閉所恐怖症

相談者名
マキコ
52歳女性です。30年前米国に来て以来、親と離れてこちらで暮らしています。閉所恐怖症のことでご相談します。20年程前から閉所恐怖症になりました。ひどい時は飛行機、電車、バスなどに乗れず、映画館や劇場も駄目だった時期もありました。ここ数年良くなってきて、去年、一昨年は十数年乗れなかった飛行機で旅行に行くことができました。この時は友達数人が一緒で心強かったことと飛行時間が5時間位だったので、事前はかなり憂鬱でしたがメラトニンを飲んで持参のDVDを見ながら、比較的快適に乗り切ることができました。8月にまた飛行機で旅行に行く予定があるのですが、今回は1人なのと長旅なのでパニックしてしまうのではないかととても不安です。一応、抗不安剤をもらってきましたが、本当に効くかどうか心配です。できればスカッとした気分で旅行に行きたいので、恐怖心を完全に取り除くにはどうすればよいかご相談したいです。

閉所恐怖症の原因は母親にあります。ある時、乗り物内で受ける圧迫感は母親から受ける圧迫感だということに気がつきました。そして全てが繋がったのです。母は、ちょっとしたことですぐパニックする人で、私は母がエレベーターや地下などに恐怖を示すの見ながら育ちました。「エレベーターは嫌だわね」などと実際に私に言います。また、「ジェットコースターに乗ると心臓麻痺起こして死ぬから乗ってはいけない」、「長い髪や長いマフラーは何かに絡まって死んだ人がいるからしてはいけない」等々とよく言っていました。

母は極度の我侭で未成熟、抑圧的で所有欲が異常に強く、子供の頃「お父さんと2人で出かけるな」、「お父さんに何か言われても嫌だって言え」等とよく言われました。私宛の手紙をこっそり読んだり、私の留守中に勝手に引き出しを開けて私のノートなどを読んだりもしていました。

父は入り婿で、母方の祖父母が同居していたため、母は自身の親にべったり依存していて、一日中祖母と2人で父や色々な人の悪口を言っていました。両親の夫婦仲は悪く、御社サイトにある母子間の「癒着」はすごいものでした。でも、夫婦間の揉め事で忙しく且つ未熟な両親は、子供の精神的支えにも十分なれなかったのです。私は抑圧的な母に従って義務のように恐怖を感じ、そうすることによって不十分だった精神的支えを得ようをしているのだと思いますが、どうしたら改善できますか?

カウンセラー
赤松わこ
マキコさん初めまして、ご相談ありがとうございます。
担当させて頂きます、赤松わこと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

米国での生活が、30年にもなられるとのこと、
日本で暮らしておられた時間よりも長いんですね。
その間色々な事がおありだったと思います。
文化の違う土地で暮らしていくと言うのは、
何かとストレスも大きかったのではないでしょうか?

ご相談頂いた【閉所恐怖症】は、20年ほど前から
と言うことでしたが、当所10年間は問題なく過ごして
おられた訳で、発症した頃精神的に大きなストレスが
かかって、症状として現れたのかも知れないなと思います。

恐怖症と呼ばれるものは、【単純恐怖症】と【パニック障害】
に付随して、起こる場合があると言われています。
マキコさんの場合がどちらに当てはまるのか?については、
「パニックになってしまうのではないかと不安」と言う、
お話があったので後者の方と推察は出来ますが、
病院でも受診されているようですので、詳しくはお医者様に
お尋ね頂くとして、ここではご相談内容に従って、
「パニックになってしまうのが不安で、乗り物や閉鎖空間が
苦手になった」としたら、どうしたらいいか?と言う観点で、
カウンセラーのお答えできる範囲で、回答させて頂きますね。

恐怖心を完全に取り除くにはどうしたらいいか?と言う、ご相談
ですが、マキコさんのご相談自体が2つに分かれており、回答も、
対処療法的な部分と、根治療法的な部分とに分かれます。

1、8月の飛行機での旅行を、不安なく楽しむには?
と言うご相談は、対処療法的な部分とお考え下さいね。

2、【閉所恐怖症】の原因が、お母さんとの関係にあるととしたら、
どのような考え方をすれば、楽になるか?
と言うご相談は、根治療法的な部分になります。

とりあえず直近に迫った8月の旅行を、不安なく楽しむために、
出来ることをまず!お伝えしたいと思います。

ここで効果を発揮する方法は、『過去に上手くいった時』の経験、
を使うことです。「昨年・一昨年とお友達と一緒に旅行に出かけて、
比較的快適に乗り切ることが出来た」と言うことですので、
その成功体験が自信になって、今回1人で(それもより遠い所へ)
旅行してみようと言う、お気持ちにもなられたのだと思います。

お友達と一緒に旅行された時の、楽しかった気持ちを思い出す。
飛行機の中でも、不安を感じることなく過ごせたことを思い出す。など
上手くいった時の、気持ちや感覚を思い出して、気持ちを安定させる
『イメージトレーニング』をお勧めします。

マキコさんもご自身で、少しずつ良くなってきていると言うことは、
感覚的に分かっておられたようですし、思い切って行動に移してみて、
とてもいい結果が得られたことは、大きな自信になっているはずです。
その結果がもたらしてくれた【安心感】を使って、「私は大丈夫!」と、
ご自身に【暗示】をかける訳です。その場合「お薬もあるし大丈夫!」
「自分が行きたかった所へ行けるなんて、楽しい!ワクワクする!」と、
全てのことを「上手くいく」に結び付けて、イメージしてみて下さいね。

実際に自分に語りかけてみるといいでしょう。
繰り返し何度もやってみて下さいね。それともう1つ、
イメージトレーニングをする時に、決まった音楽をかけるとか、
いつも同じ香水やアロマを使うとか、同じブレスレット等を身につけて、
やってみて下さい。そして旅行に出かけられる時、聞いていた音楽を
いつでも聞けるようにプレイヤーに入れて持って行く、使っていた香水
やアロマをいつでも使えるようにバッグに入れておく、ブレスレットを
身につけるようにして出かけて下さい。

落ち着かなくなりそうだなと思ったら、いつでもイメージトレーニングで
使っていた音楽を聞いたり、香水やアロマの香りをかいだり、身につけた
ブレスレットを触って、気持ちを落ち着けるようにして下さい。
これはNLPと言う心理療法で使われる、【アンカリング】と言う方法で、
繰り返していたイメージが瞬時に出てくるように、体に覚えさせておき、
同じ行動をすることで、イメージや安心感を引き出しやすくしてくれます。
マキコさんのお気に入りや、お友達をイメージ出来るものなどがいいと
思いますが、使うものはどんなものでも構いません。
イメージトレーニングと同時に試してみて下さい。効果がよりアップします。

以上が、対処療法的な部分としての回答ですが、根治療法的な部分としては、
マキコさんが小さい頃から感じておられた、『孤独感』と関係があるかな?
と感じました。「十分に構ってもらえなかった」「甘えることが出来なかった」
と言った【依存】が満たされなかったことから、早くに【自立】してしまって、
人に甘えることが苦手になってしまわれたのではないかな?と思うんですね。
【依存】はよくないことではありません、むしろ必要なことで、特に子供時代に
【依存】が十分満たされないと、大人になって問題が生じます。

マキコさんが、『閉所恐怖症』を発症された時も、文化の違う土地で頑張って
おられた中で、『孤独感』を強く感じるような状況になって、淋しさや誰にも
頼れない不安を感じられたのではないかな?と思ったんですね。
人の記憶は、感情ごとに整理されていると言われています。
マキコさんが、子供の頃からずっと『孤独感』を感じておられたとしたら、
同様に『孤独感』が出てきた時、子供の頃を思い出しても不思議ではありません。

『孤独感』とは人とつながれていないと感じる時に、出てくる感情です。
マキコさんが、どんなにお母さんに否定的な感情を持っていたとしても、
淋しい時不安な時には、やっぱりお母さんや家族のことを思い出して、
つながりたいと思っておかしくないですね。そんな時お母さんの記憶が、
『お母さんはいつも何かをこわがっていた』と言う形で、思い出されたら、
『閉所恐怖症』になることは、お母さんと一緒にいることと同じになるんです。

少し分かりにくいかも知れませんが、マキコさんが心の中ではお母さんを、
ずっと追い求めていたから、『閉所恐怖症』と言う形で、お母さんと一緒に
いるのと同じ状態を作っていたと言うことなんですね。
マキコさんの心の中では、小さな女の子がお母さんを求めているのでしょう。
今でもお母さんに、「分かって欲しかった」「もっと甘えたかった」「もっと
愛して欲しかった」と、思い続けておられるのではありませんか?

根本的な問題を解決するには、マキコさんがご自身の心と向き合って頂く
必要があると思います。米国はカウンセリング先進国です、様々な療法も
試せると思います。1度カウンセリングを受けてみられてはどうでしょう?

もちろん私たちカウンセリングサービスに、ご相談頂いても結構です。
無料電話相談(初回は無料です)も承っておりますので、お電話で詳しい
お話を伺わせて頂ければ、楽なって頂けると思います。
8月の旅行が、楽しいものになるようお祈りしております。
この回答が、少しでもお役に立てば幸いです。
ご相談ありがとうございました。

 

この記事を書いたカウンセラー

About Author

家族関係・対人関係・パートナーシップ・自己肯定自己実現を得意分野とし、がん看護・認知症介護の経験から医療・福祉関係にも精通している。 深層心理への唯一のアプローチである【感覚・感情】を解放する、癒しのスペシャリスト。 「体感で楽になった」「腑に落ちる」「納得がいった」と好評をえている。