よくドラマで、良かれと思って、誰かがした助言なんかを、
「自分のことは自分が一番分かってるのよ!」
と突っぱねるシーンってありますよね。
多くの場合は、何か秘密があったりして、その秘密を知らないせいで、主人公の本当の気持ちを理解することなんてできないというものなのですが、こんな時、確かに、主人公の心の中を正しく、具体的に理解するのは難しいかもしれません。
しかしながら、「自分のことは自分が一番分かってる」というセリフは、相手を黙らせるには、なかなか効果的かもしれませんが、その言葉の意味そのものが本当かどうか、誠に怪しいものなのです。
少なくとも、「自分のことは自分が一番分かってる」と言い放つ主人公はなかなか、このお節介の中の愛までは、理解できないのかもしれませんね。
心理学のワークショップなどで、「自分の良いところをみつける」なんていう才能発掘の実習をすることがありますが、その実習を一人でやるなんてことはないのです。なぜなら、私たちは「自分の良いところ」について、どれだけ一生懸命考えてもわからないからです。
「自分のきらいなところ」を書き出してください、なんていう設問には、いくらでも書けたりするのに(笑)
「良いところなんてありませんっ!!」なんて、涙目で訴える方がいらっしゃるくらい。
でも、そんなはずありません。
私たちは、自分に対してとても辛口なのです。
このくらい出来ないと。
このくらいやらないと。
それが普通でしょ。
こんなふうに、いつだってあれこれ設定しているので、やり切れないことがたくさん出てしまいます。
そこに対して、自己批判があるのですね。
厳しくダメ出しをして、自分を責めたり、価値を下げてしまっています。
でも、これはあくまでも、自分がみた「自分」への評価です。
これは、自分の中で課した、とても難しいテストのようです。
そして、「まだ合格してない!」と自分にバツを付けてしまっています。
では、外から、誰かが見たあなたは、どう映るのでしょうか。
難しいテストも
厳しい設定も
そもそもありません。
ただあなたを見てくれています。
まったく別の評価になることは、おわかりですよね。
「自分の良いところ」は、自分じゃない人に見つけてもらうのが一番いいのは、こういうことです。
あなたが、自分のことを責めて泣いていても、誰かは、あなたの中に強さをみつけるでしょう。
あなたが、自分はひどい奴なのだと怒り狂っていても、誰かは、あなたの中に優しさを見るでしょう。
あなたが、自分には何もないのだと立ち尽くしていても、誰かは、あなたの中に大きな愛を感じるでしょう。
あなたの中にある「良きもの」は、あなた以外の人の方が、ピントが合うようです。
そうやって、私たちは誰かの中に、自分の欠片を映しながら生きています。
そして、人の中にいることで、自分を知るということを永遠にやっていくようです。
でなければ、私たちは、自分のことがこれっぽっちもわからないからです。
お役に立てれば嬉しいです。