亡くした人間性

 

相談者名
ショコラ
初めまして。私はある消費者金融で仕事をしてました。もう新聞にも載ってたと思うけど、お客さんにお金を貸す時には、生命保険に入ってもらって、もし貸し倒れになった時にはその保険料で回収してました。

法律上問題ないところを活かしてやってた事だから、表面上は何の問題もなかったのね。

生命保険は自殺でも1年以上たてば保険料が支払われ、しかも遺族へ確認しなくてもOKでした。命を担保にお金を返してもらうなんて、今思えばぞっとする話だけど、回収ノルマに追われて、悲しくても苦しくてもどうしようもなかったの。「女の子らしさや人間らしさなんて捨てよう!」ってがんばってたけど。

なんだか向井さんが言ってた「悪魔に魂を売ったような感覚」が私にはわかるの。

私が以前いたこの世界、よその世界よりも女の子がすぐやめていくって、あとで知ったの。同期は早いうちからみんな辞めて、職場の女の子はいつのまにか私ひとり。女同士でグチることもできなかったわ。

ある日担当したお客さんが自殺して、1000万円の保険料の中からお金を清算した時、あまりのショックで倒れたの。

見舞いに来てくれた上司は「僕が君にやれ!って言ったんだから君に責任はないよ。」と言ってくれたわ。優しい人だった。でも、そんな人さえ仕事になったら、鬼に変わってしまうもの。

私は、お店をやめたわ。

死のうと思ったけど、死ねなかったよ。人の幸せを奪って自分だけがまだ生きていたいなんて、私、なんてずるい悪い女なんだろう、、、(涙)。

カウンセラー
向井康浩
ショコラさん、はじめまして。
向井康浩と申します。よろしくお願いします。壮絶なお話ですね。
お客様にもいろんな事情があって、それがなんらかの理由で返済できなくなった。

お金のやり取りを通した、お客様とお店の店員としてのお付き合い。
一定期間関わりあった人が、身を持って清算し、目の前からいなくなった話を聞くと、、、正直、私だって言葉を失いそうになります。

>「僕が君にやれ!って言ったんだから、君に責任はないよ。」

上司の方がこのようにショコラさんをかばってくださっても、、、そうですよね、なかなかそのまま受けとれませんよね。

「私はなんて事をしてしまったんだろう。」って、いっぱい後悔もしたんじゃないでしょうか?
とてもつらかったことでしょう。よくお話してくださいましたね。

自分の身をけずってでも、進まざるを得なかったのは、もちろん、店員さんとしての業務もあったことでしょうし。
お店の状況をとりまく状況が厳しく、生き残るためには他に道がなかったのかもしれませんね。

また、それ以外には

>同期は早いうちからみんな辞めて、職場の女の子はいつのまにか私ひとり。女同士でグチることもできなかったわ。

周りに誰も頼れる人がいなかったこともあるでしょう。

しかし、その他にも例えば、ご家族の中で働いてる人がショコラさんひとりで、家計を支えざるを得なかったとか。
病気の方や、なんらかの手助けが必要な方がおうちにいらっしゃるとか。

「私ひとりがガマンすればいいのね。」って言うように。
自分が犠牲になることで、誰かを助けてあげなきゃいけないなど。

お店に残らざるを得なかったのは、聞いてて、悲しくなるような切なくなるような諸々の事情があったのかもしれませんね。

ショコラさんは、誰かのために尽くしたい、優しい気持ちがある人です。
またそんな情熱も、ひと一倍強いほうじゃないかな?

>死のうと思ったけど、死ねなかったよ。(中略)私、なんてずるい悪い女なんだろう、、、(涙)。

ずるい悪い女だなんて言わなくていいですよ。よくぞ、生きててくださいました(泣)。

>「悪魔に魂を売ったような感覚」

おっしゃられてるように、私もこの感覚で苦しんだことがあります。

それは、業務中のこととはいえ、、、自分がやったことを自分で許せなかった。
だから自らを罰し、自分を繰り返し責め続け、その輪から抜け出せなかったんですね。

ショコラさんは、いっぱい苦しまれたことでしょう。
一番のポイントは、ショコラさんが御自身を許してさしあげられるようになることだと思います。

私のこのコーナーの回答を普段から御拝読いただいてて光栄です。本当にありがとうございます。
今回の私のアドバイスがショコラさんにとって参考になれば幸いです。それでは失礼いたします。

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