母子癒着について

相談者名
しずく
最近、娘との距離の取り方が間違っていると感じ、心の中のもやもやが取れません。
娘は小さい時からお母さん子で、可愛くて可愛くて、ありったけの愛情を注いで育ててきました。
思春期に入り、彼氏が出来て難しい年頃ですが、彼の事もいろいろ話してくれて、一緒に喜んだり悲しんだりしてきました。
でもそれが最近私の中で辛くなってきています。
娘が幸せな時は、私も本当に幸せなんですが、娘が悲しそうな時は、私まで胸が張り裂けそうな程辛いのです。
悲しませた相手が彼氏だった場合、憎悪にも似た感情が抑えきれません。
でも恋愛しているのは娘だし、娘には娘の人格があるし人生がある。
そう思おうと努力はしますが、私自身の「こうあるべき」「こうするのが当たり前」という基準で判断してしまい、どうしても怒りが収まらず、別れようとしない娘にまで腹が立ってしまい、言葉にこそ出しませんが、態度で冷たくしてしまいます。
娘もわかってはいるものの、好きだという感情はどうにもならないみたいで、私との板挟みで辛い思いをしているのでしょう。以前から、娘の彼氏や旦那さんになる人は、親のように無償の愛を注いで大切にしてくれる人じゃなきゃ!と思っていました。
親のエゴだとはわかっています。
辛い事も悲しい事も体験しなきゃいけないこともわかっています。
でも、娘を大切にしてくれていないと思うと許せないのです。

これはやっぱり母子癒着でしょうか?
娘への依存でしょうか?
どうすれば私は楽に生きられるでしょうか・・・

カウンセラー
三島桃子
しずくさん、はじめまして。今回担当させていただく三島桃子と申します。どうぞよ
ろしくお願いいたします。我が子に幸せであってほしいというのは、親の切なる願いですよね。私にも子どもが
おりますので、しずくさんのお気持ちわかるように思います。息子が小さかった頃、
手をつないで歩きながら、できることならこのままずっと手をつないでいてあげた
い、守っていてあげたい、などと思ったことがあります。

でも子どもは成長していきますし、いつまでも小さい頃のように守ってあげるという
わけにもいかないですよね。少しずつ親離れ子離れも進んでいくわけで、その中で上
手に距離を取るのって難しい時もありますよね。

今、しずくさんは、特に娘さんの彼氏のことで、気持ちを乱されるようですね。

>娘が幸せな時は、私も本当に幸せなんですが、
>娘が悲しそうな時は、私まで胸が張り裂けそ
>うな程辛いのです。
>悲しませた相手が彼氏だった場合、憎悪にも
>似た感情が抑えきれません。

親ならこのような気持ちになる面は誰でもあるかと思いますし、頭では「娘には娘の
人格や人生がある」とわかっていても、ついつい考えすぎてしまう、ということもあ
ると思います。ただ、しずくさんの場合は気持ちの度合いがちょっと強くなってし
まっていて、結果的にご自分の気持ちが苦しくなりすぎているかもしれません。

だとしたら、どうしてそうなってしまうのでしょうか?

子どものことが心配になり過ぎたり、我が子には理想的なパートナーと結婚して、理
想的な人生を歩ませてあげなければ、というような気持ちが必要以上に強くなる場
合、親自身が、自分の人生に満足していない場合が多いようです。

しずくさんは、ご自分の人生を振り返ってみて、どう思われますか?ご自分の人生の
中で、不満に思っていることなどあるでしょうか?

あるいは、実は不満に思うことはあったけれど、娘さんに愛情を注ぐことで、自分の
人生の中で満たされないもののことを忘れようとしてきた、というような面はないで
しょうか?

例えば、仕事を続けたかったけど家庭のためにあきらめた、とか、結婚してみたら夫
との関係は思っていたのと違ってがっかりした、とかいう場合に、それでも子育ての
喜びは大きくて、そこに自分の気持ちのすべてを注ぎ込んでいると、嫌な気持ちを忘
れることができたので、自分でも気付かないうちに子育てにのめり込んでいた、とい
うこともあります。

そうすると、

「他のことは自分の思うようにいかずつらかったけど、子育てだけは愛情を注げば子
どもが応えてくれる、自分の思い通りにいくんだ!これだけは報われるんだ!」

「子育てだけは私の思い通りにする、だって他のことはたくさんあきらめてきたんだ
から」

というような感覚になりやすく、「子育て」に関して大きな執着心、コントロール欲
が出てしまいます。

また、子どもの頃に親に十分なことをしてもらえなかったという思いがあり、自分は
できるだけのことを我が子にしてあげるんだ!この子を幸せにしてあげるんだ!とい
うような気持ちがある場合にも、子育てに執着し、思い通りにコントロールしたいと
いう感覚を手放せなくなってしまいがちです。

あるいは、自分自身も親の思い通りに生きてきて、我が子に対しても、「私の言うと
おりにするのよ、息苦しいところもあるかもしれないけど、これが一番幸せになる道
なのよ、私だってそうしてきたんだから、あなたもそうしてくれないとだめよ」とい
うような思いがある場合もあります。

しずくさんにもあてはまるものはあるでしょうか?

さらに、もう少し心理学的な面から説明させていただくと、おっしゃるように、母子
癒着、娘さんへの依存、という面はあるように思います。癒着するというのは依存す
るということでもあるわけですが、何か(誰か)に依存するということはどういうこ
とでしょうか?

私たちはいろいろなものに依存します。代表的なものはお酒やギャンブル、薬物など
ですが、他にも、一見依存には見えないもの、本や漫画、趣味、仕事、人、あらゆる
ものに依存することがあります。対象が何であれ、全体的な自分の気持ちのバランス
が崩れるほど入れ込んでしまう、というのは「依存」になっていることが多いもので
す。

そして、では何のために依存するのか、ということを考えてみると、最初の方で書い
たことと重なってくるのですが、「忘れたいこと、感じたくないことがあるから」な
のです。入れ込むことで何かを忘れられる、嫌なことを考えなくてすむ、だから依存
するわけです。

「子育て」に依存した場合、子どもが小さいうちは、比較的(表面的には)問題が起
こりません。子どもは、性格にもよりますが、けっこう言うことをきいてくれたり、
お母さんに合わせてくれたりしますから。

でも、思春期になると、それまで親の思いに合わせてくれていた子どもも、本能的に
自分の道を歩もうとし始めます。それが当たり前で健康的なことなのです。まれに、
思春期以降も親の思いに応え続けようとする子どもがいますが、これは自分の人生を
生きられないということでもあり、のちに目に見える形になって問題化することもあ
ります。

ですから、お嬢さんが思春期を迎え、今までどおりの距離感で娘さんと接していくこ
とに違和感を感じているというのは、ごく自然で、いい傾向だと言えるかもしれませ
んね。その上で、娘さんに癒着・依存している面があるとしたら、ご自分の気持ちと
向かい合って、そうなっている理由を捜してみるということが大切かと思います。

子育てに熱中することで忘れようとしてきた、自分の人生の中での不満はなかった
か?
自分自身の親との関係はどうだったか?
自分の人生をどう生きようとしているのか?

そういったことを改めて考えることで、いろいろ気付くことがあるかと思います。そ
して、いろんな気付きを得る中で、お嬢さんとの距離の取り方も見えてくるのではな
いかと思います。

一人で考えてもよくわからない感じでしたら、初回無料のカウンセリングもご利用し
てみてください。一緒に考えると糸口が見つかりやすい場合が多いですので。

今問題に見えることは、実は、よりベターでハッピーな方向に進んで行くためのチャ
ンスです。しずくさんのことを応援していますね。

ご相談をいただき、ありがとうございました。

三島桃子

この記事を書いたカウンセラー

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