両極端な気持ち

 

相談者名
いちごうさぎ
40歳、結婚7年目、子供なしの正社員です。
元々虚弱体質で、タフなタイプではありません。
短大卒業後、ベンチャー企業や、仕事が厳しい会社でずっと働いています。
仕事にはこだわりがり、どの職場でも「仕事ができる」と一定の評価を得ています。
性格は、友達からは「真面目で繊細」と言われます。
26歳の頃、向かない仕事で限界を感じていたことと、プライベートでのダメージがあり、1年近くうつ状態で通院したことがあります。
常に努力していないと「次がない」と不安になり、今まで来た感じです。
子供も欲しいし、家庭も大事にしたいので、結婚したら家庭第一、仕事は第二でゆったりとした気持ちで働きたい、当初は思っていました。
新婚時代に厳しい職場を退職し、アルバイトとして企業に転職しました。
しかし、仕事のできない上司や同僚にイライラし、「私はアルバイトだから」割り切ろうと思ってもできず苦しみました。
入社後すぐに会社からの強い要望で、結局、正社員になってしまいました。
春頃から上司のパワハラに合い、夏に強いストレスによる体調不良で1ヶ月休職しました。
元々、今の職場の人間関係は非常に悪いので、国家試験に合格したことをきっかけに、転職しようと思っています。
この資格を活かしてバリバリ働きたい気持ちと、体がついてこれるかの不安、
不規則な主人の生活をもっとサポートするためにパートで働きたい気持ちと、第一線を降りると、年齢的にもう戻れないことへの悔しさを我慢できるか、と両極端な気持ちがいつも交差し、疲れてしまいます。
主人はとても優しく、家事もやってくれて、私の行きたい道を応援してくれます。夫婦仲はとても良いです。
自分の気持ちとどう折り合いをつけて進めばいいのか、アドバイス願います。
カウンセラー
下村ひろみ
いちごうさぎさんへ

この度はご相談をお寄せいただきましてありがとうございます。
担当させていただきます 下村ひろみ と申します。
お悩みの解決に向けご提案をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

いちごうさぎさんは短大卒業から10数年の間、厳しいお仕事をずいぶんこなしてこられたのですね。
うつ状態やパワハラでの強いストレスを受け、どれ程ツライご経験だったのだろうかと思います。
本当にこれまで十分過ぎる位に頑張ってこられましたね。
頑張ったいちごうさぎさんといちごうさぎさんの体を優しく労わってあげて欲しいと思います。

常に努力をしつづけながら厳しい職場で働き続けるというのは明らかにハードワーク状態だったと呼べそうですね。
かと言って、ゆったりとした気持ちで働く事、アルバイトと割り切ることが出来なかったのですね。
ハードワークに陥ってしまうには必ず理由がありますからね。原因を見つけていきましょうね。

○一生懸命働くことで手に入ったものとは一体どんなものだったと思われますか?

これまでは評価されたり、正社員として会社に必要とされるということがありましたね。
とても素晴らしい実績を残されたからこそだと思うんですよ。
ここを達成出来たことに自信を持ってくださいね。

しかし心の奥では「努力したから評価された。正社員になれたんだ。努力をやめれば誰からも認められなくなるのではないか」という不安を感じていませんか?
まるで厳しい仕事をこなしてこそ自分の存在価値あるかのように。
仮に仕事が自分の存在価値だとすれば、それを失ったら自分は何も残らないと感じてしまいそうですからね。

もし良かったら次の質問に直感で答えてみてくださいね。

○いちごうさぎさんは認められたい人がいるとしたら誰にだと思われますか?
○負けたくない人がいるとしたら誰にだと思われますか?

過去に誰か認めてもらいたい人がいたけど、認めてもらえなかった。
だれかに競争で勝って打ち負かしたいのではないかと私は想像しています。
そして問題の本質はこの辺にあるのかなと感じました。

揺れ動く自分の気持ちにどう折り合いをつけたらいいのか?というのが今回のお悩みですね。

両極端な気持ちとは・・・
・資格を生かしてバリバリ働きたいが、体がついてこれるか不安
・ご主人をもっとサポートするためにパートで働きたいが、一旦降りると第一線に戻れなかった時に悔しい

いちごうさぎさんがこのままではダメだ。変わりたいんだという気持ちがここから感じられます。
ご相談内容を読ませていただくと、体に負担をかけない楽な道を選択したいようですね。
しかしある感情が邪魔をしてそれを自分に許せないのですね。

その感情とは「不安」と「悔しさ」です。
いちごうさぎさんの中には2つの感情が揺れ動いているようですね。

不安を感じたくないから、頑張り続ける
悔しさを感じたくないから、勝ち続けたい

頑張り続けることで「不安」を、勝つ事で「悔しさ」という感情を遠ざけることは出来ます。
しかしこれまでのやり方では感情をまぎらわしているだけで2つの感情が消えてくれる訳ではないんですね。
この感情から逃げてもどこまでも追いかけられるような感じといったらいいでしょうか。

この問題から抜けるカギは、
この嫌な感情とあえて向き合うことなんですね。

向き合うってどういうことかというと過去に傷ついた感情を十分に感じてあげること。
「あんな事されて悲しかったんだ~。あの時は寂しかったんだな~。」等の、不安や悔しさの下に隠れている本当の感情に気付くことなんです。

感じ切ってあげることで消えていくんですね。
これまで蓋をしていた感情が気付いてもらいたくて問題を作っているんだとご理解くださいね。
まずはじっくりとここに時間をかけて取り組んでもらいたいと思うんです。

色々な出来事が思い浮かんでくるはずです。
それを全部言葉として吐き出して、いっぱい泣いて、涙と一緒にスッキリするまで話してくださいね。

そしてだんだんと心にゆとりが出来た頃、
次にやることは誤解を解く事です。

過去の何らかの出来事からこの感情が生まれ、未来はきっとこうなってしまうという観念(思い込み)が出来上がってしまったはずです。
このネガティブな観念が誤解であることが解ければこの感情から抜け出すことは可能です。

○第一線を退いたら、自分がどうなってしまうような不安を感じますか?

いちごうさぎさんの答を聞くことができないので私の想像でお答えするとすれば、
「弱くなる」とか「負けてしまう」に関する感覚ではないかと思うんです。
弱さを嫌って強くなろうとしている。
厳しさに負けてしまったら悔しい。

これは強い自立心を持った方の一般的な心理なんですね。
自立とは子供時代に傷ついた度合いだけ、「誰の力も当てにせずに強くなろう」とします。
自分の甘さや弱さを嫌って頑張ります。

殆どの大人は成長するためのプロセスとしてここを通ります。
その結果困難を乗り越えられたり、出来なかったことが出来るようになったりと、利点はたくさんあります。

しかし傷ついた度合いだけ頑ななまでの強い自立心が芽生え、その結果問題が生じてしまうことがあります。

人に頼ることを嫌い、出来ないことがあると自分を許せなくなります。
何でも自分でやり遂げなければならない。それ以外に道はないとしたら頑張っても終わりがないレースみたいな状態に陥ります。

仕事の出来ない上司や同僚にイライラすると書いてありますが、彼らの中に弱さや甘さが見えてしまうからなんですね。
自分の中に同じ要素があると認められない分だけ、彼らの弱さや甘さを責めたくなってしまいます。
そして自分が弱さや甘さを出したら同じように責められるのではないかという怖れを感じてしまいます。

何でもひとりで抱え込んでしまうと、周りとの人間関係が上手く築けません。
どんな問題や困った事が起きても誰にも吐き出せないとしたらとてもツライですよね。

負けたら終わり、弱くなったら終わりと思い込んでしまうところが実は誤解であることに気付くと次のステップに進むことができます。
心理学の言葉では相互依存のステージと呼びます。

その為には自立心が強すぎるいちごうさぎさんが再度誰かに「依存する」ことが必要なんですね。

いちごうさぎさんが何よりも嫌だと思うことかも知れません。
それをする位なら死んだ方がましだと思うことかも知れません。
それ程までにやり方を変えることがいちごうさぎさんに求められているんですね。

一人で頑張るのではなく、「助けてもらう」「人に頼る」ことにもう一度チャレンジすることをご提案したいと思います。

自分が得意なことは自分でやり、自分が出来ないことは誰かにお願いすることなんです。

子供時代に誰かにお願いしたのに拒絶され傷ついた経験があると、ここをチャレンジすることにはとても勇気が要ると思うんです。
これをやると更に弱くなったような嫌な気持ちが湧いてくるかも知れません。

しかし人間だれしも勝ち続けることは不可能ですし、強いだけでは生きられません。
弱さを認められることが成熟さ、大人の女性としてのしなやかさになるのではないでしょうか。
大切なのは勝つことでも強くなる事でもない、幸せになることなんです。

「未来への不安」や「過去での悔しさ」がない状態で「今、どうしたいか?」で選択をされると、いちごうさぎさんらしい生き方が見つかるはずです。

いちごうさぎさんの心がうれしいと感じること、楽しいと感じる事、わくわくすること、
これがいちごうさぎさんにとっての幸せです。

ここを見つけるために勇気を出して、最初の一歩を踏み出してみませんか?

これまで書いたことをまとめると
1)本当の自分の気持ちを吐き出してあげる
2)今までの思い込みの中に誤解であったことを理解する
3)人に頼ってみる
4)幸せになりたい気持ちで選択をする

先ほども書きましたが、(1)本当の自分の気持ちを吐き出してあげること、
ここが一番肝心な所であり、一番難しく、ものすごい抵抗を感じる所でもありますからね。
時間をかけてじっくり取り組んみようかと思ってもらえたらいいですね。

客観的に自分を見つめるためにも、ご主人や信頼できる方、又はカウンセラーと一緒にやる方がいいと思います。
いちごうさぎさんが幸せを選択するためのお手伝い役として私を頼っていただけたらうれしいです。

実は「いちごうさぎ」さんというお名前からも本来のアナタは人から大切に扱われ、守られるにふさわしい女性だと感じています。

ご縁を感じられましたら、直接お話を聞かせてくださいね。
ご参考になりましたら幸いです。

下村ひろみ

この記事を書いたカウンセラー