自分の中に隠れている気持ちを見つめる
怒りを整理する次のステップは、目の前の誰かや何かに怒っていること以外に、自分の中に隠れている気持ちがあるのではないか、と内面を見ていくアプローチです。
誰かを怒っている時は、多くの場合「自分に怒っている時」です。「こんなことを言われるのは自分が悪いからではないか」とか「私のせいでこんな悪い態度(例えば浮気とか)をするのではないか」と自分を責めているのです。
そうであるなら、相手への怒りを鎮めるだけでなく、自分への怒りを整理してあげることで怒りを鎮めることができます。
また、怒り以外のこと、不安、怖れ、余裕のなさや、目の前の人以外に怒っている誰かがいることもあり、怒りを整理するのに「本当の気持ちを探す」ことが役に立ちます。
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怒りの整理術と題して、怒りの心理の解説とその扱い方についてお伝えしていく連載です。
◎怒りを整理する4つのステップ
怒りの整理術は以下の手順で進めていきます。
ステップ1:怒りを否定せず受け入れてあげる
ステップ2:怒りで隠れている本当の気持ちを探す
ステップ3:怒っている相手を理解する
ステップ4:この出来事に意味と学びを探す
第2回目は「ステップ2:怒りで隠れている本当の気持ちを探す」をお届けします。
怒りを整理する次のステップは、目の前の誰かや何かに怒っていること以外に、自分の中に隠れている気持ちがあるのではないか、と内面を見ていくアプローチです。
怒りの整理術をお伝えしていくのに、具体的な例を使っていきましょう。
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あなたの職場には怒りっぽい上司がいます。
ある時、その上司の元へ仕事上のミスが報告されました。
すると上司が突然、あなたに向かって「この処理をしたのはお前だろう!」と怒ったとします。
それはあなたが担当した仕事ではありませんでした。
あなたは激しく腹が立って「私の仕事ではありません!」と怒ったとします。
上司は自分の過ちに気づき、しまった!という顔を一瞬しましたが、また怒り顔になり、部屋から出ていってしまいました。
あなたは謝るどころか部屋を出ていった上司にさらに激怒して、この気持ちを抑えることができません。
家に帰る道中も、家に帰ってからも上司への怒りは収まりません。
こんな時、あなたはこの怒りをどう整理するでしょう。
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明らかに相手が悪い。こうした場合は、怒って当然と自分でも思いますし、友達などに相談したら一緒に上司に腹を立ててくれるでしょう。
しかしながら、誰かに話を聴いてもらえば楽にはなりますが、それでは収まらないことも多いのです。
その場合、怒りは目の前の誰かではなく、他の誰かに怒っているか、怒りとは別の何かを感じています。
怒りを整理するためには「怒りで隠れている本当の気持ちを探す」必要があるんですね。
こうした時は、目の前に腹を立てている誰かや何かに対してではなく、自分の内面に目を向けて整理することが有効です。
今回のケースで言えば、上司に怒る気持ち以外に隠れている気持ちがあるのです。
例えば、今回は自分の責任ではなかったけれど、最近ミスが多くて上司に何度か叱られた、とか、数年前に大きなミスをして会社に迷惑をかけた過去がある、とか。
こうした場合、目の前のミスは関係ないのに、まるで自分がミスをしたような気持ちになってすごくイライラする、なんてこともあります。
これは目の前の上司ではなくて、「あんなミスをしてしまった私に腹を立てている」のです。
上司が勘違いして自分に怒っているのに「勘違いされて怒られても仕方がない私がいる」と自分を責めてしまっているのですね。
実際にミスをするような過去がなくても、こうしたことは起こります。
1.他に不安や怖れやプレッシャーなどがある場合
仕事をしてく上で不安を抱えていたり、プレッシャーがある場合。
例えば、プロジェクトチームの取りまとめを任されていて、プレッシャーを感じているとか、プロジェクトがうまく進んでなくて不安が募っているとか。
そんな時に、上司がイライラしているのを見ると、目の前の仕事ではなく、自分が抱えているプロジェクトチームのことを怒られているような気持ちになって、腹が立ってくる。そんな場合もあります。
また、仕事以外にも不安や悩み事があっても同じことが起こります。
恋人と別れ話が出ているとか、親が病気になって心配とか。
いずれも、不安や怖れやプレッシャーがあるのは「自分が悪い」「自分のせいだ」と自らを責めている状態が土台にあるために、誰かからの怒りが自分を責めている心を刺激してくるために、目の前の怒っている人に怒りを覚える、ということになっているのです。
2.体調不良や疲れている時
こうした場合も自分の怒りの沸点は下がります。
体調が悪い、疲れている、睡眠不足などの時は心に余裕がなありませんから、怒りやすくなってしまうのですね。
では、怒りをどのように整理していけばいいかと言えば、まずは、目の前の誰かへの怒り以外に、自分の内面に目を向けて、他に怒っている誰かや何かがあったり、過去があったり、余裕がなかったりしてないだろうか、と理由を探していくところから始めていきます。
目の前の誰かに怒っていることを認めながら、その他にも怒っているもの、ネガティブなものが隠れていて、それらが合わさって、この怒りの大きさになってるんだ、と気がつくだけでも、楽になります。
目の前の誰かに怒っている怒りの量が大きすぎると気が付けるからなんですね。
そして、気がついた、その他の怒りや気持ちに対しては、一つ一つに対して、自分のがんばってきたことや、仕方がない理由を探して、寄り添ってあげます。そして、一つ一つに対して、楽になる解決方法を探してあげます。
・プロジェクトチームがうまくいかない
できてないことだけでなく、今までがんばってきたことを見つけてあげる。
この仕事についてアドバイスが受けられる人を思い出して相談してみる。
こんな風に、他の怒りや悩みについて、寄り添っていきます。
仕事以外の悩み、恋人との関係や親の病気などについても同じ。
「やれなかったこと後悔していることより、できたこと嬉しかったこと喜んでもらえたこと」を探してリストアップして、自分を責めるのではなく認めてあげる。
そして、誰かに気持ちを聴いてもらう、相談するなどができる人を探して話す。
そんな風に対処していきます。
また、体調不良や疲れは、体を治す、疲れは休むリラックスする気分転換する。
この手順をやっていくと、目の前の怒っていた誰かや何かへの怒りが減っていき、時には、怒っていたことを忘れることもあります。
私たちの心はわからないことがあると不安になりイライラします。
隠れている気持ちがわかると、それだけで楽になるのですね。