きょうだいの心理学(4)~三人きょうだいと、それ以上~

三人きょうだいになると、とかく第二子が浮き易く、独特の人生を歩むことが多いことに気付かされます。

一方、第一子は子ども達のリーダーとして、良くも悪くも注目を浴びますし、末っ子になると“孫”的要素が入るので、ちやほや甘やかされ易くなったりもします。

また、4人(以上)のきょうだいですと、更に第一子は親代わりとなり、また、3番目(下から2番目が)の存在感が薄く存在意義が見えなくなったりするようです。

3.三人きょうだい

埋もれないように独特の道を行く第二子

三人きょうだいの特徴は、とかく真ん中が浮き易いということです。
二人きょうだいのケースと同様、第一子が東に行けば、第二子は西に行くわけですが、じゃあ、第三子(末っ子)はどうかというと、東よりの中間地点に行くことが多いようです。

結果、三人の関係は、「上<末っ子<真ん中」という距離感になりやすいんですね。
そして、二人きょうだいのところで述べたように、一般的に第一子が一番親に近いところにいるわけですから、第二子はとても家族から離れたポジションにいきやすいんです。

それで、独特の世界観を持ち、わが道を行くことも多くなります。親から見ても、第一子は初めての子、第三子は末っ子なので、その真ん中というと、どうしても目が届きづらいもの。

それ故に、第二子としては「目立つことをしなければ愛してもらえない」というような心理が働いて、独特の行動を取るようになるわけです。

また、そのような状況なので、早くに自立して家を離れることも多いんですね。

“家族の5つの役割”で言うところのいわゆる「傍観者」の立場を取り易いのも第二子の特徴です。

だから、案外孤立しやすく、心の中に寂しさを抱えた方も少なくありません。
本人は決して見せはしないけれど、周りの人はそんな点に配慮してあげるといい関係を築けるかな、と思います。

リーダー or 引きこもりな第一子

また、二人きょうだいのところでも紹介しましたが、第一子は親にとってもはじめての存在なので、とても慎重に、緊張した接し方をします。

だから、一般的に第一子は神経質で、まじめで、きちんとした子が育ちやすく、人の顔色を伺うようになることも少なくありません。これは親の顔色を伺っていた名残りですね。
ただし、反抗期(思春期)を経て、真逆に振れることもあります。
親に近かった分だけ、離れて暮らすケースも少なくはありません。

また、特に三人以上のきょうだいになると、第一子は「第二の親」というべき役割を担うことも少なくありません。というのも、3人以上は母親の手(2本)にも余るわけで、どうしても、第一子に「お願いね」と頼むことが増えるからです。

例えば、「真ん中の子を病院に連れて行くから、その間、下の子の面倒を見ておいてね」などと言われた長男・長女も少なくないのではないでしょうか?

それ故にとてもしっかりした性格になりやすく、リーダーシップも取ることが多いが、逆に子どもらしさを封印して育つことにもなり、“内側に幼い子どもを抱えた立派な大人”になりやすいんです。

だって、長子というのは二番目が生まれるまでは親の寵愛を一身に受けてきたわけですからね。本当は寂しがり屋で、甘えただったりするのです。

従って、いい方向に育てば多くの人を束ねる頼もしいリーダー的存在になっていくのですが、どこかで挫折したり、将来に夢や希望が持てないと自分自身の存在に疑問や不安を感じ、内なる子どもが盛んに出てきて引きこもってしまうことも少なくありません。

大人の面と子どもの面、両方を持ちますから、特に、実は甘えたな性格を理解してあげるといいでしょう。

いつまで経っても子ども扱いな第三子

さて、末っ子らしい末っ子といえば、3人きょうだい以上に典型ですね。
甘えたで、わがままで、でも、かわいらしくて憎めない。
そんなキャラクターが一般的かと思いますが、実は、これもまた、処世術の一つなのです。

というのも、生まれた時点で2人の先達がいるわけです。
よって、育ちながらも「自分は何もできない」という無力感に苛まれることが多くなるんです。

例えば、2歳ずつ違う3人きょうだいがいたとしましょう。
生まれたとき、お兄ちゃんは4歳、お姉ちゃんは2歳です。徐々に自立をはじめ、何でも自分でしたがる2歳の頃には、お兄ちゃんは6歳、お姉ちゃんは4歳。
まだまだ、みんな子どもですが、でも、6歳や4歳の子どもにできて、2歳にはできないことは山ほどあります。

こぼさずにご飯を食べられない、お人形ごっこもできない、ボタンも一人でははめられない、保育園や幼稚園にも行けないし、お兄ちゃん達みたいに早く走れない・・・等々、大人から見れば「そりゃ、2歳だから当たり前でしょ」と思われることも、2歳の子どもからすれば「お兄ちゃん達はできるのに僕はできない・・・」と無力感を強く持ちやすいのです。

また、面倒見のいいお姉ちゃんがあれこれと手伝ってくれたり、3人目ともなると、若干「孫」の要素が入ってくる親が、やはり過保護なほどに手を出してくると、もはや、自分は何も出来ないお荷物なんじゃないか?と思うこともあります。

これは年の離れたきょうだいの場合は顕著なようですね。

因みに、親の立場から「3人目から本当に子育てが楽しくなる」と言う話をよく聞きます。つまり、上二人で様々なことを経験して、それだけ親にも余裕が出てくるんですね。

だから、発想並びに行動はとても自由であり、また、その愛されるキャラクターにより、どこに行ってもかわいがられることが多いようです。
だから、自分に自信さえ持てれば、大活躍する可能性が多く、一流のアスリートにも末っ子は少なくないんだそうですね。
どうやる気を引き出すか?負けん気をつけるか?さらに自信をつけさせてあげるのか?
がポイントなのかもしれません。

なお、心理学的に見ると末っ子は「お父さん、お母さん、きょうだい、そのみんなを救いにくる存在」であり、才能も豊かに生まれてくることも多いようです。

 

4.四人きょうだい以上

最近では珍しい四人きょうだい。
大きな傾向としては三人きょうだいと似ているところが多いかと思います。
それは四人以上になっても同じで、三人兄弟の傾向を併せ持っていますから、詳しくはその節をぜひ、ご覧下さい。

さて、4人になると、上二人がくっつく傾向が強くなります。同性ならば特に。
そして、下に少なくても2人はきょうだいがいるので、精神的に大人になるのが早く、子ども時代をおいてきてしまうことも少なくないようです。(三人きょうだいの長子的な傾向)

故に、自立して頼りがいがあり、しっかりしているが、子ども時代に満たすべき依存心が満たされていないので、内面には依存心を強く抱えていることが少なくありません。

また、二番目はとても気楽なポジションです。責任を負うのは長子、下はまだ何もできず、ということで、あれこれと自由な発想で外に遊びに行ってしまうことも少なくありません。三人きょうだいの真ん中(第二子)の傾向もやはり持っています。

さて、三番目。実は、かなり影の薄い存在になりやすいんです。
大人になってお母さんから「あんたがどんな子だったか、ほとんど記憶にないわあ」とつれなく言われてしまった方もいらっしゃいました。

長子ははじめての子、第二子は個性的な子。その後に生まれ、さらに、甘えたな末っ子が下にいるわけですから、一番目立ちづらいんですね。
実際大人しい子も多いようです。
とはいえ、その環境の中で着実に自分の世界を築いていくので、案外、きょうだいで一番独立し、成功する可能性も高いようです。

また、末っ子はやはり末っ子なのですが、三人兄弟までよりも、より「孫」色が入りますね。
両親も高齢になり、また、長子もだいぶ大きくなってることが多いですから特に。
「一番上の姉を母代わりにして」みたいな話も聞いたことがあります。

だから、かなり過保護もしくは、放任的な育ちをすることになります。
三人きょうだいの第三子の欄を参照下さいね。

最後に

今回はきょうだいに焦点をあて、お話をさせて頂きました。
皆さんのパターンに当てはまるところがあれば、なるほど!と膝を打って楽しんでいただければ嬉しい限りです。

今回はカウンセリングを通じて学んできた実践的な面を強調させて頂いています。
自分を知る、あるいは、人を知るために活用下さい。

それぞれ長所・短所と取れる記述が含まれていたかと思います。
それをいいとか悪いとか判断するのではなく、一つの個性として、自分らしさの一つとして捉えていただけましたら幸いです。

もし、今の問題にきょうだいとの関係がどう影響しているのかを知りたくなりましたら、ぜひ、その際はカウンセリングもご利用くださいませ。
きっとお役に立てると思います。

ありがとうございました。

(完)

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