仕事を教わる立場の方へ、そして教える立場の方へ

春は新入社員が入社したり、異動があったりで、人の動きがある季節ですね。

今回は、入社や異動により仕事を教わる立場、教える立場、それぞれの方が知っておいたほうがいいかなと、私が思うことをお伝えしますね。

<仕事を教わる立場の方へ>

初めての仕事は、すぐ覚えられるわけではないし、内容が理解できないことも出てくるかと思います。

そこで大事なのは「わからないことは聞く」ということ。

「わからないことは聞く」というのは簡単そうですが、意外と出来なかったりするんですよね。

「こんなことも知らないの?」と思われることを恐れて聞けなかったり、以前聞いたことだから「前も教えたよね?」と言われるのが怖くて聞けなかったり…。

あるいは相手が忙しそうだから、遠慮して聞けない場合もあるでしょう。

でもわからないことをわからないままにしておくのは、仕事に差し支えが出てきます。
仕事自体にあまり差し支えがないとしても、疑問を残したままの状態は決して心地よくはありませんよね。

仕事を早く覚えるためにも、仕事をスムーズに行うためにも、気持ちよく仕事をするためにも、「わからないことは聞く」ことが大事なのです。

では、聞くことで相手の反応が怖かったり、相手が忙しくて聞けない場合はどうすればよいのでしょう?

その場合、「恐れ」という感情を超えるということになります。

「恐れ」とは、過去の経験からくる未来への防衛なんですね。
過去の失敗した経験、傷ついた経験から、もう失敗しないように、傷つかないように防衛する心理が「恐れ」なのです。

「恐れ」からわからないことを聞けない時には、「聞くの怖いよね?」と自分の恐れを認めた上で、恐れは過去の経験からくる未来への防衛であることを思い出し、自分が予想している相手の反応は、自分の予想通りではなく、案外すんなり教えてくれる可能性もあるということを信じてみると、聞くことへのハードルが少し下がると思います。

「何のためにわからないことを聞くのか?」という聞く目的(仕事を覚えるため、仕事をスムーズに行うため等)を思い出すことで、聞く勇気が出るかもしれませんね。

「恐れ」が過去の傷ついた経験からくるものならば、「勇気を出して聞いて良かった」という成功体験を一つずつ積み重ねることが、恐れを克服することにつながります。

また、恐れは防衛反応なので、人間ならどうしても生じてしまうものですが、それから逃げ続けるとどんどん恐れが大きくなってしまうという側面も持っています。

恐れが大きくなって動けなくなってしまう前に、どうか自分のために勇気を出し、「わからないことは聞いて」みてくださいね。

一方、相手が忙しそうで聞けない場合は、どうすればよいのでしょう?

相手を気づかえるのはとても素敵なことですよね。
でも相手が常に忙しそうであれば、いつまでも聞けないことになります。

忙しい中で、「後にして」と言われるかもしれませんし、すんなり答えてくれるかもしれません。
それは、聞いてみないとわからないわけです。

「お尋ねしたいことがあるのですが、今、よろしいですか?」
この一言が言えるとベストですね。
それから先、すぐ対応してくれるかどうかは相手にお任せすればいいのです。
今が無理なら、いつ時間が取れるか相手の都合を伺う。

これが、自分も相手も無理をしない、そして互いにガマンや犠牲をしないための秘訣ではないでしょうか。

重ねて書きますが、「わからないことを聞く」のは、仕事を早く覚えるため、仕事をスムーズに行うため、お互い気持ちよく仕事をするためです。

「わからないことを聞く」ことがなかなかできない時は、ぜひそれを思い出して、ちょっぴり勇気を出してみてくださいね。

「わからないことを聞く」ことは、仕事に限らず日常生活でも大事なことだと思います。
わからないことがわかると、知識も増え、可能性も広がり、世界も広がります。
ぜひあなたの人生の中に取り入れてみてくださいね。

<仕事を教える立場の方へ>

私たちは、今は当たり前になったことや、慣れた仕事でも、「初めての経験」があって今の自分に至っています。
私もたくさんの「初めて」を経験し、わからないことを知って、仕事を覚えてきました。
「初めて」のことでも、多くの人の教えや指導があったから、今に至っているのです。

自分の知り得たことを教えるのは、経験を積んだ者、知っている者ができることだと思うのです。

経験年数が長くなったり、慣れてきたりすると、いろいろなことが自分の中で「当たり前」となってしまいます。

でも、その「当たり前」は初めての方や知らない方にとっては「当たり前」ではないのです。

どうか自分にも「初めて」があったことを思い出し、「わからないことを聞く」者に、自分の知り得ることを教えていただきたいなと思います。

教わる側、教える側が知識と知恵を共有して、より良い仕事をしていきたいものですね。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

大学卒業後、地元企業に就職し、デザイン・経理・総務・秘書・営業事務等の業務を経験。不惑にしてカウンセラーを目指すために転職。離婚も含めた人生経験をベースに、楽になる物事の受け止め方を提案する。生き方やライフワーク、メンタルヘルス、パートナーシップ全般の問題を得意とする。