異性への嫌悪感を捨てるには?

相談者名
なお
26歳の女です。異性から好意が寄せられると、自分が自分でなくなるような感覚にとらわれ、気に入っていた相手でも嫌いになってしまいます。我慢して付き合っても、1ヶ月もったことはありません。
自分では、家庭環境の影響かと考えています。
父親は感情的で、怒ると手がつけられませんでした。母親には勿論、私の成績が悪いと部屋に閉じ込めたり、私を6時間以上正座させて怒鳴り散らしたりと、厳しくされた記憶があります。しかし次の日にはまったく逆のことを言っていたり、難しい人でした。
反対に母親は、繊細な精神の持ち主でした。躁鬱病を患い、父に怒鳴られる度、死んでしまいたいと泣いていました。時折私に「一緒に死のう」と漏らす程でした。母親が精神病院に入院したのをきっかけに離婚、私は父親に引き取られたのですが…生活能力がない父親に、母親はあんなに尽くしていたのにと、小さい頃の私は父親を憎んでいました。
そのせいか、未だに男性を恐れる気持ちが消えないのです。
友達としては信頼できても、好意を向けられると苦しくなり、関係を絶ってしまうことが殆どです。優しい人には嫌われようと、冷たくしてしまいます。触られると気持ちが悪いです。相手と一緒にいない時も悩み、日常生活すらままならなくなったりします。

「乗り越えるには過去の傷を受け入れることが必要」というアドバイスはよく聞くので、自分なりに考えたつもりです。ですが、それでも前に進めず、疲れ果ててしまいました。
現在デートに誘ってくれる男性がいるのですが、また相手を嫌いになりそうなのが嫌です。しかし、色々な過去があるからといって、これは私の問題で、相手に自分の傷を話して、知っていてもらいたいなんて、都合が良すぎると思うのです。相手も気に病むでしょうし。ですが、話さずに隠して付き合っても、ボロが出るのは目に見えています。
この先、私はどのようにして傷と向き合っていけば良いでしょうか。自分を好いてくれる人を前に、どうやって親しさを築いていけばいいでしょうか。

カウンセラー
大谷常緑
なおさん、こんにちは。初めまして。
ご相談を担当させていただく大谷です。よろしくお願いします。

ご相談を拝見しました。
とても辛い思いをしながら子供時代を過ごされたのですね。
読ませていただいて、とても悲しくなってきました。
そして、この状態を何とかしようと頑張ってこられ、うまくいかなくて疲れてし
まわれたのですね。
でも、そんななおさんの頑張りや勇気はとても素晴らしい事だと思います。

さて、ご相談にありました
“この先、私はどのようにして傷と向き合っていけば良いでしょうか。自分を好
いてくれる人を前に、どうやって親しさを築いていけばいいでしょうか。”
について、一緒に考えていきたいと思います。

確かに、子供の頃のお父様やお母様との様々な出来事を受け容れることは癒しの
基本になり、これができれば異性との関係性は改善されると思います。
しかし、顕在意識で受け容れようと思っても、潜在意識に刻み込まれた心の傷は
そうたやすく受け容れを認めてはくれないものです。
今、デートに誘ってくれる方がおられるとのことですが、ここは、焦りは禁物で
す。
なぜならば、焦りは自分自身を「早く変われ」と虐めていることなのです。
そうすると、今の状態が場合によりより酷くなってしまいます。
今、一番大切なことは、なおさん自身が自分に優しくすることです。自分を大切
にすることです。
そうすると、少しずつかも知れませんが、なおさんが前進することが出来ます。

私たちが自分の前進を阻む根本原因は、”怖れ”にあります。
なおさんのご相談の冒頭に、”異性から好意が寄せられると、自分が自分でなく
なるような感覚にとらわれ”というくだりがありました。
これが大きな原因の1つだと思いますが、なおさんはご自分のことをどんな人間
だと思われているのでしょうか?
心理学では、これを”自己概念”と呼びますが、自分を厳しく扱っている度合いだ
け、自己概念は自分を責めるような形になります。
そうすると、自分は迷惑を掛ける存在であるとか、悪い存在であるとか、価値が
ない存在であるとかという形になります。
そうすると、”本当の私”がばれるのが怖くて、異性に対して警戒が強くなってし
まいます。
警戒がつよくなると、「どうせ私は嫌われる」という怖れが出てきますから、相
手から着られる前に自分から関係を絶ってしまうという形になります。
そのような意味では、なおさんの自己概念を厳しい自分への評価に基づいたもの
から、正当な評価に基づいたものに変えていく必要があります。
厳しい自分への評価を正当な評価にするためには、先ずは”厳しい評価”の癖を直
す必要があります。これは心の”癖”ですから、それを直すには練習が必要になり
ます。長年培った癖ですから、少々時間も必要になります。
具体的方法としては1つ例を挙げます。
今日1日の出来事で自分を褒めるネタを探します。何でもいいのです。
例えば「ずっと手を付けられていなかった片付けに、手を付けた」とか「今日は
気持ちがさえなかったけど、出社した」など、ご自分が小さな事、当たり前の事
と思われている事でも構わないのです。
そして、それを毎日言葉にして自分を褒めてあげるのです。
「今日は○○した。私は偉いね!」
という具合です。
これを続けることで、私の評価の癖が改善していきます。
よろしかったらお試しください。

最後に、
“しかし、色々な過去があるからといって、これは私の問題で、相手に自分の傷
を話して、知っていてもらいたいなんて、都合が良すぎると思うのです。相手も
気に病むでしょうし。ですが、話さずに隠して付き合っても、ボロが出るのは目
に見えています。”
という事ですが、これは、お相手の方に重くならないように少しお話しされてみ
てはいかがでしょうか?
ありのままのお互いの姿を理解し合ってこそ、長いおつきあいができるものです。
それでNGであれば、それは相性が合わなかったという事で、またなおさんには良
い方が現れるのではないかと思います。

なおさんのご相談には背景にある様々な問題が複雑に絡んでいるようです。
この回答だけでは不十分だと思いますし、直接電話カウンセリングでお話をお伺
いし、複雑に絡まった問題の糸を解きほぐした方がいいのではないかと思います。
先ずは電話カウンセリングをお受けになられて、詳しくお話をされた方がより的
確なアドバイスが出来るように思います。
そして、カウンセラーの援助を受けながら問題を解決された方がいいと思います。

回答がお役に立てれば幸甚です。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。