イラクから帰国後の日々

 

相談者名
ピンクパンサー
はじめまして。私は一時期、国際復興支援でイラクに派遣されてたものです。先々週の月曜日(7月3日)に発売された週刊誌「週間現代」に掲載された、帰国後の隊員達のその後に関する記事が出てました。

その記事を読んでから、落ち着かなくなったので、少し相談させていただきたいと思いました。

派遣中には、強烈な緊張感やストレスにさらされ、時には砲撃にあい、帰国後もその時の記憶にさい悩まされてます。特に、わが国は長年参戦経験がないので実際の砲弾の爆発音とかは、初めて経験するものばかりでした。

日本に戻ってから、平穏な生活になじめないものもいれば、自ら身を絶つものもいました。私が派遣された業務も復興支援で、現地の施設や道路の復旧工事中心でした。確かにその通りです。

戦闘に参加せず、1日あたりの高い危険手当でラクして大もうけをしたように嫉妬されるものもいましたが、実際は大変危険な想いをして、いつ殉職してもおかしくない危険な状況の中にいました。

死と隣り合わせの業務でした。日本の土を踏んだ時は、ホッとしましたが、帰国後抱え込んで誰にも言えず、対人関係がおかしくなったものもいます。

帰国後の治療として、病院とか、心理士のカウンセラーさんにも聞いてもらいましたが、いまひとつスッキリしません。その時の記憶を思い出して、苦しくなる時もあります。あれから時間もかなりたつというのに。

昔、湾岸戦争に参加した兵士の方が、除隊後に、戦場での心的ストレス障害・PTSDのような、ガルフウォー・シンドロームで苦しむケースがありましたが、似てるような気がしてなりません。

カウンセラー
向井康浩
ピンクパンサーさん、はじめまして。
向井康浩と申します。御相談ありがとうございます。よろしくお願いいたします。気候・言葉・風習・時差など、あらゆるものが日本国内にいる時とは違う海外での、イラクでの国際復興支援業務。私は、ピンクパンサーさんが今回おっしゃっておられる「週刊現代」さんの記事を読んでないので、それに関してはコメントできませんが。
それは、ラジオ・テレビ・インターネット・新聞・雑誌などの報道で知る、国内にいる私たちの想像をはるかに超えたものなのでしょうね。

いつ殉職されてもおかしくない、危ない中でのお仕事、とても大変だったんじゃないでしょうか?
ピンクパンサーさんの御尽力に敬意を表したいと思います。

さて、ピンクパンサーさんが帰国後、日本に戻ってから復興業務に関して、一番痛感されたことは、どんなことだったんでしょう?

>1日あたりの高い危険手当でラクして大もうけをしたように嫉妬されるものもいましたが、実際は大変危険な想いをして

>日本の土を踏んだ時は、ホッとしましたが、帰国後抱え込んで誰にも言えず

「あの現地での怖い出来事のひとつひとつは、実際に行った者にしかわからない現実だ。」

「周囲の人は何も知らないからしょうがない。でも、偏見や興味半分で面白がって聞いてくるものには不快感を覚えた。」

ピンクパンサーさんのまわりの人たちの無理解に、強い怒りや憤りがこみあげてきた。

イラクの人たちのために、そしてこれからも世界の中で日本が生きていくために、力になれることは一生懸命やろうと、勇ましく出かけた。

現地の方全員が、歓迎してくださったわけではない、そんな中、危ない状況も省みず、自らを厳しく律し、恐怖心も超えて、やれるだけのことは精一杯やってきた。

大きな仕事を終えて、せっかく無事に帰ってきたのに、なのに、私がやってきたことには、何の意味もなかった、って感じておられないかな?

そんなことはありませんよ、ピンクパンサーさん。

>昔、湾岸戦争に参加した兵士の方が、除隊後に、戦場での心的ストレス障害・PTSDのような、ガルフウォー・シンドロームで苦しむケースがありましたが、似てるような気がしてなりません。

ガルフウォー・シンドーローム(湾岸戦争症候群)?

お医者様や(臨床心理士?)心理士カウンセラーさんの診察や治療の診断でしょうか?もちろん私達はそれを否定したりはしません。今回のイラク戦や戦後駐留でも、従軍された多くの方が似たような感じで苦しんでおられるとか(誤爆や検問で、戦闘に参加しない民間の方を負傷させて、帰国後良心の呵責になやまされたり、とか、聞くことはありますが)。

そんな中で、ピンクパンサーさん、私がきづいてほしいことはね。
あなたのやってきたことが、決してムダではなかったと感じられるようになった時、あなたがラクになれるんじゃないかな?って。

もちろん今は受け入れられないかもしれません。
ええ、それでもいいんですよ。

あせったり、急ぐ必要はないと思います。

あなたの涙と汗が、誇りと勲章に変わりますように。
あなたの悲しみと声にならない叫びが、喜びに変わりますように。

そして、末代まで胸を張って暮らせるようになってみませんか?

そんなための応援やサポートをしてさしあげられたら、と思います。
派遣中にあなたを支えたり留守を預かった方たちのためにも。

国際復興支援業務が拡大すると、今後こういった御相談は、もしかすると増えるのかもしれませんね。

もし、私どもでよろしければ、もっと詳しいお話を聞かせてください。
そして機会があれば、直接お会いしましょう。

それでは失礼いたします。

この記事を書いたカウンセラー

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