私を受け止めてくれる人はいるのでしょうか?

相談者名
さくら
親密な関係がもてないことで悩んでいる、30代女性です。

約10年前に、家を出てから、両親、兄弟、親戚等とは付き合いを持っていません。子供のころから、両親の支配(暴力を含む)、過干渉、依存、兄弟との差別に悩み、あることがきっかけで、両親と対決をしましたが、まったく聞き入れられず、「子供のころから、お前は本当にかわいくなかった」と言われ、家に居ることに限界を感じ、家を出ました。
その後は、経済的には自立できているので、一人暮らしをし、今までやりたくてもできなかったこと(進学等)をいろいろしてきました。また、対人関係が不得意なことも自覚していたので、本を読んだり、ワークショップに参加したりして、自分なりに努力してきました。そのこと自体は良くがんばってきたと思います。
でも、やはり友人関係や異性との関係は難しいのです。
学生のころから、友人は私なりに大切にしてきたつもりですが、例えば、家を出たときは、誰一人として、話を親身に聞いてくれることはないし、「暗い話ばかり」といわれたり、不幸話を楽しまれていたりと、共感や助けはもらえませんでした。私の中には、<私はあれだけ、みんなを大切にしてきたのに、私は大切にしてもらえなかった>という感覚が残っています。
その後も、人間関係のトラブルがいろいろあり、世間話程度や仕事以外で人と関わることはなくなりました。これでは、いけないと思い、習い事等で一緒になる知り合いと食事をしてみたりもするのですが、ライバル意識やねたみを感じたり、こちらへの依存性が高かったり、自分の幸せ話ばかりされたりなど、付き合いを続けていきたいと思うような人には出会えません。いやな一面をみると、付き合いをやめてしまう私にも、対人耐久性?がないのは分かっているのですが、できないのです。
ここ数年、私の周りに居る人は、家族とも仲良しで、いいパートナーがいたりで、私だけが気にかけてくれる人や、一番私を大切にしてくれる人、助けてくれる人が居ないと、よく感じでしまいます。家の事情を小出しに話してみても、理解してもらえないので、まったく親、兄弟と付き合いがないことも誰も知りません。周りは、面倒見のよい、しっかりした人と見ているみたいです。
いろんな事情を知った上で、私を受け止めてくれる人は居るのでしょうか?

カウンセラー
中原謙一
さくらさん、はじめまして。
私は、中原謙一と申します。
どうぞ、よろしくお願いします。

さくらさんが、本当に過酷な状況の中でも自分を見失わずによく頑張ってこられたのだな、とメールから今までの頑張りが沢山伝わってくるのを感じました。
本当に、一人で頑張ってきたのですね。
そして、何よりご自身の頑張りを認める事のできる謙虚さも持ち合わせている所はさくらさんがそれだけ成熟した大人として今日まで自分を成長させてきた結果だと思います。

実際さくらさんの場合、ご家族やごきょうだいとの関係は、今現在の家を出られてからではなく、実際一緒に生活をしていらした頃の方がもっと辛かったのではないでしょうか。

「もう一緒にはやっていけない」と家を出られた時も、楽しい選択等の<幸せになるための選択>というのではなく、どちらかといえば「もう、耐えられない!」という<苦渋の選択>である気持ちの方が大きかったのではないでしょうか?

そしてもっと言うなら、幸せになるための選択と言うのをする事に、どこか罪悪感のようなものや「良くない事」という感覚がさくらさんの中に存在してはいないでしょうか?

こんな、すごい力を持っているさくらさんですから、さくらさんとお付き合いできる人はきっと幸せになれると思うんですよね。でも、さくらさん自身は、どこかその力で逆に自分には幸せを見せないようにしているのではないかな?ともメールから感じたのです。

まず、メールから感じるところ、さくらさんのご両親はとても心に余裕のない方たちだったように感じます。そして『おまえはかわいげのない子だ』と子どもに言ってしまうほど、与える事も、受け取る事もとても下手なご両親だったのではないでしょうか?
暴力や過干渉という形や、さくらさんに与える事ができなかったり、さくらさんがしてあげたことも受け取るよりは、はねつける形でしか接せられなかったのかもしれませんよね。

そしてごきょうだいの中でも、多分一番しっかりしているのはさくらさんだったのかもしれませんね。

ご両親からしてみると、一番しっかりしているさくらさんを見ていると「この子はこんなにしっかりしていて、ダメな自分とは大違い。自分のダメな所がいっぱい見えてしまう」と言う罪悪感を刺激されてしまうことがあったのかもしれません。
それが罪悪感の裏返しとして過干渉と言う形で現れる事もあったのかもしれませんね。

その反面で
「この子なら、しっかりしているからダメな自分がこれぐらい頼っても大丈夫。私たちはできないから、しっかりしているこの子ならこれぐらいやってくれても当たり前」
という気持ちがどこかにあったのかもしれません。その結果、きょうだいの中でもさくらさんに一番当たりがきつくなってしまっていたのかもしれませんよね。

もちろん、決して許される事ではありませんが「暴力」もその一つだったのかもしれません。
その行為自体は許されることではありませんけどね。

ですから、もちろん「そんなご両親を許してあげましょう」なんてお話をするつもりは毛頭ありません。
ですので、無理に理解しようと努力したり、「許してあげなくちゃ」なんて思わなくていいです。
むしろそのやり方が良くなかった事をしっかり見てみましょう。

「許さなければ幸せになれない」わけではなく「許さなくても幸せになれる」くらいの気持ちが必要です。

そして、次にそういうご両親のやり方そのものを客観的に「そういう事をしている他人の行動」として思い返してみましょう。怒りが出てきたり、悲しくなったりとすぐにはできないかもしれません。
ただ、そう見てみようとするだけでも良いですからね。
時間がかかっても、できるようになってからで、いいですからね。

少し思い返してみるだけでもいいのですが、どうでしょうか?
「こういう人になりたいな!」と思ったでしょうか?
それとも「こんな人間には絶対になりたくない!」と感じたでしょうか?
どちらでしょう?

これは、心理学の定石で「ああはなりたくないと思うとああなってしまう」という法則があって、自分の親(特に同性の親)を否定すればするほど、気がついたら、自分も同じような事をしてしまっている…と言う事がよくあるのです。

これは、もちろん幸せになりたいからこそ「ああはなりたくない!」と思っているのですけれども、「なりたくない!」と強く感じれば感じているほど、無意識の中に奥深く「悪い見本」への怒りの気持ちが強くなりすぎて、自分の幸せになるための選択や、自由な気持ちが外に出る事を阻んでしまいがちになってしまうパターンがあるのです。

そうなると、幸せになれる話よりもそうではない話の方にどうしても興味が沸いてしまったり、自分をゆったりと待っていてくれる男性よりも、どこか刺激的ではあっても破滅的な男性を選んでしまったり、穏やかな人よりも野心的な友人を選んでしまったり、ご両親が不和だった事を憎めば憎むほど、気がつけば自分自身もパートナーとの関係が上手く行かなくなっていたりと、さまざまな問題を作り出したりします。

こんな風に、無意識に自分を幸せではない方向にばかり向かわせてしまう事の悪玉ウイルスのようになってしまっている事が少なくないんですよね。

さくらさん自身、子どもの頃から親密感を感じられる環境とは言いがたい環境で育っていたり、『話を親身に聞いてくれる」ことはないし、
「暗い話ばかり」といわれたり、不幸話を楽しまれていたりと、共感や助けはもらえない』と感じる事が多かったり『私の中には、<私はあれだけ、みんなを大切にしてきたのに、私は大切にしてもらえなかった>という感覚が残ってる』と言う辛い環境で、理解を示してくれる人が傍にいなかったので、どうしても「幸せな関係」「親密感を感じられる関係」と言うものが、データとしても少ないし、自分の中に
インプットされていないのかもしれませんよね。

これまで経験してきた関係パターンから、ついついご両親のように「依存的な人」や「自分の自慢話ばかりする人」という<受け取れない人>や<奪うばかりで与えられない人><人の不幸ばかり好む人>が近寄りやすい行動パターンをさくらさん自身が無意識で取ってしまっているのかもしれません。

これはもったいないです!ずっと苦しめられてきたご両親との関係を、今のさくらさんが後継しなくてはいけない理由なんてないのですから。

今からでも、ご両親を完全に切り離して、さくらさんが幸せになるための新しい行動パターンに置き換えてみませんか?

これは、アメリカの歌手ジャニス・ジョプリンが生前にライブのMCで話してた内容にこのようなものがあります。
「隣の部屋に、すごく男にモテる女がいたの。いったい私とどこが違うのか?と思って、朝から夜までずっと観察してみたら、彼女と私が決定的に違う所は『彼女は早起きだった』って事(笑)。私よりもずっと朝早くから起きて、早い時間から通りを歩くから、それだけ多くの男と知り合うチャンスが多いのね(笑)」

多少ニュアンスや訳に違いはありますが、このジャニス・ジョプリンの話でもあるように、幸せな女性への行動パターンに置き換える為に、まずさくらさんにやってみて欲しい事があります。

<幸せ女性の行動パターンを探せ!作戦>です。

さくらさんの周囲には今、幸せな女性と言うのはいませんか?
その幸せな女性を誰でも良いのでピックアップして、「幸せになるパターン」と言うのを盗み取ってみましょう。

・どんな服装をしているか?
・どんな髪型・化粧・装飾品をつけているか?
・どんな雑誌を読んでいるか?どんな本を見ているか?
・どんな趣味を持っているか?
・声の感じはどんな感じか?
・挨拶する時の表情や言葉はどんな言葉か?
・トラブルが発生した時、彼女ならどんな対処法を取るだろうか?
・どんな食べ物が好きだろうか?
・彼女が周囲の人にどんな事をしてあげているだろうか?
・彼女が周囲の人から何かをもらったら、どんな反応をしているだろうか?

と、いっぱいいっぱい、いろんな場面に分けて、こんな風に事細かに観察してみるのです。
もちろん、一人だけではなく複数の「幸せな女性」を観察しても良いです。
ドラマの中で「幸せな女性」を演じている女優さんでも良いです。

そんなパターンのデータを沢山さくらさんの中に増やしていきませんか?
さくらさんほど力を持った女性なら、幸せのパターンを身につけられるとぐっと人生を変えていけると思うのです。

もちろん、幸せへ目を向けようとすればするほど、ご両親への怒りの気持ちや、これまで理解してもらいたくても理解してもらえなかった悲しみなどの気持ちがいっぱい噴出してしまう事もあるかもしれません。
それは脱皮する時の苦しみとしてよくある事ですし、自然な事ですからね。
そんな時は、どうぞ私たちにいつでも声をかけてくださいね。そして思いっきりその気持ちを吐き出して下さい。
さくらさんの中に幸せが入ってくるのに必要なスペースを作るために。

がんばらないで、自分のペースで進めていってくださいね。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

中原謙一

この記事を書いたカウンセラー

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