ご相談、ありがとうございました。 ずいぶん、がんばってこられましたよね。 つらかったであろう時期も、HPをご覧いただき、ご家族をよりよくさせていくことに使っていただいたのですね。 嬉しい限りです。それから、子供さんは、結婚されてずいぶんしてからできた、待望の赤ちゃんですね。 子供は親を助けにやってくる、といわれています。 だから、子供が生まれるのは、たいてい親が行き詰まっているときなのだそうです。 私は、なんとなく、このことを信じています。 カウンセリングやセラピーで、子供がいなければ、私はきっと死んでいたでしょうとか、ここまでがんばれませんでした、という声をよく聞くからなんですね。 もちろん、しあわせな顔をして、いい意味でおっしゃいます。 子供は私にとって、命そのものなんです、と。 それくらい、大手をふって愛情を与えることのできる存在というものは、何か、生命を感じさせてくれるものなのかもしれません。 きっと、お二人のもとにやってきた息子さんも、あびこさんやご主人にとって、文字通り、命をもたらしてくれた存在なのでしょうね。 さて、ご主人の不倫以後、ご自分を省みて、家庭を安らぎの場にしようと勤めてこられたあびこさん。 けれども、定期的にぶり返す彼女への思いや、今度は会社でのストレスから、ご主人がだいぶ苦しまれているご様子、あびこさんもおつらいですね。 さらに、ご主人の気持ちがゆらいだときに、早急な離婚の申し立てをされることも、とありますが、どんなお気持ちでしょうか。 どうか、ご自分を責めないように、と願うばかりです。 この先、どうなるんだろう、と思うかもしれませんが、そんなときにはちょっと後ろを振り返ってみてください。 結婚してからのこと、同居の問題、子供さんを授かったこと、そして、不倫発覚。 ここまできたのです。 あなただけではありません、ご主人も、息子さんも。 以前よりも会話が増え、正直に気持ちを話せるようになりました。 あんなにつらいことがあったにもかかわらず、向かい合うことをいとわなかったお二人。 もしかしたら、今までなんとなく見て見ぬふりをしてきたこと、ごまかしてきたことと向かい合っているのかもしれませんね。 これからが、夫婦としてのスタートかもしれません。 自分でもどうにもならない状況の中では、誰しも自分の持つ力を信じられなくなってしまうものです。 まるで、自分が状況に振り回されているような。 そうなると、混乱して迷いがでてきてしまいます。 どこに行ったらいいのかも、どうしたらいいのかも、分からなくなってしまうような心もとなさ、頼りないような、おぼつかないような、そんな不安の中で、ただ、もがくだけにはなりたくない、そう思ったからこそ、ご相談くださったのですよね。 ここでは、信念というか、何かを信頼することが鍵になりそうです。 「これを信頼するんだ」、というようにはっきりと腹が決まるというか、重心が定まると、ぶれなくなりますよね、そんな感じです。 何かを貫くためには、信念が必要ですよね。 そのためには、ご自分の判断に対して、責任をもつことが必要になります。 責任というと、「責める」という字を書くので、まるで責められるとか、我慢しなくてはいけない、とか、日本の社会では辞職とか、そんなイメージに思いがちです。 もちろん、ここでお話したいのは、そうしたことではありませんのでご安心くださいね。 では、責任とは何でしょうか。 責任とは、未来に対して負うものです。 例をあげてみたほうがわかりやすいと思います。 ご主人とは、息子さんが18歳になるまで、つまり17年後までは夫婦でいると決められたのですよね。 だとしたら、17年後を目安にしてみましょうね。 17年後、あなたはどんな自分になっていたいでしょうか。 息子さんには、どんなふうに成長していて欲しいですか? どんな母親でいたいですか。 どんな親子関係でありたいでしょうか。 あなたとご主人とはどんな関係を築きたいでしょうか。 例えば、17年後、息子さんには笑顔でいてもらいたいですよね。 このことについて、あなたは決めていますよね。 だからこそ、ご夫婦で話し合った結果、期間限定ではありますが離婚をしないという結論に達したのです。 そうです、離婚をせずにいると決めたのは、息子さんが笑顔でいるための「手段」なんです。 責任というのは、こうありたいと思うこと、そのことに対して自分の態度やふるまい、行動を「自分で選択する」ことなんです。 こう考えてみてくださいね。 あなたはあなたの人生において目的を決めることができます。 その目的に対して、手段を変えていけるのだと。 手段をどうするのかを選ぶことに対して、あなたの責任があるのです。 (もちろん、目的も変えられます。あなたが望むなら、です) 「子供が笑顔でいる」、このために「あなたにできること」は臨機応変に変えていくことができる、ということなんです。 平たくいえば、子供が笑顔でいてくれれば、何でもいいわけです。 子供さんの笑顔という目的においては、別れる、別れないは手段のうちのひとつに過ぎない、ということなんですね。 もちろん、離婚を勧めているわけではありません。 コミュニケーションも振舞いも態度も、あびこさんの目的の前には手段であって、目的ではないのです。 私たちは、つい、目的と手段を並列に扱ってしまったり、ひどいときには逆転させてしまいます。 たとえば、大阪に住んでいたとして、東京(目的)に行くとします。 飛行機や新幹線が手段となります。 東京に行くために、手段はどれでも「選べる」ということです。 目的と手段がごっちゃになってしまうと、東京に行くには飛行機しかない、と思ったり、飛行機に乗るからこそ東京に行ける、と感じてしてしまうのです。 まず目的ありき、と気づいたとき、私たちはいくらでも手段を考えられるものなのです。 飛行機、新幹線、車、バス、フェリー、バイク、歩き、それぞれ組み合わせてみたり、さらにはヒッチハイクでもスキップでもツーステップでも……、私たちは自由になります。 手段を、私たちは選ぶことができる、自分で選んでいる、ということを思い出すからなんです。 迷ったら、目的を思い出してみてください。 息子さんの笑顔のために、今の自分に何ができるのだろうか、と。 もちろん、目的は自分のしあわせもありますよね。 自分の笑顔のためには、何ができるのだろう。 一緒に暮らしているからには、せめてその間には旦那さんには笑顔でいてもらいたい、と考えたとしたら、ご主人の笑顔のために、何ができるのだろう、と。 ご主人がこうするから、ではなく、そもそも、私がこうしたいから、こうするのだというのをベースにしてみるのです。 ご主人が、イライラして八つ当たりしたとき、どうしたらいいのか分からなかったり、うろたえたりしますし、腹も立ちます。 そんなときに、目的を思い出してもらいたいのです。 何が目的で、そのために、自分はどうすることを選ぶのか。 取り組むと分かるのですが、すぐに簡単にできるわけではありません。 はじめのうちは迷ったり、思考が働かなかったりします。 新しいことをはじめるのだから、当然ですよね。 考えてもみてください。 今までと同じことをすれば、今までと同じ結果が手にはいるだけですよね。 今までと違うことをするからこそ、可能性が広がるのだと思いませんか? また、うまくいかない理由のひとつは、私たちには感情があり思考よりも感情に左右されてしまうからでもあります。 途中、ご自分の不安や怒り、みじめさといった感情も出てきて、そのことと向かい合うことも必要になってくるかもしれません。 こうした感情は、「痛み」から来るものなので、上手に感じたり、開放することで、少しずつ感じても左右されなくなったり、痛みそのものが薄くなったりしますので、安心してください。 しんどくなってしまったときには、カウンセリングを利用してみてください。 感情を開放するなど、感情を直接扱いたい場合には、面談を利用するとより効果的かもしれません。 続けていくうちに、だんだん重心が定まってきます。 そして、ご主人も自分によって左右されないあびこさんを見て、感じるものが出てくると思います。 何より、気持ちが定まってくると、あびこさん自身が自由になるのを感じられると思います。 それは、ふわっとした自由というよりも、底力があるというか、地に足がついたようなパワフルな自由で、内側から何か湧き出てくるような感じなのです。 はじめる前は、こんなことは私にはできない、と感じられるかもしれません。 どうか、チャレンジしてみよう、という勇気を持ってみてはもらえないでしょうか。 これから大きくなっていく息子さんのため、ご主人のため、そして、あなたのために。 子供のしあわせを、親は願うものですよね。 わが子が、たくさんのひとに、愛されるひとになりますように。 けれども、何よりも、多くの親はこう望むものです。 この子が、たくさんのひとを、愛せるひとになりますように。 母として、信念に向かいながらひとを愛する姿を見せて感じさせてあげることができたとしたら、それは息子さんが大人になって社会に出て行くときに、なによりのはなむけになるのではないでしょうか。 うまくいくかどうかよりも、ベストを尽くしている母の姿を見せてあげたいと思いませんか。 お父さんの急な変化があったとしても、母親がそれに動じることなく、信念をもって対応するとき、子供は、家庭内に少々の変化があったとしても、いつもの状態が壊れるわけではない、もとの流れに戻ることができるのだと理解し、より深く安心することができます。 ご主人とやり直したいと、自分を省みて何度もHPをご覧になって努力し続けたあびこさん。 これからがスタートということは、新しい「家族」というものをもう一度はぐくんでいけるチャンスでもありますよ。 最終的に、離婚になったとしても、ここでベストを尽くした自分がいたときに、誰よりもご自分が、自分の選んだ人生に納得をすることができるのではないでしょうか。 あなたと、ご家族の方すべてがしあわせでありますように。 お祈りしています。 |