そのときはじめて彼女の自立は完了したのです
こんにちは 平です。
彼女は大学に入学するために、地方から東京へと出てきました。
大学には彼女と同じように日本全国からやってきた仲間が大勢いましたが、もちろん、もとから東京在住の同級生もたくさんいました。
そして、彼女曰く、東京の人はものごとの見方・考え方の「垢抜けしてる感がハンパない」らしいのです。
それに対して、自分のものごとの見方・考え方がダサいと感じるようになった彼女は、
「それは、自分があんな地方の生まれだからだ」と思うようになり、地方出身であることを恥じるようになりました。
そして、実家に帰るたびに、「こんな田舎に生まれてきたくはなかった」と両親にグチるようになっていったわけです。
もちろん、両親は戸惑うばかり。あれだけ素直でかわいかった娘が、東京の大学に行きはじめたとたん、
自分の故郷を嫌いはじめたわけですから。
しかし、彼女の思い込みはどんどんエスカレートし、「もっと都会的なセンスの教育を受けたかった」など、
両親の育て方にまで文句をつけるようになりました。
その彼女の中では、生まれ育った環境で学んだ常識と新しい常識が対立していました。
東京で学ぶようになった新しい考え方やライフスタイルはまだまだ彼女の中には根づいておらず、彼女も自分に自信がありません。
そのため、自分の古いスタイルを否定することで、新しいスタイルを確立しようともがいていたわけです。
彼女は自分のしていることが両親を傷つけていることは理解していました。
そんな彼女にとっていちばんの恐れは、「これまでの自分の土台である実家の両親から見捨てられる、
東京での自立にも失敗する」ことにありました。
このようなストレスを抱えたとき、「大学をやめる」という結論を出す人というのはけっして少なくありません。
大学をやめてしまえば、「故郷に帰る理由ができ、そして、ふたたび、いままでと同じものごとの見方や考え方をしながら生きられる。
そうすれば、いまのストレスから解放される」と思うのですね。
しかし、私の知るかぎりでは、そうしたところで、抜本的な解決を図ることはできません。
というのも、こんどは「親のせいで」または「親のために」、「自分は東京を捨て、故郷に帰ってくるハメになった」などと思うようになり、一生、親を恨みながら生きていくことになりがちなのです。
じつは、このご相談をお受けしたのは彼女のご両親からでした。
心を痛めておられるお二人に私がお話ししたのが、「彼女が苦労しても東京で新しいスタイルを確立し、
完全に自立することができたら、こんどはいまとはまったく違う見方でご両親や故郷のことを受け入れられるようになるでしょう」ということでした。
彼女の心の中には、まったく新しい大人の自分として自立することへの恐れがあり、そこから逃げ出したいという欲求が作られていると思われました。
大学をやめ、故郷に帰るということは、自立せず、依存のままでいるということを表します。
これは、彼女の成長のためには大きなマイナスです。
つまり、思春期に自立するために大好きなパパとママを嫌おうとするのと同じように、彼女は大人として自立するために、大好きな両親と故郷を拒絶するようになったのです。
彼女は大学を卒業し、その3年後に結婚するまで、ふるさとに帰ることは一度もありませんでした。
しかし、ともに人生を歩みたいと思うパートナーができ、その彼とともにふるさとに帰ったとき、彼女はみんなによろこびをもって受け入れられました。そのときはじめて彼女の自立は完了し、ふるさとを受け入れることもできるようになったわけです。
人生には、ものごとの考え方を抜本的に変えなければならないときが何度かやってくるものです。
それはまるで出産のときの陣痛のような痛みと苦しみを伴います。
また、これまで、心おきなく依存できた人を手放さなければいけないときというのもあるものです。
その居心地のよい場所にいつづけ、手放すことをためらうということは、みずからの成長を止めてしまうことでもあります。
それができると、たとえば、親子関係にしても、大人どうしの心地よい関係へと変容していくようですよ。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!
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