相手の真意にこだわってしまう

相談者名
ちゅらうみ
はじめまして。いつも心理学講座を読んで勉強させていただいております。

わたしはよく、「口ではそう言っているけど、本音ではどう思っているのだろう?」と相手の顔色を窺ったり推測してしまいがちです。
実際のところ、直接相手に聞いても本音を言うかどうかはわからないし、その人自体自分の本音に気づいてなかったりするかもしれないし、で相手の真意を知ることは本当の意味では不可能だ、とは思っています。

それなのに、どうして相手の真意を推し量ろうと頭の中でぐるぐるといつまでも考えてしまうのかな?と自分なりに分析したところ、

相手にコントロールされたくない
傷つきたくない

という理由が思い浮かびました。
誰でもコントロールされたくないし、傷つきたくない。

コントロールされたくない、といいつつ相手の真意にこだわっているこの態度こそ、すでに支配されているではないか。
傷つきたくない、のになぜ、勝手に悪いストーリーを頭の中で作りあげて怒ったり暗い気持ちになったりしているのか?

これはわたしの勝手な想像なんだよ、と自分に言い聞かせたり、相手の真意より自分の気持ちはどうなの?と問いかけたりしていますが、気づくといつも暗い気持ちになる思考ばかりしてしまいます。

相手の真意にばかりこだわらず、もっと軽い気持ちで人と接するようになるために何かアドバイスをいただけないでしょうか?
よろしくお願いします。

カウンセラー
中山けんたろう
ちゅらうみさん、こんにちは。
はじめまして。今回のご相談を担当させていただきます、カウンセラーの中山けんたろうです。
どうぞよろしくお願いいたします。

いつも心理学講座をお読みいただいているとのこと、ありがとうございます。
ご自分の心のことや、対人関係についてご興味をお持ちなことがよく伝わってきました。
それぐらい興味をお持ちであるということは、ご自分の心をよく知りたいという探究心と、対人関係をよくしていきたいという向上心の現れだと思います。

今は問題に思えることでも、ふとしたきっかけで問題が才能に変わることがあります。
ですので、今お持ちの気持ちをまずは大切にされていただければと思います。

さて、ご相談内容に移らせていただきますね。

まず、「相手の顔色を窺ったり推測してしまいがち」なんですね。
相手の気持ちを推し量った上で返答するとか、相手の立場になって考えてみるというのは、円滑なコミュニケーションを図る上で有効な手段だと思います。
ところが、ちゅらうみさんの場合は、「相手の真意を推し量ろうと頭の中でぐるぐるといつまでも考えてしまう」くらいですから、それだけでとても疲れてしまわれるのではないかなと思いました。

考えてもわからないことを頭の中でぐるぐる考えるのは、例えていうと、パソコンの画面でいつまでも砂時計が回っている(いわゆるフリーズの)状態に似ているのかもしれませんね。
そういうときは、一旦、プログラムを終了してみたり、場合によっては再起動をかけてみるのが手っ取り早いですね。

ご指摘の通り、相手の真意を知ることは、最終的には不可能な部分が残ってしまうことなのだろうと思います。
自分と相手は別人格ですし、本当にわかったら、ちゅらうみさんがこのように悩まれることはないはずですから。

ここからがちゅらうみさんの素晴らしいところなのですが、ご自分で自分自身を分析されてみたところです。
問題を周りの人間のせいにするのではなく、ご自分の心の中に何か原因となるようなものがあるのではと思って分析をされたのだと思います。
その結果、「コントロールされたくない」「傷つきたくない」という二つの理由を思いつかれた・・・。
つまり、ご自分の本当の気持ちに気がつかれたわけです。

ちゅらうみさんがご指摘のように、「直接相手に聞いても本音を言うかどうかはわからないし、その人自体自分の本音に気づいてなかったりするかもしれない」わけなんですが、
少なくとも、ちゅらうみさんは、自分の本音に気がつかれたわけです。

ここはとても重要なポイントです。
他人の気持ちは結局のところわからない可能性が残りますが、自分で気付いた自分の気持ちは、今の自分にとっては間違いない、確かなものだということです。

他人の気持ちを出発点にして考えてしまうと、結局のところはわからないわけですから、結果的に振り回されてしまうことになりますね。
一方、自分の気持ちを出発点にして考えると、まず間違いのない、確かなところからスタートできますから、周りのことに振り回されたり、流されるといった可能性がぐんと減ってきます。
ですので、ご自分の気持ちを大切にして、そこから問題をひも解いていくことにしましょう。

また、ちゅらうみさんの文書から引用させていただきますね。

・「コントロールされたくない、といいつつ相手の真意にこだわっているこの態度」
・「傷つきたくない、のに、勝手に悪いストーリーを頭の中で作りあげて怒ったり暗い気持ちになったりしている」

この二つに共通している感情があります。

それは、「怖れ」の感情です。
「こわいなぁ」、「嫌だなぁ」、「避けたいなぁ」・・・そのような感情です。

「怖れ」の感情は人間でしたら誰にでもあります。ですので、「怖れ」の感情を持っているからといって、ご自分を責めたり、卑下されたりする必要はありません。
また、「良い」とか「悪い」ということでもなくて、ただ単に、「「怖れ」の感情があるんだなぁ」と思っていただいたら結構かと思います。

「怖れ」の感情を通して、ちゅらうみさんの気持ちを観てみると、次のように2段階に読み替えていくことができそうです。

分析結果:「コントロールされたくない」
1段階目:「コントロールされるかもしれないなぁ」
2段階目:「相手は自分をコントロールしようと思っているのかもしれない」

分析結果:「傷つきたくない」
1段階目:「傷つけられるかもしれないなぁ」
2段階目:「相手は私を傷つけようとしているのかもしれない」

少しオーバーな言い方をすると、「怖れ」の感情があるために、周りの人が、ちゅらうみさんをコントロールしたり傷つけたりする人に(無意識に)思えてくるわけです。
ですので、相手の真意に非常にこだわってしまうんですよね。自分の身を守るために。

「もっと軽い気持ちで人と接するようになるために何かアドバイスを」とのことですよね。

一言で言いますと、自分の心の中にある「怖れ」を感じて、解放(解消)していくということになります。
感情、特に「怖れ」などのネガティブな感情は、感じて感じて感じきることで、消してしまうことができます。

「怖れ」の感情を消せることができれば、「コントロールされるかも」という思いや、「傷つけられるかも」という思いも一緒に消えてしまいます。

でも、普通、「怖れ」などのネガティブな感情は、感じると嫌な気分になったり、辛くなったりするものですから、普段は心の奥底に押し込めているものです。
ですから、感じようとしてもなかなか感じることができません。

ここから次のステップになりますが、なぜそのような「怖れ」を感じるようになったかを探ってみられることをお薦めします。
ご自分で昔を振り返ってみられても結構ですし、例えばカウンセラーとお話しされる中で探ってみられてもよいと思います。

一例を挙げますと、「コントロールされたくない」とか、「傷つきたくない」と考えている赤ちゃんって、あまり想像がつきませんよね。
人間は、物心がついて、小学生になり、思春期を経て、大人になっていくわけですが、ちゅらうみさんもその過程のどこかで、「怖れ」の原因となる体験をされてきたと思うんです。
そのどこかで体験された原因を探る中で、「怖れ」の感情自体も把握しやすくなってきます。(「把握しやすく」を、「捉まえやすく」、とか、「感じやすく」と言い換えてもよいと思います。)

そこまでくれば、ご自分で感じきれていなかった「怖れ」の感情を感じてみたり、例えば、セラピーを使って「怖れ」の感情をより効果的に手放すことができてくるようになります。

根本的にはそのような解決方法がありますが、そのとっかかりとして次のようなことをされてみてはいかがでしょうか。
相手の真意を推し量ろうと頭の中でぐるぐると考えだしたら、「今、自分には、「コントロールされたくない」とか「傷つきたくない」という「怖れ」の感情が出てきているんだなぁ」と、観る対象を他人から自分に置き換えてみて下さい。

自分自身の状態を観察することに「良い」とか「悪い」ということはありません。
ただただ、「「怖れ」の感情が出てきているなぁ」と感じて、そのように感じている自分を受け止めてあげて下さい。
それだけで、気持ちが落ち着かれていくと思います。
(同時に深呼吸をすると効果的です。まず、ゆっくり鼻か口で吐いてから、ゆっくり鼻で吸います。)

人間として生きていく上では、本当にいろいろな問題が起こってきますね。
健康、お金、仕事、恋愛、人間関係、などなど、挙げればキリがありません。

しかし、「人生の答えはいつも自分の中にある」と言われます。
自分の心の傾向に目を向けられることは、遠回りのようで実は、問題解決への近道であることが多いのです。

もし、ちゅらうみさんの方で、直接話をしてみたい、もう少しヒントが欲しい、などの思いを持たれましたら、ご遠慮なくカウンセリングをご利用いただければと思います。
電話カウンセリングでしたら、匿名でのご相談も可能です。
私をはじめ多数のカウンセラーがおりますので、初回無料をご活用いただき、ご自分に合ったカウンセラーを見つけていただくことも可能です。

今回のご相談が、少しでもちゅらうみさんのお力になれればと思っています。
ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。