３２歳の娘との関係について

みどりさんなりに一生懸命頑張って子育てをされてきたんですね。
そのかいあって、色々ポジティブな面でも効果がたくさんあったんじゃないかと思います。

僕がみどりさんのお話で気になったのは「謝る気はない」という部分です。
どうしてなんでしょうか？
この辺に娘さんが感じていらっしゃる「壁」の存在があるんじゃないかと思うんですね。

一つは何か大きな罪悪感を感じていらっしゃるのでは？という部分。
罪の意識があると、潜在的に罰せられなければ、という思いに至りますから謝ることができなくなり、自分は正しかった、仕方なかった、という立場に固執するようになります。
そして、その思いが強ければ強いほど、罰せられる潜在的な恐れから距離を取り、壁を作るようにもなるでしょう。

ですから、自分の正しさよりも親子間の幸せを選択してみるのがお勧めです。
もちろん、謝ることが大切なことではないんですけどね。
必要ならば、謝ることも構わないわよ、という気持ちでいる方がずっと楽に二人の関係を見つめなおせると思うんです。

いきなり、嫌な気持ちにさせてしまったかと思いますが、僕が関係をよりよくしていく上での一番お勧めしたいのはポジティブコミュニケーションです。

僕はみどりさん世代よりも、娘さんと同世代の方をカウンセリングする経験がずっと多いんですが、みどりさんのように厳しく育てられ、ご両親に対してネガティブな思いを抱いている方も少なからずいらっしゃいます。
でもね、その奥では本当はお母さんのことが今も大好きで、厳しく育ててくれた気持ちにも感謝を持っていたりするものです。
例えば、最初はお母さんの文句ばかり言っていた女性が、カウンセリングの終わりの方では涙ながらにお母さん自身の苦しい気持ちや経験を話してくださる方がすごく多いんです。
お母さんは仕方なかった、それくらい私を一生懸命育ててくれた、でも、私はその期待に何もこたえられなかった、迷惑ばかりかけてしまった、そんな気持ちを嗚咽しながら話してくださる方もいらっしゃいます。
そして、今も仲良くできないことをまるで自分が悪いことのようにせめていらっしゃったり。

そして、娘さんの立場からすると、やっぱり認めてほしいんですね。
頑張っていることや大人になったことを。
そして、やっぱり娘ですから、甘えたい気持ち、頼りたい気持ちもあるんですね。
自分の子供がいればなおのこと。
でも、厳しい親子関係だと、自分がまだまだしっかりしていないと思う分だけ、頼れなくなってしまうんです。
そして、一人で抱え込んで頑張って頑張って、いっぱいいっぱいになって面談などにいらっしゃるんです。

だから、みどりさんから見れば娘さんにはまだまだ足りないところなど山ほど見えるでしょうけれど、その中でも「これは頑張ってるな」とか「これは立派なことだ」と思う部分を伝えてあげることを一番お勧めしたいんです。
過干渉だったな、と思うと娘さん自身も引き気味に対応されるでしょうから、出来るだけさりげなく。
そんなカードを贈ってあげたりね。

しばらく時間はかかるかもしれませんが、ちょっと距離を置きつつ（できるだけ干渉しないように・・・それは我慢がいるかもしれないけど）、数年後に笑って何でも話ができる関係を目指してみてくださいね。

ありがとうございました。