無価値な自分から一歩ずつでも進むには?

相談者名
ヒトミ
こんにちは。
42歳未婚女性です。
2年前、4年つきあった、大好きだった彼に突然別れを告げられました。
そのショックのさなか、尊敬していた同業の先輩から強いアプローチを受けてつきあい始めましたが、うまくいきませんでした。
どちらの失恋のときも、辛いときにそばにいてくれる友人がいたことに感謝しています。
でも心を占めるのは「自分で気付かなかったほど、彼にいやがられていた」「私との約束を新しい約束で反古にされるほど、私には価値がない」「私は父に『(男でない、次女の)お前なんていらない』と言われた娘なだけでなく、女としても誰にも必要とされない」…と、15年前に亡くなった父との、解決したはずの関係からの無価値観が蘇りました。
そしてかつてあんなに憧れ、そのかたすみで生きさせてもらっている業界も、色々な経験や、今の流行を見ていると、美しく思えなくなりました。
自分の人生はまるで「遠足のときにお弁当を忘れた子供」のようだと思います。
みんなが少しずつお弁当を好意で分けてくれて、誰よりも豪華なお弁当になるのです。
元気なときは、自分は色々な人に支えて頂いて恵まれていると思っていたのですが、今は、人に甘えてばかりで情けないと思います。
私はもらってばかりで、返すものはなく、無邪気にもらえる時期も過ぎたように感じるのに、自分でお弁当を作ることができていません。
全ての不幸は自分のこの甘さが招いている気がします。
年若い友人の結婚、専門を活かした就職、出産ラッシュにも翻弄され、目標を見失い、こうしてカウンセリングや、誰かに頼ろうとする、動けずにいる自分が情けないです。
一人で生きて行けると言って実践したいのですが、カップルでなければ、子供を持たなければ、健康な生き物として完全ではない気がします。
それでもこれまで積み上げて来たものがあるはずで、それに基づいて、または新たに目標を見定めてそれに向けて地道な努力をしたいのですが、何に向かって行けばいいのかわからなくなりました。
カウンセラー
中原謙一
ヒトミさん、始めまして
私は中原謙一と申します。
よろしくお願いいたします。さて、読ませていただいて私が感じたことなのですが、ヒトミさんはご自分が「無価値な自分である」ことをずいぶん責めていらっしゃるように感じますが、今回の問題は、この「無価値な自分」ではないように感じます。
言い換えるならば「無価値な自分」でいることで、本当の問題を隠しているような、そんな感じさえします。

では、ヒトミさんにとって、今回の本当の問題はなんでしょう?

人間は、「当たり前」と思っていることは意識しないんですよね。
それは「無価値な自分」も同じで、普段から自分を「価値がない」と思っていると、それが当たり前になって、「無価値な自分」でさえ意識しなくなっていきます。
ところが、今のヒトミさんは、「無価値な自分」を強く意識していますので、もともとのヒトミさんは「無価値な自分」は当たり前ではないのかもしれません。
だとしたら、ヒトミさんにとって当たり前の状態は、今回のお話でまったく言葉に出てきていない、でもその言葉に関連する表現がいくつか見られるものが、ヒトミさんの本当の問題かもしれませんね。

これは私の推測なのですが、ヒトミさんの本当の問題は「無価値感」ではなく、「罪悪感」ではないでしょうか?

罪悪感とは、誰かに対して申し訳ない、ごめんなさい、自分に罪がある、自分が悪いんだ、他人に依存できない、何かひとつに極端に依存してしまう(そのほかにはまったく依存できない)、自己嫌悪が強い、愛を受け取れない、なんでも自分ひとりでやろうとする、などの傾向が見られやすい状態なんです。

そもそも、ヒトミさんは、彼に振られた理由を「自分で気付かなかったほど、彼にいやがられていた」「私との約束を新しい約束で反古にされるほど、私には価値がない」「私は父に『(男でない、次女の)お前なんていらない』と言われた娘なだけでなく、女としても誰にも必要とされない」と、お父様と関連付けていらっしゃいますが、本当の理由は「彼の愛を無条件に受け取ることができなかった」ことに原因があるのではないでしょうか?

実はこの「罪悪感」ですが、お父様に対しても、ヒトミさんはもってらっしゃいます。
例に出すと、「お父さん、ごめんなさい、私が男じゃなくて」
これだけでも、父親に対して罪悪感が持てるわけです。

しかし、お父様から愛されていなかったと感じているヒトミさんには、ひとつ大きな勘違いがあります。
それは、お父様自身が、自分は誰からも愛されていなかった、と思い込んでいたことにはお気づきでしょうか?
お父様自身が「愛を受け取れなかった」ということを、ご存知だったでしょうか?

ヒトミさんがお父様との関係でお悩みが出てきている、ということは、それだけ当時のヒトミさんはお父様のことを愛していらっしゃったでしょうし、だからこそお父様から愛されたかったのではないでしょうか?
そして、お父様から愛されていない、とヒトミさんが感じてしまったのは、お父様自身が愛されていないと感じていて、ヒトミさんの愛を無自覚に拒絶していたからかもしれませんね。
ヒトミさんはそれをそっくりコピーしただけかもしれませんよね。

さらに、ヒトミさんはこのお父様の行動を、彼に対して同じことをしていたのかもしれませんね。
そうすると、ヒトミさんがお父様に対して「私は愛されていない」と感じたのと同じように、彼も「俺はヒトミさんから愛されていない」と勘違いしてもおかしくないでしょう。

「無価値感」というのは、他者に対する無言の攻撃です。
「罪悪感」とうのは、自分に対する無言の攻撃です。
そのどちらも、正しい考え方ではありません。

ヒトミさんに今、求められているものは、このどちらでもない選択ができるかどうか、ではないでしょうか?
本当に一歩でも前に進みたい、と心から感じておられるのであれば、この「無価値感」「罪悪感」の両方を、「選択しない」という選択が必要です。

そして、今のヒトミさんは「自分に何もさせない」ことに目標がありますから、目標どおりに今の自分が進んでいることを自覚してみてください。
ヒトミさんの思ったとおりの人生に、今はなっているわけです。

そして、個人的な意見ではありますが、それもやめられていいのではないでしょうか?

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

ヒトミさんが現状から抜け出すためのヒントに、少しでもなることができれば幸いです。

ありがとうございました。

中原謙一

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。