「私は人とは違う特別な存在だ」と感じる一方で、孤独感がある場合はどうしたらいいでしょうか
実は、過度な優越感を持っていると、人との間に距離ができてしまうのです。優越感を感じることで、自分の価値を確認しているのですが、その根底には、そのままの自分では価値がないという感覚があります。
寂しさから抜けるためには、人と比べて優劣を判断する発想を止めることが大切です。お互いを、優劣ではなく違いとして認め合う関係性をつくっていきましょう。
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◎リクエストを頂きました◎
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毎日、心の底から寂しさを感じています。普通が嫌いで、普通でない体験をしてきた人生です。
他の人と比べると、共通点より異なる点のほうが多いです。特別感や存在感にこだわっています。
ちなみに、うちの家はみんなエリートで、優れた人たちです。
周りの人に対して優越感は感じるのですがが 尋常じゃないほどの孤独感があります。
(一部編集させて頂いています)
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リクエストありがとうございます。
今回、担当させていただく高見綾です。どうぞ、よろしくお願いします。
私は「人とは違う、特別だ」と感じる一方で、孤独感があるというお話です。優越感は、自分には価値があると感じられ、一時的にはとても気分がいいものですが、一方で、周りの人と距離ができてしまう要因にもなります。
優越感と孤独感の関係をひもとき、どうやったら寂しさから抜け出すことができるのかを考えていきたいと思います。
◆特別意識のもとになるもの
リクエストでは、普通が嫌いで特別感にこだわってきたということですが、「普通だとつまらない・平凡だ」、といったネガティブなイメージがあると、普通ではない、人と違う経験をすることによって、自分に特別意識を見出すことがあります。
「普通じゃない経験をした私には特別な価値がある」と感じるのです。普通と違うことが、自らのアイデンティティの拠り所になります。
特に家族がみんな優秀だと、優秀なのが当たり前の環境になります。他の人からみたらすごいことであっても、家族の中にいるとそんなに大したことじゃないと感じてしまうかもしれません。
カウンセリングでご相談を伺っていても、優秀な人なのに劣等感が強い人というのは、親や兄弟など、家族に誰かずば抜けて優秀な人がいたというケースが多いです。このような環境にあると、家族の中で感じる劣等感から抜け出すために、普通じゃないもの、何か特別な経験や人生を求めてしまうことがあります。
◆優越感と劣等感は表裏一体
優越感と劣等感は違うもののように感じますが、実は同じ発想から生まれるものです。優越感を感じているということは、どこかで同じだけの劣等感を感じているということでもあります。
例えば、頭が良くてかつ芸術の才能があったとします。自分より下の人たちと比べると優越感を感じることができますよね。ところが、頭の良さという点でも芸術の才能という点でも、上を見ればキリがなく、自分より優秀な人は誰かいるものです。
優越感と劣等感は表裏一体なので、人と比べることをしている限り、どちらも感じることになります。人間なので人と比べてしまうことは仕方がないのですが、あまりに気にしすぎると、優越感も劣等感も一緒に感じることになってしまい、かえってしんどくなるものです。
ただし優越感を感じている間は、劣等感を感じなくて済んでしまうことが多いため、自分に劣等感があるということに気づかないことも多いです。もし優越感や、特別感がなかったとしたら、そのままの自分には価値がないという感覚が根底にあるのです。
◆人と比べる世界から抜け出す
人と比べることは、優越感と引き換えに、人との間に心の距離を作ります。「私は人とは違うから、周りの人には理解されない」と感じてますます周囲に心を閉ざし、孤独感を深めていくきっかけになりますので要注意です。
また、優越感や劣等感を感じている相手には近づきにくいものです。距離が近くなると、そのように感じていることが相手に伝わってしまいますから都合が悪いのです。
これは「私とあなたは違う」という分離の世界です。特別意識が増すほど、孤独感は色濃くなっていくのです。
寂しさから抜けるためには、人と比べて優劣を判断する発想を止めることが大切です。比べるのなら、少し前の自分と今の自分を比べるのです。前できなかったことが、今出来るようになったり、前よりも多くの経験をしたのであれば、自分が成長したという証です。自分以外のものに注目するのではなく、自分自身に集中して、加点方式で見てあげたほうが、心穏やかに過ごすことができます。
特別意識は劣等感の裏返しです。優越感がなくなったら自分の価値もなくなるような感覚がするかもしれませんが、そうではありません。本当の意味での自分の特別さに気づくきっかけになるのです。
自分をしっかりと認めてあげて、自分に価値があるとわかれば、自分の特別さにこだわる必要がなくなります。お互いの違いを、ただの違いとして受け入れることができたら、人に心を閉ざす理由がなくなります。
優劣ではなく、お互いの違いを認め合って、理解し理解される関係性をつくっていきたいものですね。
参考になりましたら幸いです。
(完)