及第点を目指し手を抜く自分を変えたい/決意を伝え信頼を取り戻したい

相談者名
結婚1年30歳自営業です。
■私は幼少期から、何でも楽に及第点が取れるタイプでした。
誰かに言われたことをやり、他者評価で及第点を目指せば良かった学生・会社員だった頃までは。
私は同時に人に嫌われない為の一生懸命アピールも得意な為、皆私のことを努力家と思ってくれています。
でもそれは人に好かれるための仮面でしかなく、実際はいかに省エネするかを考えたり「この程度なら怒られない」ギリギリのラインを探して及第点を取っていただけで、何一つ本気になったことがありません。
■今、主人と自営業をしているのですが、そんな私の仮面が主人にばれてしまいました。
会社と違って自営業は及第点ではいけません。
しかも2人でやってる事業なので目もしっかり行き届きます。
だから行動の節々から私がベストを尽くしてないことが分かったんだと思います。
■主人が怒りを爆発させ、私が怯えつつ平静を装い「そんなことない」って言いながら、離婚宣言まで行くことをもう月1で計5回以上は繰り返しています。
やりあうたびに激化しています。
ほとぼり冷めた頃に私がまた手を抜き、ミスをしてまた離婚宣言…と同じ事を繰り返してしまいました。
■今日も怒鳴られました。
しかし今日は主人の怒りに惑わされず、問題を見つめたら、ようやく前述の「自分は本気になれない人間である」ということを認める次元まで行きました。
努力家PRしているうちに自分も騙してしまっていました。
よって主人の指摘は当たっていますが、それを認めたら嫌われてしまいそうです。
主人は私に期待してる分失望し、その悲しみが怒りとなって爆発してくるんだとようやく主人の心の動きに気づきました。
■①どういう言葉を使えば主人に今回の私の決意の深さを理解してもらえますか?理解してもらおうというのが間違いですか?旦那は「改善するって言ってからどれだけ時間が経った?そのたびに信じて待ってきたけどもう限界だ。
期待してない。
」「反省ごっこはうんざり」と言います。
「今までは怒りを鎮めることばかり考えて自分を見る余裕がなかった、今回は違う」これを正直に伝えたいのですが「今まで出来なかったのを俺のせいにした」と思われて火に油でしょうか?でもコミュニケーションに難があるのは確かなので相手を信頼して伝えるべきでしょうか?②怠惰に流れる自分を止める方法があったら教えて下さい。
(質問自体が怠惰ですみません。
)どうぞよろしくお願いいたします。
カウンセラー
中山けんたろう
こんにちは、Sさん。
今回のご相談を担当させていただきます、中山けんたろうです。
よろしくお願いいたします。

さて、結婚して1年。
ご夫婦で自営業を営んでいらっしゃるわけですから、この1年はほとんど一日中、二人で一緒に過ごされてきたと考えてもよろしいでしょうか。
結婚を機にご主人とお二人で自営業をされるようになられたということであれば、そちらの方でも1年。
結婚を機に家庭環境が変わり、さらに会社員から自営業への転身は、それは大変なことだったろうと思います。

今回のご相談内容は、「及第点を目指し手を抜く自分を変えたい」ということと、「決意を伝え信頼を取り戻したい」という内容で頂戴しました。
本題に入る前に、ご主人とSさんは、この1年の間に、「休む」ということをされてきたのかなぁと少し気にかかりました。

もしかしたら、お仕事が大変で休みを取れる状況ではないかも知れませんので、「少し休んでみましょう」とは安易に申し上げにくいと思っています。
ただ、ご主人の怒り方がかなり激しいようですし、離婚宣言が月1で計5回以上となると、さすがにSさんのこころがポキリと折れそうになってしまいますよね。

下記の回答を読んでいただいて、少しでも腑に落ちる所があるようでしたら、ご夫婦で、「無理にでも」休みを作って、「休むため」の旅行に行かれることをお薦めします。
そして、二人でゆっくり向き合う時間を是非作ってみて下さい。

さて、本題に入らせていただきますね。

Sさんは、「幼少期から、何でも楽に及第点が取れるタイプ」だったとお書きいただいています。
器用なお子さんだったんだと思います。
その後の人生も、器用に切り抜けてこられたように思われます。
「楽に及第点が取れるタイプ」というのは、とても素晴らしい才能だと思います。
効率的で無駄がないと言うことですから、「自分もそうなりたい!」という方は大勢いらっしゃると思います。

ただ、「同時に人に嫌われない為の一生懸命アピールも得意」という部分が気にかかりました。
及第点をとれるSさんがことさら人に嫌われる理由はないと思うのですが、Sさんの中ではそうではなかったわけですよね。

もしかしたら、何らかの理由により、「ベストを尽くすこと」に対して怖れとか恐怖心を抱いてこられたのかもしれません。
「ベストを尽くして失敗してしまったらものすごくへこんでしまうかも」と思うあまり、あえてベストを尽くさず、ギリギリのラインを探して及第点をとろうとされていたのかもしれないということです。

幼い頃、一所懸命がんばったことを、親や先生などに認めてもらえなかったり評価してもらえなかったりしたために、傷ついたようなことはなかったでしょうか。
Sさんの行動は、自分が傷つかないための一種の自己防衛と言えます。
それ自体は良いとか悪いということではありません。

しかし、Sさんご自身は、ベストを尽くさずに手を抜いているというのが自分で分かっていらっしゃいますから、無意識に「手を抜いている自分はを悪い子だ」と思うようになったとしてもおかしくはありません。
ですので、悪い子だと思われないために、「人に嫌われない為の一生懸命アピール」のワザを磨く必要があった・・・というところではないかと思います。

ご主人の指摘は、的を得ているのかもしれません。
しかし、ご主人にはご主人なりの考えや見方もありますから、いくら夫婦とはいえ、100%受け止める必要もないと思います。
SさんにはSさんなりの生き方、考え方、行動パターン、そしてこころのルールがあるわけです。
すべてご主人の思い通り、つまりベストを尽くそうと無理して頑張れば、Sさんが消耗して疲弊してしまいかねません。

なぜSさんは、「本気になれない人間」になったのでしょうか。
先ほども書きましたが、何かきっかけや原因があるはずですね。
同時に、人に嫌われない為の一生懸命アピールも得意で、周りからは努力家とみられていらっしゃる。

なぜ、そこまでして、人に嫌われないようにアピールをしなければならなくなってしまったのでしょうか。
なぜ、そのような仮面が必要になったのでしょうか。

「自分は本気になれない人間である」ということを認めたら嫌われてしまいそう・・・と考えていらっしゃいますが、むしろ逆なのです。
Sさんは自分自身で、「自分は本気になれない人間である」ということを認める次元まで到達されたわけです。
次のステップとしては、仮面を外したSさんをご主人に見てもらい、今、Sさんご自身が本当に悩み苦しんでいることをご主人にコミュニケーションをすることです。
そこから、お二人の新しい関係が始まるのです。

仮面を外すのはとても勇気がいることだとは思いますが、この先の長い結婚生活を、仮面をつけたまま悩み苦しみながら過ごしていかれることを想像してみて下さいね。
そちらの方がよほどつらいことだと思われませんか。

ご主人はよほどSさんに期待をされていますね。
離婚宣言が月1で計5回以上ですから、期待をしていなければそこまで怒ることはないわけです。
そういうご主人の期待をひしひしと感じていらっしゃるからこそ、仮面を外すに外せなくなっていらっしゃるわけです。
「ご主人が、期待してる分失望し、その悲しみが怒りとなって爆発してしまっている」というSさんのご指摘は、その通りだと思います。

ご主人との関係を改善していくためには、自分の弱さや至らない所をご主人にわかってもらうのが実は近道です。
ご主人に対して、ご相談内容でお書きいただいた次のようなことを打ち明けて、ご主人の「助け」を求めてみて下さい。
・自分は幼少期から、何でも楽に及第点が取れるタイプ。
・同時に人に嫌われない為の一生懸命アピールも得意だった。
・努力家PRしているうちに自分も騙してきてしまった。
・今となっては自分は本気になれない人間になってしまった。

今までと同じような「新たな決意」、「改善」、「反省」は、もう必要ではありません。
今までと同じことをするのではなく、違うことをやってみるチャンスだと思ってみて下さい。
「嫌われない為の一生懸命アピール」を一切せずに、ただただ、ご主人の「助け」を求めてみて下さい。

ご主人は最初は驚かれるかも知れません。
もしかしたら混乱して、一時的にSさんに感情をぶつけてくるかもしれません。
しかし、そこで、Sさんが怯えたり、ひるむ必要は全くありません。
ご自分のありのままの姿をご主人に見せたわけですから、あとは、ご主人の反応をしっかり受け止めることをしてみましょう。

Sさんの仮面の下にある、誰にも見せられなかった部分をすべてご主人に見せたとき、ご主人はどう思われるでしょうか。
少なくとも、Sさんのことを嫌いになることはないはずです。
苦しみ悩んだ末に自分の本当の姿を打ち明けてくれた人のことを、「嫌い」にはならないものです。
嫌いにはならないにしても、これからSさんと一緒にやっていけるかどうかについて、ご主人の中に迷いや葛藤が生じる可能性はあります。

一方で、お二人のこころの距離は確実に縮まります。
自分のことを相手に打ち明けることを、「自己開示」といいますが、相手が自己開示してくれた分だけ、自分も自己開示しようと思えるようになるからです。
自己開示をし合う中で、お互いが本音と本音で話し合えるようになり、現状を踏まえて、将来に向けての話し合いができるようになるのです。

前置きが長くなりましたが、以上のことを踏まえて、ご質問にお答えしますね。

1.どういう言葉を使えばご主人に今回のSさんの決意の深さを理解してもらえるか。

この1年、Sさんなりに努力をしてこられたことでしょう。
でも、人間には得手不得手がありますし、特に、こころの中に何らかのルールや葛藤があると、それが邪魔となって、思うような行動ができないものなのです。
よく言われていることですが、普段意識している「顕在意識」は、こころの中の3~5%程度しか占めておらず、残りの95~97%は、「潜在意識」や「無意識」が占めていると言われています。
Sさんの顕在意識が、「ベストを尽くそう」と思ったとしても、潜在意識・無意識が「及第点でいい」と思えば、圧倒的に潜在意識・無意識の方が勝ってしまうのです。
ですので、「決意の深さを理解してもらう」のではなく、「自分なりには頑張っているけど、自分はこういうこころの傾向がある」ということをご主人に理解して受入れてもらう必要があります。
いつもベストを尽くしていたら、それだけで疲れてしまいますね。
すべてにおいてベストを尽くそうと思わずに、例えば、ベストを尽くす所と及第点でよいところを分けられないかどうかを、ご主人と話し合われてみてはどうでしょうか。

2.怠惰に流れる自分を止める方法

そもそも、Sさんは「怠惰」ではありませんよね。一所懸命にやっていらっしゃいます。
ただ、目標が「及第点」で、「同時に人に嫌われない為の一生懸命アピールが得意」なだけなのです。
問題は、そのことをご主人に打ち明け、ご主人の理解を得られていないところにあります。
今の状態は、むしろ、ご主人に合わせよう、合わせようと焦り過ぎのようにも思えます。
少し時間はかかるかもしれませんが、自分が本気になれなくなったルーツを探り、こころのどこかにある防衛したい部分、おそらく「痛み」の部分を癒していかれるのが近道だと思います。

最後に、少々厳しいところを指摘させていただくことになり大変恐縮なのですが、ご主人との結婚や、二人で自営業をやっていくことについても、「本気になれない」・・・ということはないでしょうか。
ご主人は、結婚相手としては「ベスト」ではなく、「及第点」でしょうか。
ご主人との自営業についても、「ベスト」ではなく、「及第点」でしょうか。

もし、「ベスト」な選択でないのならば、そこから見直してみられた方がよいのかもしれません。
ご主人にしてみれば、Sさんからベストなパートナーとして見られたいと思っていらっしゃるはずですし、また、二人で自営業を続けるにしても、それが二人にとってのベストな選択と思いたいはずですよね。

Sさんが「ベストを尽くすこと」に対する怖れを超えて、「本気」でご主人や自営業と向き合われた時には、ご主人や自営業に対して今までとはかなり違う見方をすることができるようになると思います。
見方が変われば、それに伴って行動も変わってきます。
そのようなことを経て、Sさんご夫婦が、お互いに理解し合い助け合って、幸せな人生を歩まれることを願って止みません。

ご結婚されてまだ1年です。先は長いです。
その分、幸せ、成功、感謝、理解、助け合いなど、結婚生活上のすばらしい機会がたくさん待っているということですよね。
Sさんとご主人をこれからも応援させていただきたいと思います。

今回のご相談が、少しでもSさんご自身と、Sさんご夫婦のお役に立てれば幸いです。
ありがとうございました。

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