相談者名 | まや |
私は物心ついた時から一人でいることが好きで、学校の昼休みなども一人で過ごしていました。 中学の時、物が無くなったり周りから無視されるといったいじめに遭いましたが、私はあまり気になりませんでした。 それより、私物が無くなった時に教師が言った「俺はこういうのは許せない。 絶対に見つけてやる」という言葉の方が心に引っかかりました。 結局その教師は特に何もしてくれませんでした。 やっぱり人間は信用出来ないものだ、一人で生きていくしかないと思いました。 人間への嫌悪感と一人で生きていくという決意をエネルギーに、部活や勉強を頑張り、それなりの大学に入りました。 しかし大学に入ってからたびたび精神が不安定になるようになりました。 カウンセラーの方とお話しし、そこで自分が完璧主義な面を持っていること、他人に頼れないため自分の中に様々なものが溜まっていることに気づきました。 その後これではダメだ、少しずつ人と関わりを持っていかなければと思うようになりました。 友人関係もままならない私の最終目標が恋愛です。 しかし、人間は信用出来ないから一人で生きていくという考えを否定することは私のアイデンティティーを否定することにもなりかねず、また人間への嫌悪感をバネに様々なことを頑張ってきたので、人に甘えることや頼ることはなかなかプライドが邪魔してできませんでした。 そして私が人と積極的に関わりを持てなかったのにはもう一つ理由があります。 基本的に人と接する時壁を作ってしまうのですが、時々心理的に距離が近いと感じる人に出会うことがあります。 それは女性の時もあるし男性の時もあるのですが、仲良く出来るかもと思って近づいていくと、大抵そういう人は自傷癖があったり、不登校になったり、うつ病になったりして連絡が途絶えてしまうのです。 これは小学生から今日まで起きている現象なのですが、偶然でしょうか。 それとも類友で魅かれる部分があるのでしょうか。 そんな私ですが、人と関わりを持とうと考え始めて5年目にしてやっと人を好きになってもいいかなと思えるようになりました。 でも今までの経験と考え方とプライドで、上手く人を好きになれません。 私はこれからどのように考え方を改善していけばいいでしょうか。 どうやって人を好きになればいいでしょうか。 アドバイス頂ければと思います。 よろしくお願いします。 | |
カウンセラー | 池尾昌紀 |
池尾昌紀と申します。 ご相談、ありがとうございます。 ご相談を読ませていただき、まやさんは、とても自分に厳しい方、そして、だからこそ、自分を常に責めてしまっているのではないか、と感じました。 ご相談の文中に、「完璧主義な面を持っている」のではいか、というお話が出てきます。 妥協できない、きちんとやらねばならない。 この「自分に厳しい」「自分を責める」気持ちが、人間不信にも関わってくるのではないかと思います。 心理学には「自分が禁止している事をされると、腹が立つ」という見方があります。 例えば、 いろいろなケースがありますが、この視点で考えると、「自分に厳しい」人は、「他の人にも厳しくなる」傾向があるようです。 真面目にやらない そうした言動に対して、とても腹が立つし、厳しい見方をしてしまうようになることがあります。 この許せない感情は、自分が禁止している大きさに比例してきます。 自分に厳しい度合いだけ、人にも厳しくなるのですね。 すると、自分への厳しさが大きければ大きいほど、他の人にも厳しさが大きくなっていき、人の失敗やできないところが許せなくなったりします。 ところが、完璧な人はそうそういません。 そうすると、人と接点を持てば持つほど、相手の欠点が目に付き、あるいは、過去に傷つけられたことを思い出して、腹が立ち、悲しくもなります。 人が嫌いなわけでないのです。 そう言えるのかもしれません。 人は信頼できない、という思いは、もうこれ以上傷つきたくない、という感情がもたらしていることがあるのです。 傷つかない一番の方法は、「人と接点を持たないこと」です。 もし、この視点が正しいとするなら、「人が信頼できない」という気持ちの下にある、こうした思いを見てあげていただきたいと思うのです。 人が信頼できないから、遠ざけていたわけではない。 これ以上、傷つかないように、自分を守るため。 もし、そうだとしたら、今までの考え方や行動は、しかたがなかった、ということにならないでしょうか。 今までの自分を否定する必要はありません。 誰だって、同じ状況になれば、同じ事をしたかもしれないのです。 そして、その上で、次に進んで行こう、と思ってみてください。 そのためには、生まれ育った家族について整理してみるのもヒントになるかもしれません。 そして、最後に書かせていただきたいのは、まやさんは、とても優しい心の持ち主である、ということです。 仲良くできると思って近づいていくと、そうした人達は、心に傷を負っていたりして、離れていってしまう。 ひとつには、自分と同じ傷を持っている人同士がつながりやすい、ということが言えると思います。 心理学には「問題の後ろには才能がある」という言葉があります。 傷ついている人に近づく、というのは、自分の問題だけで、接点を持っているのではないことがあるのです。 もしそうであるならば。 そして、そうした人のことを、私たちは「人間が好き」な人、と呼ぶと思うのです。 もし、本当に人のことが嫌いだったら、そもそも、今回のご相談のように悩んだりしないと思いませんか? それは、人のことが大好きなのに、嫌いにならなければならない苦しみ。 それは、あなたの優しさがもたらすものだと、私は思います。 具体的には、こんなやり方を試してみていただけないでしょうか。 心がこもっていなくても結構ですから、毎朝、鏡向かった時、自分に向かってこう言ってあげてみてください。 もちろん、すぐに変化はありません。 積み重ねていくと、心が少しずつでも、反応していきます。 なかなか一人でできないと思われたら、カウンセリングをご利用いただけたらと思います。 この苦しみを抜けていく方法は、あなたが自分の優しさを認めてあげることです。 そのことによって、心の葛藤は少なくなっていきます。 これほど大きな優しさを、心に閉じ込めておくことが、苦しみを生んでいると思うのです。 どうか、あなたの心の優しさを表に出していこうと思われてみてください。 ご相談ありがとうございました。 |