情緒障害って・・・?

相談者名
ごはん
はじめまして。「情緒障害」ってどのようなことですか? 教えてください。

その人は障害者でありません。一見普通の人ですが、心の奥に壁があるようです。

知人のカウンセラーの人に相談したら、ボソッとそう言われました・・・

「 離れた方がいい 」としか言わず、詳しくは説明してくれませんでした。

それって、ちゃんと理解して、年月をかけて処方すれば治るものなんですか?

それとも、性格と同じで、成長期を過ぎたらもう治すのは難しいのですか?

詳しくは、また書きますが、とりあえず一般論を教えてください。

よろしくお願いします。

カウンセラー
源河はるみ
こんばんは、ごはんさん。
はじまして、源河といいます。お尋ねの件ですが、一般的にいうと、
情緒障害というのは、子供さんに見られる症状を言うようです。
ごはんさんが気にされている、その方がどういった方なのか、
詳しく教えて頂かないと、一概に情緒障害だと言い切ることはできませんが、
一般的には、数ある障害の症状にあてはめることができなかったり、
その原因が明確でない場合に、使われる症状名でもあります。

気になるのは、その方が障害者ではないこと、
一見普通に見えること、です。
こういった場合、情緒障害と判断してしまうことには、
疑問を感じざるをえません。

もし仮にその方が情緒障害だったしても、
関わりを持ったりしようとするときに、その対応の仕方はたくさんあります。
性格にしてもなおしていくことは、もちろん可能ですし、
それは、障害とて環境によっては変化を起していくことは、
不可能ではないんです。

このことでご相談くださったのは、ごはんさんが、その方をなんらかの形で、
思ったり、気になさってのことだと思うんですね。
そのお気持ちに、お力添えさせていただければと思います。
もしよかったら、詳しくお聞かせ願えませんか?
お返事お待ちしています。

相談者名
ごはん
その人は 義兄(34歳)なんです。社会的には、無責任という程度で、表面上は普通に交際できるし、知能も普通です。
しかし、何というか・・・
例外を除き、本気で自他の感情というものに対応しないんです!
まるで殻に閉じこもったように、誰とも心の交流をしたがりません。
例外とは、自分の基本的な欲望です。これには執念さえ感じます・・・

そうですね・・・例えるなら・・・
「 人間に飴と鞭で躾られた、普段はお利巧な”猿”」のようです
人が見ている時にはお利巧だけれども、見ていないとなると本能のままといった感じです。

実は、義兄の家庭は両親の激しい喧嘩が絶えず、父親が母親をひどく殴ったり、
母親が父親に包丁を振り回したり、それらを止めようとした子供達が怪我をしたり、
父親や母親が何度も短期間の家出をしたり、子供達を殺そう(無理心中)としたり・・・
夫婦仲の悪さから両親とも酒びたりで、生活も恥ずかしいくらい貧乏だったそうです。
また、子供には異常に厳しく、体罰もかなりあったそうです。
妹さん達はそんな親に反発して中学卒業後に家を出ましたが、義兄は一緒に暮らしました。
今では、ご両親も落ち着き、かなり経済的にも恵まれ、双方とも孫を愛しみ、
妹さん達とも仲直りをして、そのような面影もありません・・・

妹さん達の話によれば、10歳位から義兄は、両親の喧嘩を止めなくなり、
必要な時以外は家族を避け、部屋にこもり、全く自分の意見を言わなくなったようです。
家では滅多に笑わないのに、他人の前では、別人のように明るいのだそうです。
しかし、多くの友達の話でも、義兄は「楽しいこと」以外の話はしないそうです。
相手を「親友」と呼んでいても、相談や自分の心の内面について語ることは絶対に無く、
旧友から投じても、当り障りの無い正論しか答えず、嘘をついてでも話を避けようとする
ということでした・・・

そんな義兄は、悪いことをして、妻(姉)にしかられても謝るだけで全く治りません。
妻子に対する無責任や暴力・非道を叱り、離婚話まで出ると、泣き出して謝りますが、
「”どうして”そんなことをするのか?」を問うても「分からない」の一点張りです。
双方の親族が集まり、皆で問い詰めると、
「昔から、自分には、人が言うような感情が分からない。分かりたくもない。」
「人の心なんて、そんな自分勝手なものに振り回されるのは、絶対に御免だ。」
「だいたい、なんでそんなこと(心の内面)を皆が気にするのか分からない。
(行動を)”する”か”しない”かが問題で、心は関係ないだろう?
もうしないって言ってるんだから、それでいいだろう?」
「自分の心なんて、自分の行動には関係ない。」
と言います。そして、皆が「子供じゃないんだから、もっと大人になれ!」と責めると
「大人になんかなりたくない! 汚い大人なんかになりたくない!」
と32歳の妻子ある男が、子供のように声をあげて泣き出したんです・・・

姉は「そう言えば、思い当たるふしはある」と言っていました。

結婚して間もない頃、義兄から「自分は、普通の人と違って、価値が単純にしか分からない。
”好きor普通or嫌い”とか”美味しいor普通orまずい”とか”良いorどっちでもいいor悪い”
その程度しか分からない。それより細かく聞かれても、嘘じゃなく本当に分からないから、
そのことだけ憶えおいて。」と言われたそうです。
また「”すごく”とか”感動した”とか今まで一度も思ったことはない。」らしいです。

また、情緒・芸術・占い・心理学など、心の内面に関することに対して、異常なまで
激しく毛嫌いを示すそうです。姉が芸術を楽しもうと、そういう本やテレビを見るだけで
「自分を高尚だと思っている」とか「いけすかない」とか「俺をバカにしている」と
激しく罵るのだそうです。

また姉の「辛い時や悩んだ時はどうやって解決するの?」という質問に、義兄は
「辛いときはそのことを考えないようにする。楽しいことだけ考えるようにして、
嫌なことは一切考えない。頭から全部追い出すんだ。そうすれば悩むこともない。」
といつも答えていたそうです。

物欲はすごくあります。

どうなんでしょう? これは病気なんでしょうか? 成長に問題があるんでしょうか?
どうしたら良いでしょうか? どうしたら普通の人のように話ができるんでしょうか?
どうしたら普通の人が大抵分かる、人の気持ちが理解できるようになるんでしょうか?

蛇足ですが、義兄の妹さん達も、この症状とは違うものの、自分の心にある”何か”が
原因で、どうしても家庭がうまくいかないそうです。
双方とも本当に相手が好きになり、どうしても相手と結婚したくて計画的に妊娠・結婚を
しておきながら、結局1~3年で今度はどうしても嫌になり離婚する、というパターンを
2回も繰り返しています。

どうか、ご助言をお願いします。

カウンセラー
源河はるみ
こんばんは、ごはんさん。
お返事ありがとうございました。そうでしたか、義兄さんだったんですね。
お姉さまのことを思うと、とても気になるところだと思います。

> 例外を除き、本気で自他の感情というものに対応しないんです!
> まるで殻に閉じこもったように、誰とも心の交流をしたがりません。
> 例外とは、自分の基本的な欲望です。これには執念さえ感じます・・・

ごはんさんがおっしゃるように、義兄さんが心の殻に閉じこもっているというのは、
そのとおりだと思います。
私たちは、心を固い殻に閉じ込めると、なにも感じなくなります。
心は、感受性や感情、感覚でできているので、
それを閉じ込めるというのは、感情が凍ってしまって仮死状態のようなものなんです。

子供の頃のご両親との関係で、怪我をしたりしたときに、
外面ではわからないけれど、脳に損傷ができてしまているという可能性は、
否定できませんが、お話をお伺いするかぎり義兄さんの場合は、心の問題だという気がします。

> 実は、義兄の家庭は両親の激しい喧嘩が絶えず、父親が母親をひどく殴ったり、
> 母親が父親に包丁を振り回したり、それらを止めようとした子供達が怪我をしたり、
> 父親や母親が何度も短期間の家出をしたり、子供達を殺そう(無理心中)としたり・・・
> 夫婦仲の悪さから両親とも酒びたりで、生活も恥ずかしいくらい貧乏だったそうです。
> また、子供には異常に厳しく、体罰もかなりあったそうです。

子供の頃の家庭環境は、とても影響があります。
私たちは、心が成長する過程で必ずと言っていいほど両親の影響を受けるんです。
子供だった義兄さんにとっての家庭環境は、
例えて言うと、常に「戦争状態」だったんですね。
それは”生きるか死ぬか”の命が懸かった状況だったでしょう。
ある時点で、殻に閉じこもってしまっても不思議ではありません。

私たちの子供時代というのは、親に依存しなければ生きていけない時代でもあります。
でも、あまりにひどい心の痛みがある状況では、
”生きるために”その痛みを感じないように、感覚を殺してしまうんですね。
これは、ほとんど本能的な防衛反応です。
そうして、心を閉じ込めてしまっていることを、大人が気づいてあげることができれば、
後々まで尾を引かなくても済みますが、義兄さんの育った環境では、
それはままならなかったようですね。

> 家では滅多に笑わないのに、他人の前では、別人のように明るいのだそうです。
> しかし、多くの友達の話でも、義兄は「楽しいこと」以外の話はしないそうです。

お話からわかることは、義兄さんは心の成長を幼い子供の頃に、ストップさせています。
赤ちゃんを見れば、それがよくわかります。
赤ちゃんというのは、大人に愛されなければ死んでしまいます。
義兄さんは家族の中では身を守ることに精一杯で閉じこもる事を覚えたんですね。
でも、それ以外の人には、明るく振舞う・・・
これは「愛される」ためにできる精一杯の行為なんです。

> 相手を「親友」と呼んでいても、相談や自分の心の内面について語ることは絶対に無く、
> 旧友から投じても、当り障りの無い正論しか答えず、嘘をついてでも話を避けようとする
> ということでした・・・

義兄さんが閉じ込めてしまっている心の中には、
自分では抱えきれないほどの”痛み”が詰まっています。

私たちは、もしも「愛される」という実感がないと、
大人になっても、どうすれば人のやさしさや愛情を感じればいいのか、わからなくなります。
友人が好意で気にしてくれているとわかっていても、
自分をオープンにすることで、その好意を受け入れる、ということがわからないんです。
そこには、もしオープンにしてしまったら、
昔閉じ込めたはずの”痛み”が、また再発して溢れ出すことへの恐怖があります。
それぐらい、義兄さんは深く傷ついている、ということなんです。

> そんな義兄は、悪いことをして、妻(姉)にしかられても謝るだけで全く治りません。
> 妻子に対する無責任や暴力・非道を叱り、離婚話まで出ると、泣き出して謝りますが、
> 「”どうして”そんなことをするのか?」を問うても「分からない」の一点張りです。

私たちは誰でも、表面で思ったり感じたりすることと、
心の奥深くで持っている感情とにズレがあるんですね。
義兄さんが「分からない」というのは、根本的な感情を閉じ込めてしまっているので、
表面で思うことにもブレーキがかかっているからです。

でも、私たちは「わかっているけど、どうしようもない」こと、
たくさんありますよね。

> 「昔から、自分には、人が言うような感情が分からない。分かりたくもない。」
> 「人の心なんて、そんな自分勝手なものに振り回されるのは、絶対に御免だ。」
> 「だいたい、なんでそんなこと(心の内面)を皆が気にするのか分からない。
>  (行動を)”する”か”しない”かが問題で、心は関係ないだろう?
>  もうしないって言ってるんだから、それでいいだろう?」
> 「自分の心なんて、自分の行動には関係ない。」
> と言います。そして、皆が「子供じゃないんだから、もっと大人になれ!」と責めると
> 「大人になんかなりたくない! 汚い大人なんかになりたくない!」
> と32歳の妻子ある男が、子供のように声をあげて泣き出したんです・・・

義兄さんも、自分の感情が生きていないことはわかっています。
でも、どうすればいいのかが全くわからないんです。
それを問うたところで、幼稚園児に方程式の答えを出せというような感じになってしまうんですね。

> そのことだけ憶えおいて。」と言われたそうです。
> また「”すごく”とか”感動した”とか今まで一度も思ったことはない。」らしいです。

たとえ心が閉じ込められていても、普通に生きているかぎり、
自分と人との違いはわかりますよね。
でも、自分でこう言うことの裏には「思ったことはない」けれど、
「感じたこと」はあるんです。
それが、あまりにも激しい痛みを伴って麻痺していたとしても。

> また、情緒・芸術・占い・心理学など、心の内面に関することに対して、異常なまで
> 激しく毛嫌いを示すそうです。姉が芸術を楽しもうと、そういう本やテレビを見るだけで
> 「自分を高尚だと思っている」とか「いけすかない」とか「俺をバカにしている」と
> 激しく罵るのだそうです。

義兄さんの心が、ちゃんと生きている証拠です。
でも、私達が見たことも聞いた事もない出来事を信じろといわれて疑うように、
義兄さんにとっての”心”や”感情”、内面に関する事は、
どこかうそ臭く感じてしまうんですね。
嫉妬もからんでいます。

> 「辛いときはそのことを考えないようにする。楽しいことだけ考えるようにして、
>  嫌なことは一切考えない。頭から全部追い出すんだ。そうすれば悩むこともない。」

こうして、自分の感情を切り離してきたんです。
悩まずにはいられない、ごく普通の感情を持ってきた私たちからすると、
これは、相当の忍耐と労力を要します。
涙をこらえるのは、容易い事ではありませんよね。
でも、義兄さんは子供の頃から、ずっと耐えているんです。
そして、その力を緩めることを忘れてしまった状態という感じでしょうか。

> 物欲はすごくあります。

子供がおもちゃを欲しがるのと同じです。
オモチャっていうのは、本当は両親から欲しい愛情の”かわりのもの”なんですね。
でも、もしも自分が愛情に飢えていることを知ってしまえば、
もらえなかった過去に出来た傷がうずきだします。
だから、モノで埋めようとしてしまうんです。

> どうしたら良いでしょうか? どうしたら普通の人のように話ができるんでしょうか?
> どうしたら普通の人が大抵分かる、人の気持ちが理解できるようになるんでしょうか?

わからせようとしないこと、です。
理解させようとしないこと、です。
お姉さまのお話からもわかるように、そうすればするほど強い抵抗が起こります。
でも、なにもしなくてもいい、といわけではありません。

理解してあげようとしてください。
義兄さんが、どれほどの痛みを感じてきたのかを、わかろうとしてあげていただきたいんです。
時間と忍耐を要するでしょう。
でも、心を開いても大丈夫なんだと本人が感じるまでは、
信頼をもってもらうまでは、こちらから「信頼してあげる」ことが大切です。

ご結婚されてお子さんもいらっしゃるということは、
少なくとも、お姉さまやお子様を愛していらっしゃいます。
まわりの人たちの愛情なしには、義兄さんはやっていけません。

> 蛇足ですが、義兄の妹さん達も、この症状とは違うものの、自分の心にある”何か”が
> 原因で、どうしても家庭がうまくいかないそうです。

妹さんたちも、少なくとも義兄さんと同じ感覚は持っているでしょう。

私たちは、なにか問題があるとき、そこには気づいていな感情が隠れています。
ご本人が、その感情に気づいて解放していくことで癒されていきますが、
その人を愛している誰かが気づいてあげても、同じ効果があるんです。

ごはんさんとお姉さまや、ご家族のお力にならせていただければと思います。
また、お気軽にご相談ください。
いつでも応援しています。
よかったらカウンセリングもご活用ください。

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