夫婦関係

相談者名
ぴこ
セックスレスで相談コーナーを閲覧していてとても参考になりました。
そう。1年近くセックスレスになり、それ以前も頻度は少なかったのですが、私も妊娠、出産、子育てと忙しく、あまりその気になれなかったので、問題にしていませんでした。でも、半年くらい前から寝る前にハグしたりも無くなり、気になりはじめました。夫は2年前ほどから会社を出向しており、今現在している仕は先の良い見通しがたたず、ストレスのかかる毎日で、一年ほど前から心療内科で睡眠導入剤を処方してもらい、飲まずに寝ると眠りが薄いと言っています。そのような毎日で、色々と仕事に対して毒づきながらも家族に当たり散らすこともありません。それは本人に感心していると言ったことがあります。でも、先ほど言ったようにセックスレスが気になりはじめるとつらくなってきたのと、休日も心ここにあらずで自分中心に過ごすのに腹がたち、夏くらいに、「もうこのままの生活はつらい。私たちは終わってる。子どもがいるだけの関係だ。」と訴えました。夫はびっくりしたようでした。多分私がそんなことを思っていると思わなかったようでした。それからは私にも子どもにも少し態度がやさしくなりました。セックスはその日にしようかと言ってきましたが、私が「悲しいからしたくない」と言い、そのままです。多分今も夫もしたくないし、私もこの人とはもうできないかもと思っています。
夫は頼りがいのあるやさしい、尊敬できる人です。でも私はやはり今の生活はつらい。夫は会社での悩みも少し話しますし、聞きますが、だんだん堂々めぐりの話になってくると、もう聞きたくなくなります。私が冷たいのかと思うとまた悲しくなります。
話は変わりますが、多分、以前のセックスもお互いあまり満足ではなかったのだと思います。
私はセックスでもそうですが、お酒の席などでもあまり自分を見失わないで、自分を保ったままです。お酒の席で先輩に、「もっとあほになれ」と言われたこともあります。静かに楽しむ性格と思っていますが、他人からみたら醒めてる人なのかもしれません。
セックスもなにかつながりを感じる気がして好きでしたが、他の人のいう快感を感じたことはありません。
カウンセラー
池尾昌紀
ぴこさん
池尾昌紀と申します。
ご相談ありがとうございます。

結婚後、妊娠、出産、子育てをする時期というのは、とても大変な時だと思うのです。
それこそ、子どものこと以外は、全く目に入らないくらい大変で、それは恐らく、それを経験したことがある人でないとわからない大変さだと思います。
ですから、この時期に、自分の夫を気にかける余裕がなかった、という方は、とても多いようです。また、それは仕方がないところがあるように感じます。

ところが、夫としては、今まで気にかけてくれていたり、お互いに思い合っていたのに、子どものことばかりにかかりっきりになってしまうことに、とても寂しさを覚えたり、放っておかれているような感じがすることも多いようです。
頭では、子育ては大変と理解できていても、感情がついてこられず、そこに夫自身の仕事の大変さやストレスが重なってくると、より、その感じは大きくなり、それが積み重なっていくと、我慢している状態から、あきらめの状態になってしまうこともあります。

あきらめの状態になってしまうと、「どうせ俺は愛されないんだ」というように、言い方は悪くなってしまうのですが、「スネてしまう」こともあり、こうなってしまうと、この夫の気持ちを解きほぐしていくのがとても大変になってくるケースも多いように思います。

妻としては、子どもがある程度大きくなり、子育てもなんとか余裕がでてくるようになって、、夫とのコミニュケーションが気になり出し、実はセックスレスになっていたことに気がつく、ということが、この後に起こってくるようです。
ところが、気がついて、こちらからアプローチしてみた時には、今度は、夫の方が「あきらめて」いたり、「スネて」いたりして、どうにもならなくなっている。
夫としての感覚で言えば、「あれだけ放っておいて、今更なんだ」みたいに意固地になってしまうところがあるんですね。

妻の側としては、子育てで大変だったし余裕がなかったのだから仕方がなかったじゃないか、と思うのですが、それよりも、自分が夫を放っておいてしまった、とか、冷たい態度を取ってしまった、ということに、とても大きな罪悪感を感じることが多いようです。

実際に、こうしたケースでセックスレスの問題をご相談いただく時には、夫への不満や、悪口を最初はたくさん話されることが多いのですが、実は、そうした思いの下には、夫の態度よりも、今まで私が夫にしてきてしまったことを、深く悔やんで、自分を責めてしまっている事が眠っていて、それを感じるのが辛い、という場合が多いのです。

自分を責めていると、一緒にいる夫にもそれが伝わります。
夫は「あきらめて」いたり、「スネたて」いたりしているのですが、妻が自らを責めて苦しくなっていると、その様子を見たり、感じたりすることが辛くなってきます。
夫の側としても、あきらめたりスネたりしている態度を取っている自分に嫌気がさしていて、それは自覚している場合も、無意識に感じていることもあるのですが、たとえ自覚している場合であっても、頭でわかっていても、感情をどうすることもできずに困っている場合が多いんです。
ですから、妻が自らを責めている様子が伝わると、それが夫自身のせいに感じてしまい、ますます、こんな態度を取っている自分を責めて、ますます、どうしていいかわからなくなってしまう、態度や気持ちが頑に閉じてしまう、ということになったりもします。

いってみれば、夫婦で、どちらがたくさんの罪悪感を感じているかという、罪悪感の競争をしているような感じになってきてしまうのです。

でも、これは、元々は、夫婦がお互いのことが憎くてやっていたことではありません。
実は、全く逆で、二人ともお互いのことを愛しているからやってきたことなんです。

妻の側でいえば、子どもを育てるのに一生懸命だった。
温かい家族を作っていくためであり、それは、夫にとっても最大の幸せなはずなのです。

夫の側でいえば、仕事が大変でも、一生懸命だった。
それは、家族を養うため、家族の幸せのため。
妻と子どもが笑顔になってほしくてやってきたことなんです。

この罪悪感の競争を止める方法は、それに気がついた側が、それをやめようと思ってあげるところからはじまります。

ですから、それが妻だった場合は、一番最初に取り組んでいくといいのは、冒頭に書かせていただいたように、「子育ては大変だ」ということ、「他のことに目を向けられなかった自分は、余裕がないから仕方がなかった」ということ、そして、「私は本当に今までよくがんばってきたんだ」と気づき、自分の心にそう言ってあげることなんですね。

まず、今、夫を責める気持ちよりも、自分を責める気持ちのほうが大きいのだ、と気がつく事。
そして、そうして自分を責めるのをやめる、という視点がとても大切になります。

もし、こうしたことが、ぴこさんにも当てはまるとしたら、夫を責めてしまう気持ちは、そのまま、自分を責めているのだとみることができるように思います。
また、夫の仕事の話を聞いていても、聞くのが辛くなってくるのも、こんな風に夫が苦しんでいるのは自分が支えてあげられていないのだ、と自分を責めてしまうから、そのことが苦しいために辛くなってしまうのではないでしょうか。

そもそも、こんなに苦しんでおられるのですから、ぴこさん自身に誰かの苦しみを受け止める余裕がないはずです。そんな状態では、受け止めてあげることが難しいと思うのです。

ぴこさんが最後に書いてくださっているように、今回のことは、ご夫婦の問題ももちろんですが、ぴこさんご自身が自分の気持ちを上手に表にだせないという思いを抱えておられるということにもつながってくるように思います。

心理学では「問題の先にはギフト(宝物・贈り物)がある」という言葉があります。

この問題は、夫婦だけでなく、ご自身の心の中にある問題に直面して、それを変えていくきっかけになる出来事なのかもしれません。
そして、この問題を越えていった時、夫婦の絆や、ご自身の中にある才能や価値に気がつき、それを発揮できるようになるヒントになっていくのではないでしょうか。

そのためには、まず、自分の気持ちや状態に気がつく事。
そして、自己攻撃をやめることが第一歩になるのです。

先に書かせていただいたように、自己攻撃は、結局は相手を苦しめることになります。
そうなると、相手に申し訳ないから自己攻撃してしまったのに、ますます、相手を苦しめることになって、苦しみの連鎖が止まらなくなってしまうことになります。

自己攻撃をやめるのは、とても難しいことです。
それをやっていく原動力が「相手のために、自分を責めるのをやめよう」、と思うこと。

人は、自分のためには何もできませんが、大切な誰かのためになら力を発揮する事ができます。

ぴこさん。
ぴこさんは、ご自身のことを「冷たい」と書かれておられます。
でも、考えてみてください。
心の冷たい人が、こんなにも夫のことで悩みに悩み、こうしてご相談までするでしょうか。
今、どれほどの苦しみがあなたの心を毎日毎時間、苦しめ続けているでしょう。
なぜ、そんなに苦しみ続けているのか。
それは、あなたが温かいからです。
愛にあふれているからです。

どうか、自分がこんなにも誰かのことを愛し、だからこそ、こんなに苦しんでいるのだという事を思ってみてあげてください。

ご相談ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

名古屋を軸に東京・大阪・福岡でカウンセリング・講座講師を担当。男女関係の修復を中心に、仕事、自己価値UP等幅広いジャンルを扱う。 「親しみやすさ・安心感」と「心理分析の鋭さ・問題解決の提案力」を兼ね備えると評され、年間300件以上、10年以上で5千件超のカウンセリング実績持つ実践派。