関係を断ちたいのですが・・・

相談者名
atsuko
 7年ほど前に出会った人と不倫関係にありました。元々、家庭生活がうまくいっておらず、本人は離婚したがっていたようですが、私から離婚を懇願したことはなく割り切った関係として考えていました。
2年程、不倫関係が続いていましたが、奥さんに発覚し、離婚することになり、その際に私に負担がいかないようにと彼が慰謝料を全部負担したようです。(後日教えて貰いました。。)
ですが、ちょうどその頃、私に他に将来を考えられる好きな人ができたことが相手にばれてしまい、遊びだったのかと怒り、信じていたのに気持ちを踏みにじられたと散々言われました。結局その好きだった人とは別れました。
その後、何度となく話し合いをしましたが、お互いを責め合うだけで、進展しませんでした。そのような関係にうんざりして、携帯を変えるなど連絡を一切取れないようにすると、家や職場に待ち伏せされたり、ある時は家の中に勝手に入ってきたりと信じられない行動をとってきます。その行動を責めると、「こんな行動をさせてしまうのはお前のせいだ」と言われ、逆に責められます。最終的に「こんな行動をされたくなかったらちゃんと信頼できるような行動をしろ」と迫られて渋々、連絡先を教える、の繰り返しでした。
友達に言わせると、私の行動が甘い、そんな状態だったらいつまでも断ち切れないと言われますが、二人きりになってしまうと言いたいことが言葉に出ず、何も言えなくなります。何も言えない私を見て、さらに苛々させて、罵倒されることもしょっちゅうです。でも、その後で「本当は酷いことはしたくない」と慰められもします。毎回この繰り返しで精神的にも辛いです。
嫌々ながら一緒にいてもお互い何も良いことはないと思うのですが、それは私の身勝手な考えなのでしょうか?どうしたら納得してもらえるのか分かりません…。長文になってすみませんが、宜しくお願い致します…。
カウンセラー
池尾昌紀
atsukoさん、こんにちは。
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

大変に辛い状況のお話、本当に苦しいところだと思います。
まるで出口のない真っ暗闇の中におられるような感覚ではないでしょうか。

最初に申し上げたいのは、ここまでがんばってきた自分を誉めてあげて欲しいということなのです。
困難な状況の中を、ここまでがんばってきたのです。どうかそんな自分を認めてあげてください。

さて、ご相談のように、一方の人が追いかけて、もう一方の人がそれから逃げる関係の時、結局、逃げている人が追いかけている人に合わせてしまう、という状態は、一見すると追いかけている人が加害者で、逃げている人が被害者のように感じられるかもしれません。
追いかけている人が攻撃するような言動をする場合はなおさらです。

ですが、atsukoさんご自身が書かれておられるように、関係を切ろうとしても、また戻ってしまう、毎回この繰り返し、というところが大切なポイントで、こんなに苦しんでいるのに、実は、自分にも何か原因があるらしい、という視点を持つ事が必要になってきます。

最初に、彼の立場から見てみますと、一般的には、こうした彼の他人を攻撃する言動を起こしてしまう心理は、されている側からしたら、怒りをぶつけられているように感じますが、本人は自分が感じたくない気持ちを感じないようにしている、という場合も多いようです。
心理学では「怒りは本当の気持ちを隠すフタ」という表現をします。
多くの場合、そこに隠れているのは「悲しさ」や「寂しさ」だと言われます。
もし、この見方が正しいとしたら、彼は、攻撃という手段を使いながら、実は、心の底では「自分は愛される価値がない」とか、「自分が愛されるはずはない」という思いを感じていたりします。
それを感じるのがあまりに辛いので、「愛されない」という気持ちを「愛してくれない」と相手のせいにしてしまうわけです。
ある意味、そうしたやり方で自分を守っているのですね。
自分を守るのに精一杯で、攻撃している自覚が薄く、そのために責める言動をくり返してしまうこともあります。
ところが、実際には、攻撃したいわけではないので、時折、本当はこんなことをしたくない、と思ったりする。
この時は、すごい自己嫌悪、自己攻撃の状態です。
でも、やっぱりまた、自分は愛される価値がない→愛してくれないお前が悪い、というところに陥ってしまうので、悪循環がやまないということになります。
なんらかの攻撃を誰かにすることは正当化されるべき事ではありませんが、彼は彼なりの苦しみを抱えていることになります。

次に、atsukoさんの立場で見てみますと、こんなに苦しんでいるのに、二人になると話ができないとか、結局は、また彼の言う事に従ってしまうという状況を生み出すのは、自分の中に「彼に申し訳ない」という罪悪感があることが元になっているように思います。
今回の場合は、「私のせいで離婚させてしまった」なのに「私は彼を受け入れる事ができていない」という強い罪の意識がそうさせているのではないでしょうか。
ですから、心の中では、責められることで、その罪悪感を補おうことができている感覚があるかもしれません。つまり、「こんなに悪いことをした私は、責められて当然だ」という感覚です。
もちろん、そんなことをされてうれしいはずはありません。でも、心の中では、こうした心理がはたらいていることもあるのです。
また、こうした被害者の位置に立つ方の中には、「傷ついている誰かを助けたい」という思いを元々持っている方がおられます。
それは、「こんなに傷ついている人を放ってはおけない」とか、「この人を助けられるのは自分だけだ」という思いになっていきます。
この二つの思いは、相手から離れていくことが難しい原因になっていることも多くみられます。

こうした状況は、心理学的には「共依存」と言いますが、状況からはわかりにくいけれど、心の状態としては、お互いがお互いに依存しあって成り立っていると言う事ができます。

こうした心のルーツは、実は、今のお互いの関係より、ずっと昔にあることが多いようです。
心理学では、「今の人間関係のルーツは親との関係」という見方をします。
例えば、親に厳しく育てられて、愛されている感覚がないまま育ったりすると、「自分には愛される価値がない」「誰にも愛してもらえないに違いない」という思いを心の中に作り出します。
あるいは、家族の中に苦しんでいる人がいた場合に、子ども心に何もしてあげられなかったという経験が、助けたかったのに助けられなかった、という心を作り出したりします。
子ども時代の経験から、私たちは様々な心を自ら作り出し、それが自分の心を縛る「自己概念」となって、大人になった今も、私たちの心を支配し続けることがあるのです。

ですから、今の相手との関係が、子ども時代の親との関係など古い心の傷や体験にあるかもしれない、という視点を持って整理する事は、とても約に立ちます。
もし、相手が変わっても同じ事をくり返さないために、あるいは、今の相手に原因や理由を求めて相手を責めなくてもすむこともできるかもしれません。
けれど、心の深いところに関わってくる事ですので、これはある程度の時間がかかります。
信頼できる友人に助けを求めたり、カウンセリングを使っていただくなど、誰かの助けを借りていく必要があると思います。

そうはいっても、これだけ切迫している苦しみをそのままにしておくのは苦しいですよね。
そこで、とにかく思っていただきたいのは、「私だけが悪いのではない」とご自身の心に言ってあげることだと思います。

先に書かせていただいた、私の心の中に大きく占めている「罪悪感」が自分の心を縛っていることを思い出してください。
その上で、自分が全て悪い訳じゃない、彼にも原因はあったし、私もできる限りのことはやってきた、と思ってみてあげることが大切です。
自分のことを大切にできていない、ということを思ってみてあげてください。
あなたは、あなたができることを精一杯やってきたのです。
そんな私を許し、大切にしてみようと思っていただきたいのです。

自分のことを大切にできていないと、私の幸せを私のものとして感じることができなくなります。
いろいろは理由はあれ、今のatsukoさんは「私の幸せは、彼次第」になっておられるように思います。
だから、彼に合わせてしまい、離れることや話し合う事ができなくなってしまうのです。
目標は、「私の幸せは、私次第」つまり、私の人生は私が決めるのだ、と思えることなんですね。
そうすることで、自分で自分の人生を歩んでいくことができるのです。

急にはそうは思えないものです。
苦しい時困った時には、繰り返し心に唱えてあげてください。

「私だけが悪いのではない」
「私は自分を大切にしよう」
「私は自分を許します。

そう、唱えてあげましょう。

そして誰かに援助を求めてください。もう一人でやらなくてもいいんです。

atsukoさん。
あなたは心の優しい人です。
愛にあふれている人です。
だから、彼を助けたいと思い、そして彼を助けられなかった自分を責めておられるのです。
こんな素晴らしい心を持っている人は、愛される価値がある人だと思いませんか?
どうか、こんな素晴らしい心を持っているご自身の価値を感じてあげてください。
あなたは愛されるにふさわしい人なのです。

ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。