他人の失敗について

相談者名
さとし
ミスをしてヘラヘラしている(ように見える)人にイラつきます。
自分がなかなか切り替えられなかったり、ずっと引きずっている性質なので、ミスをしてもヘラヘラしている人にすごくイライラします。
ここのHPや、カウンセラーの方々のブログを読んで、これがたぶん自分がやりたくてもできないことをやられていてそれをねたんでる、自分の考えを押し付けているのだろうとは思いました。でも、どうにもイライラがとまりません。
たぶん、見るからに落ち込んでいて、見た目からもすごくショックを受けていて、反省しているのがわかれば自分は満足するのだと思います。
正直に言ってこんな自分は嫌です。もっと広い心で人と接したいです。
でもできません。自分の心との折り合いのつけ合い方がわかりません。
どうしたらいいでしょうか。
カウンセラー
大塚亘
さとしさん、はじめまして。

今回担当させていただきます、大塚亘と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

さとしさんの文章を拝見して、私なりに、さとしさんのイライラ感、自己嫌悪のようなものが、
よく分かる気がいたします。なぜなら、私自身も、昔は同じだったからです。

昔の私は、自分のルールというものをたくさん持っていて、例えば、

「人間はしっかりしなければならない」
「人間は間違いを犯してはならない」
「人間は真面目でなければならない」

と思い込んでいました。

しっかりしていること、間違わないこと、真面目なことは悪いことではないので、そういう
考え方を持つこと自体は、悪いことではないと思います。

しかし、これらのルールが自分の中で「絶対的な存在」になってしまうと、人間は、とても
生きづらくなってしまいます。

たとえば、間違わないことは悪いことではないですが、そもそも

人間は、ミスをするし、間違いをしてしまうもの

なのです。

さとしさんも、頭では、「人間は完璧ではないので、うっかりミスをしてしまうものである」
ということは、理解できると思います。

しかし、いくら頭でそう思っていても、さとしさんの無意識が「人間は間違ってはならない」、
「それは絶対だ」と思っていると、相手のミスを許すことができなくなってしまいます。

自分が「絶対的なルール」と思っているので、それを破って、しかもヘラヘラしている人を
見たら、当然目につき、ムカつくわけですね。

しかし、もっと苦しいことは、さとしさんは気づいていらっしゃると思いますが、

自分がミスをした時に、とてつもなく、自分を責めてしまう

ということです。自己嫌悪になり、自己攻撃をしてしまいます。これは、とても苦しいことです。

しかも、残念ながら、さとしさんも人間なので、完璧ではありません。間違ってしまったり、
うっかりミスをしてしまうこともあるはずです。

>ここのHPや、カウンセラーの方々のブログを読んで、これがたぶん自分がやりたくても
>できないことをやられていてそれをねたんでる、自分の考えを押し付けているのだろう
>とは思いました。

さとしさんが楽になるように、あえて書きたく思いますが、さとしさんのこの自己分析は、
正しいです。

頭では、人間は完璧ではないということは、さとしさんは十分理解しています。でも、
さとしさんが、ご自身に「適当」とか、「そこそこ」とか、「ある程度」というような完璧
ではないことを、ご自身に許していないのかもしれません。

もうそうだとしたら、その「完璧ルール」を他人に当てはめて、それが出来ない他人を攻撃
してしまいます。

そして、もっと問題なのは、同時に自己攻撃もしてしまっているのです。ですから、人間は、
そのような自分自身で設定したルールがあればあるほど、生きづらくなってしまうのです。

>たぶん、見るからに落ち込んでいて、見た目からもすごくショックを受けていて、反省
>しているのがわかれば自分は満足するのだと思います。

これも、さとしさんが楽になってほしいという私の願いから、私の本心を書きますね。

多分ですが、うっかりミスをしてしまった他人が、ものすごく落ち込んでいて、反省して
いたら、さとしさんは、うれしいですか?

「やった!そうだよ、人間は、絶対に間違ってはいけないんだ。完璧でなければ意味が
ないんだ。だから、ちょっとしたミスでも大いに反省しなければならないんだよ。
もっと反省しな!」

「あ、今俺って、すごくいい気分!最高!だって、うっかりミスをしたやつが激しく
落ち込んでいるんだから。こんなにうれしいことはないよ!楽しいなあ!」

こんなふうに思いますか?多分思いませんよね。

多分、見るからに落ち込んでいて、見た目からもすごくショックを受けていて、反省して
いるのがわかれば、さとしさんと同じルールを持っていて苦しんでいる人間を見ている
わけですから、いつも、さとしさんが完璧ではない自分を責めて苦しいのと同じで、
相手の苦しさを感じて、嫌な気分になると思いますよ。

>正直に言ってこんな自分は嫌です。もっと広い心で人と接したいです。

こう書いてくださっているということは、私が、多分さとしさんは、いつも自己攻撃して
いると想像したことは、当たっているのかもしれません。そして、自己攻撃はもちろん
嫌ですよね。

完璧でない自分を自己攻撃しているということは、完璧でなかった誰かが、過去にいた
はずです。一般的には、親が多いですが、親でない場合もあります。

そして、その完璧ではなかった誰かに対して怒りを持っているので、自分が完璧になろうと
しますが、人間ですから完璧は無理なので、結局、完璧ではない自分自身にダメだしをして
しまうのです。

その完璧ではなかった誰かを許すことも楽になる方法の一つですが、まずは、やりやすい
ご自身から、完璧ではないことを、自分自身に許してあげてほしいのです。

とはいっても、頭の中で「完璧でないことを、私は自分に許します」と宣言しても、劇的な
効果は得られないかもしれません。

人間の心は、頭で考える顕在意識が3%前後、無意識が97%前後と言われています。

ですから、「人間はミスをするものである」という知識を顕在意識で知っていても、人間は
完璧でなければならないと無意識に思っていたとしたら、無意識の完璧ルールのほうが
圧倒的に強いわけです。

そして、ミスをしてヘラヘラしている人を見ると、オートマチックにムカついてしまいます。

ですから、さとしさんの97%の無意識の領域に、

「人間は完璧ではない、完璧でなくてもいい」

という思いを、少しずつ、少しずつ植え付けていってほしいのです。

具体的には、意識して、このようなことをしてみてください。

「手を抜く」、「サボる」、「頑張らない」、「気を使わない」、「休む」

もちろん、仕事など、実際にサボってしまったら問題が起きてしまうというものも
あるでしょう。

でも、さとしさんの実生活の中で、今までのやり方を変えて、頑張らないで、適当に
やるとか、思い切ってやめてしまう、休んでしまうなど、力を抜いて、いい意味で
手を抜くことも、なにかできるのではないでしょうか。

そして、手を抜くことをたくさん実生活の中で実践していただいて、さとしさんの体感として、
つまり無意識として、完璧ではないことを徐々に、徐々に許していってあげてください。

もし、うまくできないようなら、ぜひカウンセリングも使ってみてくださいね。

読んでくださり、ありがとうございました。

大塚亘

この記事を書いたカウンセラー