“依存”から一気にジャンプアップ
こんにちは 平です。
彼女はお嬢様育ちで、過保護に育てられました。お料理からお掃除まで、家事全般をほぼ未体験です。
大学に入学すると同時に地元から東京に出てきましたが、なかなか自立できず、月に1回、おかあさんが彼女の家にやってきて、
3日間かけて掃除・洗濯をしていくようになりました。
彼女は靴下と下着を30枚ずつ持っています。着終わったものは、それこそ生ゴミを入れるような大きな袋に入れておき、
それをおかあさんが、月に1回、まとめて洗濯してくれるのです。
しかしながら、さすがのおかあさんも「うちの娘は自立して、嫁に行ける日が来るのだろうか?」、
「今、自分がしていることは、はたして娘のためになるのだろうか?」と考えるようになりるわけです。
で、「少しずつでも自分でできるように、がんばってみなさい」と言うわけですが、お嬢様の答えは、「いまさら、無理!」。
そんなお嬢様が劇的に返信したのは、やはり、彼ができたのがきっかけでした。
彼の家に遊びにいったところ、「リンゴをむいてくれ」と言われたとか。
リンゴなど、人生で一度もむいたことのなかったお嬢様、見よう見まねでむいてみて、
結局、皮をむいたというよりも、切り刻んだリンゴを彼に出したそうなのです。
彼曰く、「これ、どんな料理?」。
この出来事によって奮起し、果物の皮むきやら料理のイロハやらを、おかあさんにコーチしてもらうこととなったわけです。
今までは月に2~3日ですんでいたおかあさんのヘルプも、月4日に、5日にと、どんどん伸びていきました。
当然ながら、おつきあいしている彼は、彼女の部屋に来たがります。が、しかし、彼女はけっして呼びません。
こんな部屋、見せられたものではないからです。
が、つっぱねてばかりいるわけにもいかなくなり、
彼女はついに掃除・洗濯という、人生でしたことのなかったチャレンジをすることになりました。
それで気づいたのが、「ボタン1個、押したらええだけやったんや」。
どうやら、彼女は洗濯機をものすごく怖がっていたようなのです。いまどきの洗濯機は全自動ですから、
ボタン一つで全部やってくれるんですけどね。
その後、近所のコインランドリーの乾燥機の使い方も覚えると、彼女の靴下と下着のセット数は激減していきました。
いつも山になっていた彼女の衣類も整理整頓され、それにつれ、自立度も上がっていったわけです。
彼を部屋に招くことができるようになると、今度は事情を理解した彼が彼女のコーチ役になり、いろいろなことを教えてくれるようになりました。
すると、おかあさんの出番はどんどんなくなり、彼女も「おかあさんは、当分、来なくてもいい」と言うようになりました。
こうした彼女の変化を心理的に見ていくと、まず、なんでも両親を頼りにしていたころの彼女は“依存”の状況にありました。
人間、生きているかぎり、困りごとや悩みごとは日常的に起こるものです。
そのとき、両親ではなく、友だちやパートナーに相談できるかどうかが、“自立”の度合いをあらわす目安になるといわれています。
両親から自立しはじめると、まず、“同性の友だち”に相談することが多くなります。
それが“異性の友だち”へと移行するようになると、大人への自立もだいぶ進んだといえます。
今回の彼女の場合、他の女性と自分を比べ、「みんなができることが、私にはなに一つできない」
というコンプレックスを抱えながらも、長年、“依存”の位置から抜けられずにいました。
それが、彼ができたことで、相談相手も両親から異性へと一気にジャンプアップしたわけです。
その原動力となったのが、「彼を失いたくない」という思いだったのでしょう。
“親離れ”という言葉はまさに、私たちの精神的な成長をあらわしているんですね。
では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!
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