「グラウンディング」で自分への信頼感を養う
周りの人たちから何かを要求されたり、アドバイスやダメ出しされるなど、あれこれ言われやすい人がいます。じつは自分に対する信頼感が弱い人ほど、周りの人たちからあれこれ口を出されやすいという特徴があります。
何かを言われたときに精神的にグラグラせずにどっしりと構えていられるような心の状態をつくるためには、グラウンディングをして、自分への信頼感を養うことが大切です。
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こんにちは。
今日の心理学講座はカウンセリングサービス『高見綾』が担当します。
周りの人たちから、「この仕事をやってほしい」と頼まれたり、現状について「あなたはこうした方がいいわよ」「そんな調子ではダメじゃない」と、あれこれ言われやすい人というのがいます。
不安になっているときに、周りからあれこれ言われると、自信をなくしますし余計に不安になってしまいますよね。実はこうしたケースでは、そもそも自分に対する信頼感が弱い状態だとあれこれ言われやすくなるという特徴があります。
では周りの人からあれこれ言われても精神的に動揺せず、どんなときもどっしりと構えていられるような心の状態にしていくためには、どうしたらいいのでしょうか。
◆「グラウンディング」の大切さ
グラウンディングとは、地に足が着いている状態のことをいいます。グラウンディングができているときは、夢や希望を追い求めるだけではなく、今という現実を見つめて生きていくことができ、自分の軸がしっかりとしています。
しかし、グラウンディングができていない人は、自分がふわふわしていると感じたり、芯がないように感じることがあるようです。そのため、誰かにダメ出しをされたり、あれこれ言われてしまうと、自分の価値が揺らぎ、軸がぶれてしまうのです。そういった隙があると、他人からは余計に口出しされやすくなりますので要注意です。
グラウンディングができていると、人にあれこれ言われにくくなりますし、仮に言われたとしても自分の中で消化して、自分なりの判断を下すことができます。一時的に落ち込んだり迷うことがあっても、最終的には立ち直ることができますし、自分らしい選択をしていけます。グラウンディングできているということは、自分に信頼感がある状態だと言うことができるでしょう。
◆選択肢が多く、迷いやすい時代
現代においては、グラウンディングや自分を信頼していく力は、とくに必要なものだと思います。今は価値観が多様化し、様々な生き方の選択肢がある時代です。物質もサービスも飽和状態で、インターネットを見れば情報も溢れています。このように情報過多で、選択肢がたくさんありすぎる状態では、人は心理的に迷いやすくなります。様々な意見があり、選択肢も無数にある中で、自分はどう思うのか?どう考えるのか?がとても大切になってきます。
人から何かを要求されたり、あれこれ言われたりしたときに、「どうすれば正しいのか?」と、正解・不正解で物事を考える癖があると、余計に迷ってしまうことになります。人によって意見が割れる中で、絶対的に「正しい答え」というのはないようなものだからです。
正解も不正解もじつはないんだ、ということを認識した上で、自分はどうしたいのかを主体的に判断していく力を養っていくことが大切です。
◆自分を信頼する力を取り戻そう
自分を信頼するためには、「物事を自分が決めている」と感じることが必要です。色んな人が色んなことを言ってくると、自分がどうしたいのかがわからなくなるかもしれませんが、まずは「あの人はこう思っているんだな」「あの人はこうして欲しいと思っているんだな」と一旦受け止めた上で、「それで、私はどう思う?どうしたい?」と都度、自分に問いかけてみる癖をつけるといいですね。必ずしも、人の要求や期待に応える必要はないし、相手が言ったことが正しいということもないのです。
まずは自分が感じたことを信頼し、自分で主体的に選ぶこと。なんとなく流されて決めていると、ふわふわした地に足が着いていない感覚になってしまいますので、「私が選んだ」と確信が持てるようになるといいですね。
そのためにはまず、日常のちょっとしたことから、「自分が決める」ことをやると効果的です。今日何を食べるか、今日はどの服を着るか、今日は何時に起きるか、そんな些細なことを意識的に決めていくことでも、変化していきます。いきなり大きな決断をしようと思っても難しいですからね。そうした日常の中で選択を積み重ねていくことで、自分に対する信頼感は育まれていくのです。
参考になりましたら幸いです。
(完)