自分を責める代わりに

どんどんほめたほうがいいようです

こんにちは 平です。

彼の奥さまは、だいぶ強い自己嫌悪をもった女性です。 さらに感情的になりやすく、ヒステリックになることもある人なのですが、彼が彼女の感情パターンを分析し、 攻略法を編み出してからは、とても穏やかな夫婦になりました。

以前は、彼が仕事で疲れて帰宅すると、いきなり不機嫌な奥さまが待っていることも少なくなかったとか。 で、「どうしたの?」と聞くと、「昔のあのとき、やさしくなかった」とか 「私のことをぜんぜんわかってくれていなかった」とか、過去のことを持ち出され、怒られたりしたのだそうです。

そのあと、彼女は「なにもする気がしない」などと引きこもったり、家事を放棄したりするわけです。

しかし、じつは彼女が不機嫌になったほんとうの理由は別のところにありました。

彼女は専業主婦なのですが、その日、しなければいけない家の仕事をなんらかの理由でサボッてしまい、 「専業主婦なのに、家事をしていない自分は最低だ」と彼女は自分をひどく責めていました。

そして、自分を責めるだけ責め、心が苦しくなると、「そもそも、こうなったのは、あなたが私を十分に愛し、 大事にしてくれなかったから」という理屈を作り、それがご主人に対する攻撃へと変わっていくのです。

彼女はお嬢様として過保護に育てられてきました。 やさしいパパと、家庭的で完ぺきな主婦であるママに溺愛され、幸せに育ってきたわけです。 家のことはなにもしたことがなく、結婚後はそれなりするようにはなったのですが、 したところでおかあさんの足元にもおよばないことが大きなコンプレックスにもなっていました。

そんな背景がありますので、奥さんが不機嫌になり、過去のことを責められたとき、ご主人がそれに真面目に答えていっても、 問題はこじれるばかりだったのです。

が、あるとき、彼はある心理法則を学びました。 奥さまが言っていることは、つまり、こんなふうに翻訳できるということに気づいたのです。

「どう、こんな私は最低でしょ?」 「こんなに怒りんぼの私なんか、大嫌いでしょ?」 「こんな私と結婚なんかしないほうがよかったと思ってるでしょ?」

そして、それに気づいたご主人は、怒られたことのいいわけをするのではなく、別のコミュニケーションをすることができるようになったのです。

「僕はきみと結婚して、ほんとうによかったと思っているよ」
「これからもずっときみと暮らしていけたら、どんなに幸せだろうと思うんだ」

彼のこんな言葉が、奥さまの「自分は嫌われてしまうだろう」という思いを和らげ、安心をもたらして、 それからは彼女が不機嫌になることもだんだん少なくなっていきました。

また、彼女の自己嫌悪の原因であった「晩ごはんを作っていない」、「洗濯をしていない」といったことについても、 彼が「外に食べに行こうよ」とか「たまには僕も洗濯ぐらいしないとね」とサポートすることで、状況はだいぶしのげるようになりました。

ただし、これだけでは、家事が苦手だという奥さまのコンプレックスを抜本的には解消することはできません。

こうした場合、そのコンプレックスは何度もぶり返し、そのたびに同じ問題を起こしながら、自己嫌悪を強化していきがちです。
彼女の場合もまさにそれで、家事をするたびにいやな気分を感じてしまうことから、しだいに家事から距離をおくようになっていきました。

そんな彼女を見て、ご主人はまたあることを考えました。 それは、「家事といやな気分がくっついているなら、それをいい気分に変えたい」ということです。

そして、彼がとった手が、2人の小さな娘さんたちと一緒におままごとのように楽しく家事をするということだったのです。 子どもの料理ですから、上手にできるはずはありません。 たとえば、油も引かずに目玉焼きを作ろうとするので、フライパンにくっついたり、焦げついたりしてしまうのです。

が、それを見た奥さまが「ダメよ、先に油を引かないと」とアドバイスし、目玉焼きを作ってみせると、 「ママ、すごーい!」と歓声が上がったりします。 奥さまにしてみれば、たかが目玉焼き。でも、子どもたちの目にはそれが「すご?い!」と映るんですね。

そして、彼女は気づいたのです。昔の自分は、「ママ、すごーい!」と言う代わりに、 「私はなんてダメなの」と言っていたんだ、ということに。

そんなコンプレックスを感じるのがいやで、おかあさんに家事を教わることもなかったのですね。

その後、彼女は久しぶりにおかあさんにSOSを出し、いろいろなことを教えてもらうようになり、 長年のコンプレックスから解放されたのだとか。

どうやら、すごい人がいたら、どんどんほめたほうがいいようです。 そうじゃないと、自分のことを責めてしまったりしますからね。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!


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About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。