実家を出ようか悩んでいます。

相談者名
ジュリにゃん
私は今、大学生の兄からモラハラみたいな暴言を吐かれたり怒鳴られたりで、大学2回生の秋から実家を出て一人暮らししようか悩んでいます。兄は塾講師のバイトをしていて、上司や友だちから仕事のできる、子どもに優しい人と言われています。兄には何の悩みもありません。が、家では私に暴言を吐いたり、怒鳴ってきます。お前はバカ、常識がない、将来ボロが出るぞ、足が遅い、など。他にも、私が料理などで失敗すると必ずガハハと聞こえるように笑います。私が母に何か悩み事を相談すると必ずお前が悪い、と茶々を入れ、私の話を聞きません。私が昔やった失敗をネチネチ言ってくることもあります。兄が私に何か悪いことをしても、全く謝らない。母や私が体調を崩しても家事は一切手伝わず無関心で、ゲームに夢中です。両親も私が相談した精神科医もお手上げ状態。ほっといても、暴言や笑いや茶々入れ、ネチネチはおさまりません。兄こそ通学に片道二時間以上かかるから一人暮らしすればいいのに、家事を全て1人でやるのは嫌だと、ずっと実家にいて、来年就職しても実家にいると言って聞きません。私は片道1時間10分程度ですが、それでも兄から解放されたいです。頑張って遠くから通学している友だちがいるから、両親に言いづらいです。最近私は胃が痛い、不眠、微熱など体調不良になり、気がつけば一人暮らし物件をネットで探す日々が続きました。一人暮らしがどれだけお金がかかり、大変なことかは友だちから聞いていますが…両親に言いづらい私にアドバイスください。
カウンセラー
三枝みき
ジュリにゃんさん、こんにちは、初めまして。
今回、ジュリにゃんさんのご相談を担当させていただきます、三枝みきと申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

ジュリにゃんさんは実家を出て、一人暮らしを考えていらっしゃるのですね。
経済的なことはあるかもしれませんが、一人暮らしを経験してみるのも、若い方にはとてもいいことのように、私には思えます。
実際、私も18歳で上京して、2年間の学生寮暮らしを経て、3年ほど一人暮らしを経験しました。
大変なこともあったけど、今では経験してよかったなと思っています。

ただ、ジュリにゃんさんの場合、本当の問題は「一人暮らしがしたい」ということではないようですね。
大学生のお兄様のこと、暴言を吐く、怒鳴るなどの行為や、そのほか書いてくださっていることのほぼすべてがモラルハラスメントに該当するのではないかと、私には感じられます。
こんな状況で暮らすのは、本当にお辛いですよね。
家を出たいと切実に悩んでいらっしゃるのも、よくわかります。

ジュリにゃんさんは、両親に言いづらい私にアドバイスを、と書かれていますが、このご相談に書いてくださったことをそのまま、ご両親にお伝えしてもいいのではないかと私は思いますよ。
「通学が大変だから」という理由より、「お兄さんの暴言や態度がつらい」ということをちゃんとご両親に相談してわかってもらうことはとでも大事だと思います。

ここには書かれていないのでわからないのですが、ご両親はジュリにゃんさんのつらさを理解してくれないような方たちなのでしょうか?
それとも、理解はしてくれても、ジュリにゃんさんの一人暮らしを承諾してくれない(できない)、何かはっきりとした理由があるのでしょうか?

もしそうなら、その理由がわからなければなんともしようがありませんが……。

でもたとえば、引っ越しにかかる費用や家賃、月々の生活費が捻出できない、など経済的な理由であれば、少し大変かもしれませんが、奨学金を借りる、ジュリにゃんさんがアルバイトをする、などの方法を執る、ということで説得できないでしょうか?
ジュリにゃんさんにどうしてもそうしたい、という熱意があれば、ちょっと勇気が必要かもしれませんが、ご両親を説得できるかトライしてみていもいいのでは、と私は思いますよ。
ジュリにゃんさんがご自分の心と身体を守りたいと思うのは当然ですし、身体症状にも出てしまっている以上、もしもできるならそうしてほしいと私は思います。
心の病気になってしまってからでは回復するのも大変ですし、なによりそんな辛いことを無理して我慢する必要はないですから。

と、ここまではジュリにゃんさんのご相談への直接の回答でしたが、ここからはちょっと違う切り口で、心理学的なことも含め、お答えしていきたいと思います。
よかったら参考にしてみてくださいね。

まず、お兄様のことについてですが、ただ一つジュリにゃんさんが思い違いをしていることがあるように、私には思えます。

>兄は塾講師のバイトをしていて、上司や友だちから仕事のできる、子どもに優しい人と言われています。兄には何の悩みもありません。が、家では私に暴言を吐いたり、怒鳴ってきます。

お兄様についてジュリにゃんさんはこう書かれていますが、何の悩みもない人は家族に暴言を吐いたり、怒鳴ったりはしないものです。
「今日もいい天気で気分がいいな。仕事は順調だし、私はみんなから心から愛され、信頼されている。世界はバラ色だ」なんて、思っている人が、家族に暴言を吐いたりするでしょうか?

少なくとも私自身は、自分の体調や精神状態が好調な時、みんなから大事にされているなと感じられているときは、誰かを怒鳴ったりなんてしたくないし、周り中に優しくできそうな気がします。
逆にすごく辛くてどうしようもないとき、だけど誰にも「助けて」「なんとかしてよ!」って言えないときは、腹が立って「なんで気づいてくれないの?」って心の中で怒っていたり、「私だってこんなに辛いのに一人で頑張ってるんだから、そのくらい自分で何とかしなさいよ」ってつい、相手にとげとげしい態度をとってしまったり。
今はそんなことはないですが、昔の私はそんな風でした。

ですからたぶん、お兄様もなにかすごく辛いことを抱えているのではないかと、私は思うんです。
ただ、男性は辛い気持ちを抑圧(感じないように深くおしこめてしまうことです)してしまうので、お兄様自身もご自分が「辛い」とか「苦しい」とか感じられていないかもしれませんが。
でも、つらさや苦しさを抑圧したところで、抑圧した感情はなくなりません。

たとえば、なにか見たくないものを部屋の押し入れの奥深くに押し込んでしまえば、目の前からはそれは無くなりますが、存在自体がこの世から消え去ったわけではないですよね?
もしお兄様がそうやって、見たくないもの(辛さや苦しさなどの心の痛み)があるたびに押し入れ(心の奥)に放り込んで無理やり押し込んだ(抑圧した)として、押し入れの中(心の奥)がそれら(辛さや苦しさなど)でいっぱいになったとしたら、押し入れの戸の隙間からそれらがはみ出て来たりするわけです。

その【抑圧しきれなかった苦しさ】がお兄様の場合、【暴言】【怒鳴る】【嫌味】【馬鹿にして貶める】などのモラルハラスメントという形で表れていると考えられます。

>お前はバカ、常識がない、将来ボロが出るぞ、足が遅い、など。他にも、私が料理などで失敗すると必ずガハハと聞こえるように笑います。私が母に何か悩み事を相談すると必ずお前が悪い、と茶々を入れ、私の話を聞きません。私が昔やった失敗をネチネチ言ってくることもあります。

こういう態度のことですね。
それと、これらの暴言の内容、これはじつは「投影性同一視」というのですが、お兄様が自分に対して行っていること、思っていることそのものです。

つまりお兄様は、ご自身を本当は「バカ」で「常識がなく」、今は上司や友達から信頼され、子供にやさしい人と思われているけれど、きっと「将来ボロが出てしまうだろう」と怯えているし、自分が何か失敗してしまったら心の中では自分をものすごく責め、嘲笑し、いつまでもネチネチと自己攻撃をしているわけです。
そのうえ、誰かに悩みを相談しようと思ってもきっと「お前が悪い」と言われて、絶対に聞いてもらえない、と思っているようです。
なので一人で抱え込んで、見ないように押し入れに放り込むことしかできないわけですね。

読んでいてびっくりされたでしょうか?
でも、こういうことなんです。
そしてお兄様ですが、もう押し入れの中が一杯になってきてしまって、これ以上押し込められなくなってきているようです。

ジュリにゃんさんは聞いていて嫌な気持ちがするかもしれませんが、でもここでちょっと、考えてほしいんです。
奇しくも、ジュリにゃんさんと状況が一緒だとは思いませんか?

ジュリにゃんさんとお兄様は、【被害者】と【加害者】の立場ですが、置かれている状況と感じている感情(苦しくてどうにかして現状から逃げ出したい)が、まったく一緒なんですね。
ですから、ジュリにゃんさんはお兄様のつらさや苦しさを、感情のレベルではすでにもう共感できているということなんです。

長くなりますので詳しい説明は割愛させていただきますが、他にもお兄様はとても罪悪感が強かったり、失敗をすごく怖がっているとか、自分には何もできない(無力感)、価値がない(無価値観)などのたくさんのネガティブな感情に本当は苦しんでいらっしゃるようです。
そんな状態の人が、親御さんから離れて自立なんて考えられないでしょうし、そのために痛みからの逃避が必要で、ゲームに夢中になるという意味合いもあるんでしょうね。
ちなみに、ジュリにゃんさんがネットで一人暮らしの物件を探していらっしゃるときと、お兄様のゲームはたぶん、逃避や一時的な痛みどめという意味では同じ類の行動になるのではないでしょうか。

長々とお兄様の状態について書かせていただきましたが、少しでも状況の理解に役立てばと思います。
ただね、だからといってジュリにゃんさんがお兄様の犠牲になることはありません。
いちばん優先していただきたいのは何よりも、ジュリにゃんさんご自身の心と体を守ることです。
溺れている人を見つけてもいきなり飛び込むことが危険なように、まずは自分の安全を確保してからですからね。
もし必要なら、この回答をご両親に読んでもらうといいかと思います。

DVやハラスメントの被害がある場合は、甘んじてそれを受け続けるより、勇気を出してできるだけ早くその場から立ち去ることも必要です。
相手のためを思って耐えていても、その人を助けるどころか、結果的にそれだけその人の罪悪感を重くすることになりかねません。
そのうえでもしもお兄様を助けたいとお思いであれば、改めて初回無料の電話カウンセリングででもご相談くださいね。

以上、長くなってしまいましたが、少しでもこの回答がジュリにゃんさんのお役に立てれば幸いです。
本日はご相談、ありがとうございました。

三枝 みき

この記事を書いたカウンセラー

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