喪失感に襲われます

相談者名
ひいな
私には付き合って1年半の彼がいたのですが、先日彼の子供を妊娠したことが分かりました。
私は半年前に卵巣の病気を指摘され、もしかしたら子供を産めない体になるのではないか、という焦りもありましたが、なにより彼の子供がほしいという気持ちが強くなり、その気持ちをはっきりと彼に言ったわけではありませんが、避妊をしない関係を持っていました。
でも、10月に入ってすぐに喧嘩をしてしまい、一方的に別れを突きつけられたのですが、その直後に妊娠が分かりました。
私は彼が好きだったし、子供は産みたいということを伝えたのですが、彼は「俺はもう好きじゃない、仲がよくない両親の間に生まれる子供は不幸だ」「生みたいというお前の考えはエゴだ」と言われ、会ってもくれませんでした。
悩みぬいた挙句、中絶したのですが、赤ちゃんを失った悲しみと罪悪感、結婚してきちんと産んであげれる状況になってないのに妊娠を望んだこと、自分の愚かさにこれから生きていく気力さえ持てません。
命を生み出すことの責任の大きさを私は何も分かっていませんでした。
中絶後、つわりもなくなり、怖いくらいに元の体に戻っていきます。
体はどんどん忘れていくみたいで、私の中から命がいなくなったことを痛いほど実感させられます。
体も街中で見る親子連れもテレビに映る赤ちゃんの映像もすべてが私を責めているように感じます。
母親には話して、一緒に供養にいってもらおうと考えていますが、気持ちが整理できるか自信がありません。
内容が内容なので思いを打ち明ける人もおらず、自分の中に蓄積していくばかりで苦しいです。
私はこれからどう心を整理していけばいいのでしょうか。
カウンセラー
木村祥典
ひいなさん、はじめまして。木村と申します。
ご相談ありがとうございます。

大好きな彼や、欲しかった彼との間の赤ちゃんなど、大切なものを失ってし
まって、心に大きな穴が空いてしまったようですね。
そして、そのスペースに、罪悪感が入り込んでしまっているようです。

大切なかけがえのないものを失ったわけですから、その悲しみや空虚な感じ
は大きなものだと思います。

卵巣の病気から子供が産めなくなるかもしれないというのを知った時には
ショックを受けたと思いますし、彼との子供が欲しくなったのも、私なりにで
すが、お気持ちお察しします。

だから、私は、ひいなさんが妊娠を望んだことが悪いことだとは思いません。
ごくごく自然な心の動きであると思います。
そして、ひいなさんが愚かだとも思いませんし、命を生み出すことの責任の大
きさがわかってなかったとも思いません。

その責任の大きさがわかるからこそ焦りのようなものが出てきたのだと思い
ますし、その責任の大きさがわかるからこそ、今、これだけ辛い思いをされて
しまっているのだと思います。(「責任」という言葉にしっくりこないのですが、
便宜上使わせていただきました)

これからどう心の整理をしていけばいいのか?というところですが、心に空い
てしまった穴に入り込んでしまった罪悪感を外に出して、その代わりにそこに
収まるべき感情を入れてあげるという方向で整理していく、というのを提案さ
せていただきたいと思います。

ひいなさんが罪悪感を持ってしまうのも無理もないと思います。
罪悪感を持ってしまって、そのために自分を責めてしまうのは辛いですよね。
それはとっても辛いことなのですが、ひいなさんが罪悪感を持ってそれで苦し
んでいると、それは、ひいなさん以外の人達にとっても辛いこととなってしま
います。
ひょっとすると、それでまた罪悪感が大きくなってしまうかもしませんが、こ
こで目を向けていただきたいのが、その罪悪感ではなく、「どうしたら、まわ
りの人達にそんな思いをさせなくて済むのだろう?」というところです。

赤ちゃんのことを想うがために、これだけ厳しく自分のことを責めてしまうひ
いなさんになら、きっとできることだと私は思います。
それだけ誰かのことを想うことができるわけですから!

ひいなさんが罪悪感を持ってしまうことで最も辛い思いをしてしまう人の一人
が、天国へと旅立った赤ちゃんです。

ちょっと想像してみていただきたいのですが、もし、天国の赤ちゃんが、今の
みいなさんの様子を雲の上から見ていたとすると、どんなふうに思うでしょう。

「私が生まれることなくこの世を去ってしまったために、お母さんはあんなに
苦しんでいるんだ…」
「私がお母さんの元に行きたいって思ってお腹に宿っちゃったから、お母さん
はこんなに辛い思いをしているんだ…」

もし、赤ちゃんがそう思っていたとしたら、その時、赤ちゃんはどんな顔をし
ているでしょうか?

その顔をひいなさんが見たとしたら、どんな気分になって、どんな表情になる
でしょうか?

赤ちゃんは、そんなお母さんの様子を見ると、もっと自分のことを責めるで
しょう。

このように、罪悪感と自己攻撃が、どんどん大きくなりながら連鎖していって
しまうのです。

少し長くなってしまいましたが、このように、罪悪感を持つことで幸せになれる
人というのは、残念ながらいません。
ですので、罪悪感の代わりにそこに収まるべき感情や、それを感じられるよう
な意味などを探してみましょう。

罪悪感の代わりに収まるべき感情というのは、言い換えると、罪悪感よりも大
事にしたい感情です。

それがどんなものか、探してみませんか?

どうしたら雲の上の赤ちゃんが笑顔でお母さんを見守ることができるのか、
探してみませんか?

赤ちゃんがひいなさんの元にやってきてくれた意味、そして、この世を去る
時に残してくれたメッセージがどんなものなのか、探してみませんか?

ひいなさんにその罪悪感を持ち続けていて欲しいという人は誰もいません。
それは、私達カウンセラーも同じ気持ちです。

ひいなさんが少しでも早くその重荷を降ろせるように、お手伝いをさせていた
だきたいと思いますので、もしよかったらカウンセリングを使ってみてくださ
いね。

どうか、ひいなさんがすこしでも早くその罪悪感から解放されるように、お祈
りしております。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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