心の中にあった自分を責める言葉を手放すこと
こんにちは 平です。
3年間の結婚生活を終えて、彼女は実家に戻りました。
別れたご主人はとても派手な人で、口では大きなことを言いながら、実体がなかなか伴わないタイプでした。
彼は事業をしていたのですが借金だらけになり、世間からの信用をすっかり失っていました。
そして、最後、「すべてはおまえと結婚したからだ」と彼女のせいにされ、
そんな彼から逃げるように彼女は実家に帰ってきたのです。
じつは結婚する前、「あの男だけはやめておけ」と忠告してくれる友人知人は何人もいました。
が、彼女は「彼こそが私の王子様で、私をここから救い出してくれる」と思い込んでいたのです。
そして、いま、「なんで、こんなことになってしまったのだろう‥‥」
「なんで、あのとき、みんなの言うことを聞かなかったのだろう‥‥」
と彼女は自分の人生についてぼんやりと考えていました。
ご主人と彼女は、コンプレックスが相当強いというところでは似ていました。
ご主人は飲みにいくことが多く、ギャンブルもするので、生活費として月に50万円は必要でした。
だから、普通のサラリーマンではやっていえないと思い、自分で商売を始めたわけです。
しかし、もともと自己管理が苦手な人ですから、いいときはいいのですが、悪くなったときは歯止めが利かず、めちゃくちゃになってしまいます。
一方の彼女は人生でコンプレックスを感じる場面が多いので、その解消方法として、「最高の王子様のお嫁さんになりたい」という思いが強かったのです。
そんなとき、白い馬ならぬ派手な外車に乗った彼と出会ったと思ってください。
彼女は彼に自分の求める王子様を投影しました。
そして、彼が偽物だとはぜったい思いたくはなかったのです。だとしたら、“私の王子様”はいなくなってしまうのですから。
すでに、おつきあいをしているときから、おかしな言動はたくさんありました。
が、彼に王子様のままでいてもらわなければ困ってしまうので、おかしな部分はあえて見ないようにしたり、一時の彼の気の迷いだろうと思ったりと、彼女は自分の利益になるような判断ばかりしていたわけです。
「あの男はよくないよ」と忠告してくれる友だちがいると、その友人関係も切ってしまったりしました。
彼女が人生でずっと抱えてきたコンプレックスを解消する唯一の方法が、この王子様と結婚することだったわけですから。
しかしながら、最後の最後に王子様の正体がバレてしまったわけです。
そして、「真実の王子様ではない」と彼女が認識するようになると、彼に対するものすごい憎しみが湧いてきました。
その憎しみの下には救いがないほどの劣等感がありました。彼との結婚が破綻し、自分の人生は終わってしまい、もう取り返しがつかないと感じていたのです。
そのまた下にはまた別の感情がありました。それは、「私は昔から、やるべきことをなに一つやらずに来た。怠惰でやる気のない自分」というものでした。
すなわち、「私はなにもしないので、だれかに私の面倒を見てほしい」というわがままな子どもが
「大人になりたくない」と言っているような状態の彼女がそこにはいたのです。
彼女は、素敵な王子様を見つれば、「私はなにも変わらなくても幸せになれる」と考えたわけです。
言い換えれば、彼女の心の奥には、「こんな私が幸せになれるはずがない」という強い思いがあったわけです。
カウンセリングでは、「この怠け者の自分」、「なにをしたってうまくいかない自分」‥‥と、
自分で自分を激しく責めている部分を癒していくことにしました。
ネガティブな感情は真実ではありません。
ネガティブな感情とは、なにか真実を行っていないときに、あなたを責めるエゴの感情でもあります。
彼女が子どものとき、「自分はなにもできない」ともっとも強く感じた経験は、お部屋の掃除に関することでした。
おかあさんからしょっちゅう、「ほんとにもう、あんたは掃除一つできないんだから。将来、結婚したら困るよ」と言われていたことを思い出したのです。
そして、彼女がしたのは自分の部屋のお掃除でした。そう、断捨離を始めたのです。
部屋のお掃除をしながら、彼女は自分の人生にも同じように断捨離が必要だと感じ、心の中にあった自分を責める言葉を手放すことを始めました。
すると、そこから人生が改善しはじめたそうなのです。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!