癖と自分について

相談者名
私は現在高校2年生なのですが、小学生の頃から続くストレスを発散するための癖があります。
それは指の皮を剥く癖です。ささくれを毟るように剥ぎ取ったり、シャーペンの先やカッターの先などで抉ったり、歯で噛みちぎったり。そして取れた皮と出てくる血に満足するとそれを口の中に入れてしまいます。気持ち悪いかもしれませんが、初めて、それこそ小学生の時に自分の皮が歯で消える感触と血の味がなんとも言えず、それ以来ずっと続いてしまっています。またそれでも満足できない時は爪を噛んで、白い部分を剥ぎ取り深爪にしてしまいます。そのせいで手の指はいつも傷だらけで瘡蓋だらけ。指と爪の形も、それどころか色までも悪くなっている気がし、水をつけると当然痛くて、でも止められず自暴自棄になってしまいます。場合によっては足の指も同じようにボロボロにしてしまいます。もっとひどかった時はそれでも満足出来ずに頬の裏の皮膚を噛みちぎり続け、口の中がずっと血の味がするという状態にもなったことがあります。
自分でも何度もやめようと思いつく色んな方法をやってみたのですが「やめる」という行為自体そのものがまたストレスとなってしまい、いつの間にか剥いているという悪循環です。

私は簡単にイライラとしたり、ストレスを感じてしまいます。その中での一番の理由は学校で授業中や集会など全員が集まる場で、五月蝿くしていたり喋っていたり寝ていたりなど、そんな風にふざけている人を見るだけでイライラします。そんな怒りと一緒に、先生に怒られはしないかという恐怖にも似た不安と心配も持ってしまい体がパンクしかけてしまいます。学校が嫌なわけではないです。ただ集団行動を乱す一部の人とそれに対して連帯責任のように怒られることが嫌で、怖くて不安でしょうがないだけです。

私はよく周りから真面目だねと言われます。でも私は当然のことだと思ってやっています。人の話はちゃんと聞くべき、先生や上の立場の言う言葉には従わなければいけないなど。そんな簡単なことさえ出来ない人にはなりたくない。
そんな生き急ぐみたいに必死になってる自分が時折馬鹿馬鹿しくなってきてしまいます。

私は真面目なのでしょうか?それともただの神経質なだけなのでしょうか?
結局は自分のことしか考えられない冷たい人なんでしょうか?

カウンセラー
中村友美
薫さん、はじめまして。
今回、担当させていただく中村友美と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。

いいえ、薫さんは冷たい人なんかじゃありませんよ。
むしろ、いつも他人を気遣い、周囲に気を配れる
とても優しい方だと思います。
ですが、あまりにも周りの人の動向を意識しすぎてしまい、
自分らしく振舞うことを禁止されているようですね。
その辺に苦しさの理由があるようです。

今の薫さんがどんな状態なのか一緒にひも解いていきましょうね。

いきなり赤ちゃんの話で恐縮ですが、
赤ちゃんでも、一日中ずっと指をしゃぶっていたり、
あるいは指にペンだこならぬおしゃぶりだこが出来てしまう子がいます。
そんな風に”指しゃぶりに固執している子”はすごくガマンしているのです。

泣きたくなったら、指しゃぶりで口をふさぐ。
悲しい時、さみしい時、人に訴えるのではなく、自分でなんとかする。

あふれ出てきそうになる感情を抑え込むために指しゃぶりという
「アイテム」を使うのです。

少し大きくなってくると、指しゃぶりが爪噛みに移行する子も多いです。
または、「ライナスの毛布」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが
お気に入りの毛布やぬいぐるみを手放さずにずっともっている子もいます。
これも、感情があふれ出そうになるのを紛らわせるためにアイテムなのです。
薫さんの指の皮を剥ぐというのも、そのようなアイテムなのかなと感じます。

そして、このように感情を抑え込む生活をつづけていると、
だんだんと感情を感じにくくなります。
でも、喜怒哀楽を感じずに生活することをイメージしてみてください。
楽しいと思いますか?わくわくするでしょうか?

楽しくなさそうですよね。
たぶん、生きてるのか死んでいるのかわからないまま
生活をしている感じなんだと思います。

だからこそ、
「自分は生きている」ということを確認したくなるのです。
自分を傷付けることをするのは、その痛みを感じることで、
”生きている事を実感したい!”という強い想いからの行動です。

または、血をみることで、「あぁ、私も人間だった。
赤い血が、あったかい血が流れているではないか。」
と無意識に確認しているのです。

その為、こういった行為はエスカレートしていくことが普通です。
耐性ができていくので、回数が増える、傷がひとくなるなど、
もっともっと激しく自分を傷付けないと生きていることを
実感出来なくなるからです。
今、この段階で声を上げてくれて本当によかった。
一緒に改善していきましょうね。

でもですね、これらの習慣は一方的な悪者ではありません。
ずっと、あなたを守って来てくれたんです。
これがあったからこそ、きっと今までやってこられたんです。
この癖にも意味があったんです。効果があったんです。
だから、癖を止めようと思っても”意志の力”で
止めるのは難しいのです。止めようと思ってできなかったのも普通です。
逆に無理に止めるとまた別の癖を作りだす可能が高いと思いますよ。

つまり、
「癖を止めよう」という発想よりは、
「癖に頼らなくても生活できる自分を取り戻そう」ということを
意識して取り組む必要があります。

そして、今の薫さんは心の中にある感情の器がいっぱいになっているようです。
感情は、のみ込んだり、抑え込むことで身体の中に蓄積していくのです。
15年以上ため込んだのですから、それはもうパンパンです。
ちょっとした刺激でそこから感情が溢れ出し、
簡単にイライラしてしまうのも当然だと思います。
薫さんが特別イライラしやすいということでははないですよ。

ところで、話は変わりますが
>連帯責任のように怒られたることが嫌で、怖くて不安でしょうがない
とのことなのですが、
もしかして、ご兄弟がいらっしゃいますか?
ご両親は厳しい方でしたか?
兄弟のしたことのとばっちりで叱られた記憶などはありますか?

癖が始まったのは小学生からかもしれません。
が、もっと小さな時からいろいろとガマンしてきているのだと思います。
一度幼少期も振り返ってみる必要がありそうですね。
もしよろしければ、カウンセリングもお使いくださいね。
初回は無料でお受けしておりますよ。

さて、最後に今すぐに1人でできることを
お伝えしたいと思います。

まずは、何より感情が動いている、ガマンしていることに気付くことです。。
指の皮をはがしたくなった時、何があったあとなのか
どんなことを考えているのか、何を感じているのかなど、
自分に興味を持って、自分自身をみつめてみてください。
ノートに書き出していくのもいいかもしれません。
だんだんと、こんな時に指の皮をはがしくなるんだなぁ~
という傾向が見えてきます。

そして、もし可能であれば、安全な場所で
感じたものを発散や表現をしてみてください。
怒りを感じたら、たとえば、クッションに八つ当たりをする。
カラオケに行く。新聞紙をビリビリ破ることも
なかなかのストレス解消になりますよ。
哀しみを感じたら、一人静かに泣いてみる。
悲しい映画をみてみる、など。


ガマンしていたことに気付く。
自分自身を尊重してあげる。
感情を感じていいよ、と許可を出してあげる。

是非、こんなことを意識して生活してみてくださいね。
癖はすぐにはやめられないかもしれません。
でも、その癖があなたを守ってきてくれたのも事実です。
またしたくなっても自分を責めるのではなく
「守ってくれてありがとう」という気持ちでいてくださいね。
絶対に卒業できる日が来ますから。

薫さんの毎日が、のびのびと楽しいものになることをお祈りしていますね。
最後までお読みくださってありがとうございました。

中村友美

この記事を書いたカウンセラー

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