アルコール依存症の義父

相談者名
よす
はじめまして。
私は9月に里帰り出産をし、5ヵ月経った今も実家にいます。5月には嫁ぎ先に戻ります。
義父は義母を七年前に亡くし、それからアルコール依存症になり、仕事もやめました。一人っ子の旦那とも仲があまり良くない状態です。結婚するまで旦那と義父で同居し、旦那は断酒会に連れて行ったり義父と向き合っていましたが、変わる様子もなく旦那の方が鬱になりました。義父は相変わらず酒をやめられないようで、結婚後別居してからは家もグチャグチャ、お風呂にも入らず不潔です。また何度も転倒していて軽度の骨折や外傷をしている状態です。
その状態で子供に会わせたくないと思ってしまいます。触ってもほしくない。しかし義父は同居したい、孫の面倒くらい見れる。妻が亡くなったから寂しいし酒を飲んでしまう。孫に会って世話したらきっと自分も変われると一週間に一回の電話で毎回いうのですが、その度嘔気がします。義父の寂しい気持ちもとても良くわかるのですが、人に依存した状態で病気とつき合えるか、と私自身拒否してしまって。旦那に相談しても、どうしていいかわからない、とにかく酒をやめないと孫にも会わせないと言っているが、本人は飲んでない、寂しいから孫と一緒に過ごしたいと言うそうです。入院も勧めましたが犬がいるからだめと。
一体義父とどのように関わっていけばよいのでしょうか。
カウンセラー
中原謙一
よすさん、始めまして
私は中原謙一と申します。
よろしくお願いいたします。

読ませていただいて、よすさんの子供に合わせたくないというお気持ちはよくわかります。
ご家族の負担とお子様の影響を考えると、できることならば病気を克服してからでないと、同居は難しい。
そう考えるのが一般的かもしれません。

ただ、私はここでひとつ疑問があります。
もしお義父さんがアルコール依存症でなかったとしたら、よすさんは迷いもなくお義父さんを受け入れることができるでしょうか?

読ませていただいた限りでは、お義父さんは相当頑固ではないか、と感じます。
ただ、その頑固さがどうやら寂しさや怖いという感情から逃げるためや、「男とはこうあるもの」という虚栄心から頑固になっている可能性があります。
だとしたら、お義父さんがもしアルコール依存症でなかった場合、同居したと仮定してください。
そのとき、お義父さんが頑固な性格で、孫には相当甘いけれども、よすさんご夫婦には頑固に、もしくはわがままに振舞われたら、果たしてよすさんご夫婦は絶えられるでしょうか?
おそらく耐えられないでしょうね。
私の考えすぎかもしれませんが、よすさんはこの辺も心配しているのではないでしょうか?

それに、人はもともと誰かに依存をして生きていくものです。
お義父さんのような人の場合、アルコールにしか依存できなかったという現実が、アルコール依存症を引き起こしている可能性があるわけです。
お義母さんが生きていた頃は、お義父さんは相当お義母さんに依存していたのでしょうね。
そして、お義母さん以外に対しては、かなり自立的な態度だったことが伺えます。
さらに、お義母さんという義父さんにとって唯一の依存先を失ったとき、アルコールという新しい依存を手に入れざるを得なかった、というところではないでしょうか?

これは私の推測なのですが、お義父さんのアルコール依存は、別の何かに依存させることができれば、症状が軽減される可能性があります。

その可能性としてお孫さんがいるわけですが、それではお孫さんに負担がかかりすぎてしまいますから、まあ受け入れるわけには行かないのは当然です。

それ以上に気になるのは、よすさんがお義父さんとのやりとりで、吐き気や嫌悪感を強く感じてしまったり、ご主人が鬱になってしまったことのほうが、問題としては重要ではないか、と私は感じます。

お義父さんに対してご主人やよすさんが感じてしまう感情、たぶんそこにある感情がこの問題の本当の鍵となる部分ではないか、と私は感じています。

まず質問ですが、なぜよすさんはお義父さんと話をしていて、気分が悪くなったりするのでしょう?
そして、ご主人はなぜお義父さまとのことで鬱になってしまったのでしょう?

それは、お義父さんの矛盾する行動に原因があると私は推測します。

ご主人がお義父さんにしている行為は、もともとは愛情からのものだったでしょう。
お義父さんのことを大切に思っているから、愛しているからこそ、依存症から抜け出してほしい、その思いが、断酒会や病院を進めることにつながったのだろうと思います。
しかし、それらのご主人の愛情を、お義父さんはことごとく拒絶したみたいですね。
拒絶されたご主人からすれば、自分の愛情を拒絶されたも同然と感じますから、腹も立つでしょうし、悲しくもあるでしょう。
それをお義父さんに言うこともできず、誰かに話すこともできず、次第に体の中にたまっていき、鬱になったのではないか、と私は感じます。
そして、そのような態度をとっているにもかかわらず、お義父さんはよすさんたちに対して「愛情をください」と無心してくるわけです。

これはやられたほうは気持ち悪いでしょうね。

まあそれだけお義父さんは愛情に飢えているわけですが、それ以上に愛情を拒絶する癖も持っていらっしゃるわけです。
そうすると、愛情の飢えは治まることはありませんから、それを埋め合わせるために何かに依存していくのでしょうね。

よすさんたちご家族ができること、それは大きく三つあります。

ひとつは、現実的な対応として、依存症が治らない限り、孫とあわせない、これくらいの厳しさをもって接してもいいということです。
愛情の中には「厳しさ」というのもあります。
愛情を持ってお義父さんに厳しく向き合ってみてください。

もうひとつは、ご主人と話し合いを続けることです。
それは、「お義父さんをどうするか」ではなくて、「お義父さんの心は何を感じているのか」を推測して、理解してあげることです。
それが間違っていても、答えが出なくてもかまいません。
なぜお義父さんはこのようなことになったのかを、感情の面から見直して見る必要があります。
そうすると、お義父さんの悲しみや寂しさ、絶望などが見えてくるかもしれません。
お義父さんを理解することが、ご家族にとっては必要ですね。

三つ目は、第三者にゆだねることです。
訪問介護なども含めて、お義父さんが理解できるまで、みんなで根気よくお義父さんを説得していくことでしょうね。
そのときに、お義父さんが話を聞きそうな権威のある人に手伝ってもらうことができれば、よすさんたちの負担はかなり軽くなります。

この問題の最大のぽいんとは、ご夫婦の絆にあります。
この問題をあまりにもマイナスに捉えて、ご主人やよすさんが苦しんでしまうと、その影響はお子様にも及んでしまいます。
ですので、ご主人の鬱の対策も含めて、たくさんのコミュニケーションをとるようにしてみてください。

そして、一人で抱え込むのではなく、周りの人たちのさまざまな協力や愛を求めてみてください。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

よすさんを取り巻く人々のすべてで幸せになるための参考になることができれば、幸いです。

ありがとうございました。

中原謙一

この記事を書いたカウンセラー

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