頑張って報われる私になるために
カウンセリングの中で「頑張っても報われない」というご相談をいただくことは多いです。仕事、恋愛、友人関係、家族との関わり、そのジャンルは多岐にわたります。このような私なりに努力しているのにうまくいかない関係性の問題に多く潜む心理が「期待」です。自分や人の思いに忠実になろうとしすぎるあまり、自分が思った結果が手に入らないということが起きるようなのです。
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カウンセリングの中で「頑張っても報われない」というご相談をいただくことがあります。
例えば、仕事やその対人関係、恋愛・夫婦関係、友人関係、家族との関わり、そのジャンルは多岐にわたります。
ご相談いただく多くの方が「とても頑張って」いらっしゃいます。時には人の期待に必死でこたえておられる方もいますし、人の気分を良くしようと相手の思いに寄り添っておられる方もいます。
しかし、なぜかその関係性がうまくいかない、と悩まれることもあるようです。その結果、自信を失ったり、自分では不十分だと感じてしまい、自分を肯定できず、辛い気持ち・しんどさを抱えてしまわれる、と言ったことも起きるようです。
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こういった「頑張っても報われない関係性」からどう抜け出すか、を考えたとき、キーワードとなるものが「期待」と「完璧主義」であることは少なくないようです。
まず、頑張っても報われない関係でお悩みの方ほど「人の期待にこたえよう」「相手がどう思うか」をとても気にされているケースが多いのです。
よくよく考えてみると、自分から相手のために心から行動することはとても素晴らしいことです。が、相手の期待に答えようとすると、その意図が少しブレるのですね。
例えば恋愛のケースであれば
「パートナーの機嫌損なわないように頑張る」といったケースがそれに当たります。
家族や対人関係であれば
「親(上司や会社)に失望されないように(相手が感情的にならないように)頑張る」といったケースもおなじです。
もちろんそのご本人は「相手のために」と行動されていることが多いのです。
が、自分が人の期待にこたえなければ、と考えているとき、自分としては相手のことを考えているように感じますが、その時感じているのは「自分が相手にどう思われるか」であることは多いのです。
そして、自分が「相手にどう思われるか」という意識を強く持っているとき、自分が意識しているのは相手ではなく「自分」なのです。
「自分は相手にどんな風に自分が写っているのだろう?」
自分が相手にどう思われるか、は相手の気持ちではないから、相手の期待にどれだけこたえても、何も変わらないのですが、なかなかそれに気づけないことも多いようです。
それこそ投影の法則で、「目の前の人にどう思われるだろうか?」という意識が強まるからですね。もし相手次第だけで自分の評価が決まるなら、人に振り回されつづけることにもなりますから、ちょっとしんどいですね。
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それもこれも、実は自分の物事の解釈、その主体が「相手」になっているから起こることなのです。
つまり、人の期待に応える頑張りを続けている方ほど、実は「他人基準」で物事を見て、自分を評価しているもの。
自分の評価を、自分で「相手次第だ」にしてしまえば、あなた自身が評価することは難しいですね。
実はこういった他人基準で物事を見て頑張っている方ほど、自分をいたわること、喜ばせることが苦手です。だから、ついスケジュールを詰め込んだり、人から物を頼まれると断れなかったり、休日出勤を頼まれると予定があっても仕事に出かけます。
そのココロに隠れた心理は「不十分さ」なのです。
人の期待にこたえなければ私は不十分。
人の期待に答えている私は十分。
どうでしょう、この感覚で生きやすいと思うでしょうか。
しかし、実際「相手の気持ちにこたえたい」と思える人は、心のレベルではちゃんと「愛」や「与えること」を知っています。だからそれだけで素晴らしいのです。
が、その私の思いが伝わらない、という経験を積んでいる方が多いことも事実です。
子供時代の話なら、「自分がどれだけ親を心配しても親の表情はうかないまま」「どれだけ頑張っても家族は喜んでくれなかった」そういった経験をしている方が多いのです。
いわゆる私の思いが伝わらない・・・ハートブレイク(傷心)ですね。
私達がこういった思いをすると、「もういいよ!」と相手を思うことを辞めてしまうことも少なくないのですが、中には「伝わらないのは自分が不十分だからだ」と感じて、自分の内面に攻撃性を向け、罪悪感を感じている方もいます。
だから自分が自分を許し、評価できるようになること、が必要になります。
私が不十分ではないか、という判断や疑い、不安をどれだけ手放していくか、です。
もう一度、自分自身の再評価が必要です。今までの自分がどのような思いで過ごしてきたのか、自分が誰のために頑張ってきたのか、をしっかり認めて自分を「許す」ことです。
この自分に対する許し~自分なりに頑張ってきたし、自分なりに人を愛してきた~という部分が受け取れると、あなたが普段頑張っていることも「自分基準」で評価できるようになります。
自分に期待をかけ、完璧を目指すのではなく、「自分なりに愛し、与えればいい」ということに意味を感じられるのです。そうなれば人からの「頑張っているね」という言葉も今まで以上にあなたの心に響きますし、たとえ失敗しても「自分なりに頑張った」ことを自分で認められる、自分を責めなくて済むようになります。
そう考えますと、頑張っても頑張っても報われないときほど、今までの頑張り方ではもう自分を評価できないよ、というサインだとも考えられるのですね。
ここに自分を大切にする大きな意味合いがあるといえるのです。
(完)