたんだな」ということも理解できるようになってきましたし、この美容系のビジネスを始めると、おかあさんとの距離もますます近づきました。
そして、彼女が最後に行きついたこと、それは、「女性をもっとも美しくするのは、恋である」ということだったのです。
そうして、クライアントとして私のところを訪れたわけですが、彼女がとりわけ強く反応したのが、私のこんなひとことでした。
「きみと同じようなことを考えている男性も、きっと多いと思うよ」。
最近になって、「男の子のように生きてきた自分に、女性として生まれた喜びを教えてあげたい」と思うようになったのと同じように、「男性にも、男として生まれてきた喜びを教えてあげたい」という思いが彼女の中に湧いたのです。
それは、「男性を育ててみたい」という欲求でもありました。
パパッ子として育った彼女は、「男性とは、いつでも私のわがままを聞いてくれる偉大な存在」、「私がたよるべき存在」だと考えてきたのですが、このときから、「おとうさんが私を甘やかしたり、大事にしたりしながら育ててくれたように、私も男性を育ててみたい」と思うようになったのです。
彼女が選んだのは、一つ下の男性でした。理系で頭がよく、IT関連の企業に勤めるサラリーマンです。
その彼が、なぜか昔の自分のように、「男性としての自分に魅力を感じたり、自信をもったりすることができていない」と彼女には感じられたのです。
彼女は、おとうさんが自分にしてくれたように、全面的に彼を認め、ほめ、包んであげ、そして、おかあさんが自分にしてくれたように、彼に似合う服を、スーツからシャツ、ネクタイ、靴にいたるまで、すべて選んであげました。
彼がえらかったのは、そんな彼女のいうことをぜんぶ聞いたことでしょうか。
かつての彼女と同じように、彼のセンスはあっという間に磨かれ、会社の同僚たちからは「いったい、どうしたの?!」と言われるほど変わりました。
同時に彼は自分に自信をもつこともできるようになり、そして、間もなく、彼女と彼は結婚することになったのです。
彼女はずっとこう言っていました。
「昔の私は、結婚するなら、相手はたくましくて、すごくたよりになるパパ・タイプの男性だと思っていたの。でも、私の王子様はそれとはまったく逆の人だった。彼と出会えたから、私は昔、パパが私を愛してくれたように、彼を愛することができた。そして、それによって、パパの気持ちやありがたみが心から理解できるようになったのよ」
そして、彼女はこう続けたのです。
「幸せになるには、発想の転換が必要ね」。
もし、いま、あなたが幸せでなかったとしたら、それは、まったく違うことを考える必要があるということなのかもしれません。
あるいは、あなたがもしも、パートナーのタイプにこだわっているのだとしたら、その裏には、「コンプレックスにしがみついている私」が隠れていることも多いようですよ。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!