相談者名 | ハナ |
子供の母親として、家族としてしか見てもらえない。 普段会話は有りますが、スキンシップ自体、避けられている気がします。 1年前の主人が不倫する前までは、夫婦生活も有りましたが、それ以来は、誘われる事が無くなりました。(不倫については三ヶ月程で発覚し、清算済みです。) 発覚当時は、悲しみのあまり、私がかなり衰弱して、責めるような事を言ったりで、主人も疲れ果て、お互いに余裕が無くなり、離婚まで発展しかけました。 現在は、過去の事には触れず、夫には明るく、優しく接し、下着やファッション等も色々努力はしているのですが、私には、もう女性として、まったく興味が無いようです。2~3回、なんとなく行為に及びましたが、仕方なくと言うか、あまりやる気も感じませんでした。 若い彼女との蜜月を思うと、今更私となんて無理なのかと思うと、辛いです。 | |
カウンセラー | 池尾昌紀 |
ハナさん 池尾昌紀と申します。 ご相談ありがとうございます。 不倫をされたら、本当に心が傷つきます。 こうした大きな出来事があると、そのことによって、夫婦が二人で向き合うきっかけになることもあります。 けれど、本当の気持ちをぶつけあうというのは、とても疲れます。 こうした疲れがあると、心に余裕がない状態をつくり出します。 ですから、お互いに、その疲れや傷を修復中なのかもしれない、と思ってみてください。 次に、ハナさんが苦しんで傷ついてこられたと同じように、実は、ご主人も苦しんでこられたのではないか、という視点で考えてみられては、と思います。 不倫というのは、ご主人が引き起こしたものですから、彼がハナさんや周囲の人から責められてもしかたがないですよね。 でも、責めているのは、周囲の人ばかりではありません。 実は、ご主人が自分で自分のことを責めているということもあるのです。 不倫は、一見すると、相手が嫌になったから、女性としてみられなくなったから、相手が起こすことのように思われますが、カウンセリングの中でお話を伺い、心を整理して本当の気持ちが明らかになっていくと、相手が嫌いではない、逆に、感じられなかった愛情に気がつくという事例が多くあります。 不倫の原因はいろいろなケースがありますが、本当に相手のことが嫌いだから、という原因は少ないように思います。 仕事等のストレスだったり、夫婦のすれ違いだったり、いろいろな理由で起こしてしまうことがあるようです。 相手が嫌いで起こしたのではない、としたら、それは、やってしまった方としては、大きな後悔や罪の意識(罪悪感)を持つ事になります。 もしかしたら、ハナさんも、ご主人とやり直していく話を詰めていく過程で、ご主人が不倫してしまったことに対する罪悪感を感じられたことがあるかもしれません。 ご主人が強い罪悪感を持っているとすると、それは、常にハナさんに申し訳ないという気持ちを生みます。 男性は、感情を素直に表現することが苦手な傾向がありますので、こうした思いを表に出すことがうまくできなかったり、あるいは、先の述べましたように無意識だと自分では気がつかないうちに、行動に移してしまうこともありえます。 いずれにせよ、彼がハナさんとのスキンシップを避けているとしたら、その大きな原因は、「申し訳なさすぎて合わせる顔がない」という罪悪感からきているのではないでしょうか。 この視点で考えてみると、スキンシップを避ける、という行動以外に、ご主人の言動から「妻に申し訳ない」と思っているために、やってしまったり、逆に、できなくなってしまっていることが、見つかるかもしれません。 まずは、日頃のご主人の言動の中で、「もしかして私に罪悪感を感じているからなのかな?」と思い当たるものを探してみて下さい。 もしかしたら、日頃のなにげない仕草や言葉使いに、ハナさんのことを気遣ったり、ハナさんの反応を気にしているところが見つかるかもしれません。 こうした視点で見直してみると、私が嫌だから、あるいは、私を女性と思ってくれないから、避けているのではなく、私ではなく、彼自身が申し訳ないくて近づけないということを感じられるヒントになることがあります。 また、同じ視点で、彼のスキンシップにも目を向けてみると、彼の罪悪感が大きいあまり、ハナさんに近づいたり、二人の関係を楽しんだりすることができないために、避けているような、仕方がないような感じをうけるのかもしれません。 でも、それは、ハナさんも同じではないか、と思います。 不倫のご相談を受けていて、一番多く感じるのは、不倫をした相手が悪いのに、そうさせてしまったのは私のせいだ、とご自身を責めてしまっているケースが多いということです。 悪かったのは相手なのに、過去の自分の振る舞いを反省し、後悔し、あの時の私の言葉が、行動がなかったら、彼はこんなことをしなかったかもしれないと、とてもご自身を責めておられる方が多くみられます。 実は、お互いに自らを責めてしまい、相手との距離をうまく縮められないという「罪悪感の競争」と言えるような状態になってしまっているのかもしれないのです。 もし、そうだとしたら、この状態を変えるには、それに気がついた方が辞めようと思う、というのが方法になります。 罪悪感というのは、先にも書きましたが、「相手を苦しめてしまって申し訳ない」という思いです。 人は、自分のためには何もできないけれど、誰かのためにはやる事ができるといいます。 これほど、ハナさんが苦しんでおられるのは、ご主人を愛しておられるからです。 そのご主人のために、私を責めるのを辞めよう、そんな風に思ってみてください。 「罪悪感」という視点で相手の気持ちや、自分の気持ちを整理してみると、ものの見方や心持ちを変えるヒントになることがあります。 すぐにはできないかもしれません。 そして、ハナさんがご主人を愛している、という思いは、その大きな力になります。 ここまでやってこれたのは、ひとえに、ハナさんのご主人への愛があったからだと思うのです。 ご相談ありがとうございました。 |