パートナーシップの問題は私の心理パターンを教えてくれる(4) ~自己開示をすると愛は伝わる~

私たちは「人に心配をかけること」で傷ついてしまい、これが深層心理で私の行動を制限していることもあるようです

私達の心理学でいう「自立」~自分の気持ちを隠し、誰の手にも借りない生き方~。もちろん私達が大人になるプロセスで、この自立することが「自信」を高めることもあります。
しかし、この「自立」は、誰の手も借りない生き方以外にも「私がいかに傷つかないか」という生き方とも考えることができるのですね。
それぐらい私たちは「人に心配をかけること」で傷ついてしまうこともあり、これが深層心理で私の行動を制限していることもあるのです。

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例えば、あさおさん(男性・仮名)の話。

彼は会社員でご家族もいらっしゃる男性。ただ彼は健康診断の結果、病を患い入院が必要であることが判明しました。

あさおさんは自分自身がショックを受けつつも、しかし奥さんやお子さんに心配をかけたくない一心で「自分が病気を抱えている」ということを家族にお話になりませんでした。

言いたくともあまりに申し訳なく、言いだせなかったのです。きっと病気が治れば問題は解決すると考え、一人で入院し心配させまいと考えていました。いつか彼が入院する時にはバレてしまうことであったとしても。

そして、彼が一人で入院準備を進めている時、ある時、家に届いた書類を見た奥さんに彼の病気がバレてしまいます。

「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」
「私はこれからどうしたらいいの?」

奥さんはご主人が病気である事実にショックを受け、また「私にちゃんと話してくれなかったこと」にひどく傷つき、ついご主人に詰め寄ってしまいます。

「・・・だから言いたくなかったんだ」

彼はそう吐き捨てるように奥さまに伝え、それっきり夫婦の会話がなくなったそうです。

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彼はそもそも生真面目な性格で、人に心配されるぐらいなら自分のことを話さない、そんなパターンを持つ人でした。

だから、たとえ辛い状況に陥っても、これまではかなりムリをして、自分を強く見せようとしていたようです。

私達の心理学でいう「自立」~自分の気持ちを隠し、誰の手にも借りない生き方~を正しいと信じていたのです。これが彼の心理パターンでした。

もちろん私達が大人になるプロセスで、この自立することが「自信」を高めることもあります。

しかし、この「自立」は、誰の手も借りない生き方以外にも「私がいかに傷つかないか」という生き方とも考えることができるのですね。

それぐらい彼にとって「人に心配をかけること」で彼は傷ついてしまうような人だったようで、これが深層心理で彼の行動を制限したのです。

『誰かの迷惑になるぐらいだったら、一人で問題を解決する』

その態度は確かに彼にとっての誠実さと認識されるものでした。

しかし、傍にいる奥さまからすれば「不信感」を向けられたと感じる出来事だった。そこでこのご夫婦は衝突してしまったのです。

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その後、入院生活の不安の中で色々と考えた彼は、少しだけ自分の気持ちを話すことになったのです。

ある時、彼の病院にやってきた奥さまに、「心配しないでほしい、それが一番嫌なこと」といい続けていた彼が、ぼそっと「それでも、来てくれると安心する、ありがとう」と小さな声で奥さまに話したのです。

それまで「私は一緒にいても信頼されていない、必要とされていない」という目で奥さんは彼を見ているので、奥さんの見方と彼の「心配されることが嫌だ」という言葉は、「拒絶」「不信」という意味でしかありませんでした。

しかし、彼の内面に「私を必要としてくれている」一面を見ることができた奥さまにとって、奥さまの思いと、ご主人の思いが、「支え合い求め合っている」という「信頼」「つながり」となり、それから奥さまの不安も随分軽減したそうです。

彼が自分の気持ちを隠さず表現することで、彼の気持ちが伝わり、その気持ちは奥さんに「彼を分かりやすく」したのです。

それは彼が「そもそも生真面目に生きている本当の意味」を伝えたとも言えますね。

それまで、生真面目であるがゆえに「人に心配などかけたくない」と自分の思いばかりにしがみついていた彼。
彼が自分の気持ちを表現していない時、その生真面目さは奥さまにとって「私を求めていない人」のように感じさせていたのです。

しかし、彼が「自分の気持ちを受け入れ、表現」したとたん、彼の生真面目さは「あの人が私に気持ちを伝えてくれる」という信頼、信憑性として効果を発揮したとも考えられます。

 

人はやはり自分の思うように愛そうとする生き物のようです。

しかしその「私のやり方」を貫くと、どうしても自分を表現することを忘れ、傍にいる人に「私の気持ちを的確に伝えてない」ことも起きるようですね。

しかし、自分の気持ちを認め、隠さずに表現することができると、ちゃんとその想いは伝わり、私の生き方・やり方をも味方につけることができるようです。そこに「自己表現の効果」があると言えるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

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年間400件以上の面談カウンセリングを行う実践派。「男女関係向上・男性心理分析」「自信・自己価値向上」に独特の強みをもち、ビジネス・ライフワーク発見なども対応。明快・明晰かつ、ユーモアと温かさを忘れない屈託のないカウンセリングは「一度利用するとクセになる」と評され、お客様の笑顔が絶えない。