こんにちは、平です。
前回に引き続き、今回も「失恋」というテーマで続けていきましょう。
これは、私どもの古い受講生の話です。
彼女は大失恋をして、私どものセミナーにやってきたのでした。
相手は会社の先輩で、1年半ほどおつきあいしたそうです。
彼はモテるタイプで、とても魅力的なのですが、浮気性であり、かなりわがままなところもあり、彼女はふりまわされた挙げ句、捨てられたというような状況でした。
その間、多くの人が、「そんな彼はやめときなさい」と彼女に言ったのですが、彼女の耳には届きませんでした。
さらに、失恋後も彼を想うこと4年。彼が別の女性と結婚し、それによって、彼女のはかない希望は消え去ったのです。
そのころには、彼女の生きる目標は「彼と結婚すること」だけになっていたので、ほんとうにたいへんな状況になってしまったわけです。
それから半年、多くの友人やカウンセラーからさまざまなサポートを受け、彼女はようやく次の人生を歩もうと決めることができました。
そして、新たな就職先を探していたとき、とある小さな求人に目を留めたのです。それは、前の会社で二つ年下だった後輩の男性が、独立して始めた会社の求人でした。
じつは、あの彼に熱中し、おつきあいをはじめたばかりのころ、彼女はその後輩から告白され、「彼がいるから」という理由でふってしまったという経緯がありました。
懐かしさもあり、彼女はその会社に就職うんぬんということはさておき、その彼に連絡をとることにしたのでした。
それは、ただの思いつきだったのですけれども‥‥。
ビックリしたのは、彼のほう。じつは、その彼は、彼女にふられたあと、まさに、彼女が先輩の彼にふられて味わったような地獄を味わっていたのです。
酒に溺れ、女に溺れ、会社も辞め、そして、ようやく、もう一度、人生をやりなおそうと会社を作ったのだそうです。
その会社がそれなりに軌道に乗り始めたとき、そもそもの原因だった彼女とふたたび出会ったのです。
なにげない気持ちで連絡し、久しぶりに会うことになった彼女ですが、「この会社を作るに至った、恩人の一人があなたです」という言葉から始まる彼の話を、リアルな実感をもって聞くことができました。
それは、つい先日まで、彼女自身が苦しんでいたこととまったく同じだったからです。
「私はなに一つ気づかないまま、どれだけ彼を傷つけていたんだろう‥‥」
後日、彼女はなにを思ったのか、この彼を私のもとに連れてきたわけです。
その彼に、私がしたのは、心より感謝するということでした。
「あなたも彼女と同じように苦しんできたのなら、彼女と同じように、
何度も死ぬことを考えられたでしょうね。思いとどまっていただいて、
ほんとうに感謝します」
だって、彼が生きていてくれたおかげで、彼女は運命の人と出会うことができ、そして、いま、まさに結婚しようとしているのですから。
もし、あのとき、彼が自分を信頼せず、命の光をみずから消していたとしたら、おそらく、彼女の闇はいまだに続いていたことでしょう。
この奇跡的な出会いのあと、二人はものすごく情熱的に愛しあいました。
どのぐらい情熱的だったかというと、結婚式まで出産が待てなかったほどなのでした。
二人はいまも幸せな結婚生活を送っているのですが、あの闇の中では、おたがいに相手の救世主であったという事実には気づくことはありませんでした。
いま、失恋のど真ん中で苦しんでいらっしゃる読者のみなさんにお伝えしたいことは、間違いなく、あなたはだれかにとっての救世主であるということです。
あなたが、いま、真実の人とめぐり会えず、苦しんでいるとしたならば、あなたの真実の人も、いま、まさに闇の中であなたを探しているのです。
暗闇の中では、あなたという輝きこそが、あなたのパートナーを救うことになるのです。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!