みなさんは「三方よし」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「三方よし」とは、デジタル大辞典では “「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」。売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということ。近江商人の心得をいったもの” とあります。
かつて近江商人が、自分たち(売り手)の利益や都合ばかりを考えるのではなく、お客様(買い手)のことを第一に考えて商売を続けた結果、それが信頼となって大きな利益をもたらし、その利益で学校や橋を無償で建設し、社会(世間)にも大きく貢献したそうです。
「三方よし」とはそれから生まれた商売の心得で、今でも多くの経営者の指針となっているものです。
なぜ「三方よし」が商売の心得となっているのしょう?
そもそも「売り手も買い手も満足」なんてことはあるのでしょうか?
買い手にとっては、良いもの・ためになるものが安く手に入れば「よし」となります。
売り手としては、良いもの・ためになるものを提供するには、それなりの費用がかかるので、費用以上の価格を付けなければ「よし」となりません。
また、ある程度の利益を出さなければ商売すら続けることができなくなってしまいます。
買い手にとって良いもの・ためになるものを「適正な価格」で売ってこそ、売り手の「よし」となるのです。
売り手としては値決めが重要になるのですが、「儲けること」や「利益を得ること」は「お客様に申し訳ない」と思う罪悪感を持っていると、価格を安く設定してしまうことにつながります。
価格を安くすることは、「お客様のため」ではあるかもしれません。
しかし「儲けること」や「利益を得ること」に罪悪感があったり、提供している商品に自信がなかったり、売ること自体に自信がなかったりすると、利益の薄い価格(あるいはかかった費用以上に損をする価格)設定になったり、値引きをしてしまうことにつながりやすくなってしまうのです。
もちろん販売戦略として、ある商品だけ価格を抑えて目玉商品とする場合はあると思います。
利益が薄くても、数を売って利益を得る「薄利多売(はくりたばい)」という利益の得かたもあります。
例え良いものであっても、価格が高すぎれば売れにくくなりますし、安すぎても利益が確保できないので、価格設定というのは本当に難しいものなのかもしれません。
だからこそ「三方よし」の心得が、多くの経営者の指針になっていたり、商売の心得となっているのかもしれませんね。
お客様のためになるものを、適正な価格で売り、利益を得ることができれば、お客様にためになるものを提供し続けることができます。
その利益でさらなる良いものを作り出すこともできます。
利益が大きくなれば、社会貢献もできます。
人のためになることで利益を得ることは、決して悪いことではないのです。
先ほども少し触れましたが、価格設定をするときに、必要以上に安く設定しがちな場合は、次のような要素が邪魔しているのかもしれません。
①儲けることや利益を得ることに罪悪感がある。
②提供するものに自信がない。
③売る自信が自分にない。(自分に自信がない。)
思い当たる要素があった場合、どう対処すれば良いのかをポイントだけご紹介します。
①の場合は、それこそ「三方よし」に学び、儲けることや利益を得ることは決して悪いことではないと認識する。
「儲けること」=「悪いこと」という概念を外す。
②の場合、提供するものが良いものと思えていないということになるので、提供するもの自体を改善する。
本当は良いものなのに、自分だけがそれを良いものと思えない場合は、そのものに対して悪いイメージを持ってしまうような過去の出来事がなかったかを探り、そこを癒す。
③の場合は、自分に自信をつけることに取り組む。(自己肯定感を上げる。自分を大切にする。)
それぞれの具体的な方法はここでは書ききれないので、また別の機会にご紹介させていただきますね。
「三方よし」の精神は、言葉を置き換えれば「自分よし、相手よし、世の中よし」と人間関係においても大切な心得となります。
「三方よし」の精神で、世の中を明るく幸せな世界にしていきたいものですね。