今回は「男女関係が燃え尽きる前にできること」がテーマです。
恋愛やご夫婦の関係が終わろうとしているとき。
それはお互いにともにいる意味を見いだせなくなっている状態であることが多いもの。
「自分の思いを主張すれば対立し、相手の思いを受け入れれば自分が負けた気がする」
自分なりの思いを持ち寄っても、ただただ対立してしまい、関係が燃え尽きたような状態になるわけです。
そんなときこそもう一度自分自身、そしてこの関係性を見つめるとき。
頑張る、主張する、ではなく、もう一度今ある価値を受け取り、二人の価値を見つめるとき。
もう一度、パートナーシップの「天国の扉」を開くには二人の力が必要なのです。
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こんにちは。カウンセリングサービスの浅野寿和です。
今回はこのシリーズ最後「男女関係が燃え尽きる前にできること」です。
私達の成長プロセスは「依存」→「自立」へと進みます。
一人の人間としての成長プロセスは「一人では生きていけなかった子供」から「一人で立ち、生きていけるようになり、自分なりの成功法則を身につける」自立への道をたどります。
これ、パートナーシップも同じなんですよね。
パートナーシップに一つの人格の与えるイメージで見つめてみると・・・
・「好き」だけで繋がっていた(ロマンス)の男女が
・パートナーに今までのように愛してもらえないことで傷ついたり不満を感じる時期があり(ハートブレイク)
・そんなワガママな自分に反省し、自分を律する時期があり(罪悪感)
・自分なりにパートナーや二人の関係をより良いものにしようと努力する時期があり(自立の始まり・期待)
・自分なりに相手を愛する余裕を手に入れる時期があり(自信を手に入れる)
・自分なりの愛し方にこだわり、相手と対立する時期をむかえ(パワーストラグル)
・最後は、自分なりに愛してきたのに、今まで一体何だったんだろうか・・・と諦め、燃え尽きを感じるまでになる(デットゾーン)
パートナーシップがデットゾーンの領域に達していると、もはやお互いに共にいる意味を見いだせなくなっているでしょう。
ただ、パートナーシップを長く続ければ、この「諦め・燃え尽き」のような時期をむかえることになるわけです。
なんだか残念なお話のように聞こえるかもしれませんが、「自分なりにパートナーを大切にしようと頑張れば頑張る」ほど、その関係はいつしか「無味乾燥な状態」に近づくというわけです。
そこでは価値や魅力を感じられず、心が麻痺してしまったような状態で、無気力にもなりやすいものです。
こうなると自分なりの考え方・愛し方を持ち寄っても、ただただパートナーと向き合えず、時には対立してしまい、関係が燃え尽きたような状態になるわけです。
すると、多くの人は今の関係に価値を感じなくなるのです。
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このような状態になっているとき
「実は、自分自身が自立を強めているから、パートナーシップ(パートナー)に価値を見いだせないのだ」
とはあまり考えないようです。
アカウンタビリティ(自己責任の原則)を用いれば、パートナーシップに意味を感じなくなっているのは自分。
そもそも私達は自立的な態度を取ればとるほど、「今自分が手にしているパートナーシップ(パートナー)に価値を感じられなくなる」ものなのです。
だから
パートナーに魅力を感じない。
パートナーに愛想が尽きる。
今の関係性がとにかく苦しい。
何をやってもそれなりの関係性のまま。
男として女として刺激が欲しくなる・・・。
こういった感覚がやってくるのです。
もしその結果「パートナーとの別れ」を考え始めるしかないとしたら・・・。
もちろんここで別れを選択する人もいますし、それがいい悪いといった話を語ることはできません。
しかし、自分なりに二人の関係を考え頑張ってきた結果、その限界を迎えて別れるしかないのであれば、おそらく「ロングスパン」のパートナーシップは構築できないことになります。また別の人と同じプロセスを繰り返し、また同じような終わりを迎えかねないわけです。
実は「無味乾燥」な関係性がやってきたとき、私達はもとに戻るのか(今の自分のままでいるか)、それともこの先に待っているパートナーシップのプロセスを歩むのかの選択ができるのですね。
それはもう一度自分自身、そしてこの関係性を見つめるチャンスが来ているといえます。
ただし、ここからのチャレンジは「自立を強める(頑張る、主張する)」ではないんです。
もう一度今ある価値を受け取り、二人の価値を見つめることが求められています。
今までのように何を頑張ったらよいかと考え続けると確実に終わりを選びたくなる、そんな罠が待っているとも言えるのですね。
今回はそんな自立の姿勢から抜け出して、その先に待つ「本当のロマンス」へのステップアップの方法をお伝えします。
●承認・感謝を使う
まずは、今の自分、そして自分が手に入れているものに承認してみます。
「承認」とは、そのものの価値を認め、ただ受け取るイメージです。
あまりに今のパートナーシップに意味を感じなくなっている場合は、まず自分に対する承認から始めましょう。
今まで自分なりに頑張ってきたこと、与えてきたことを「当然」「当たり前」といった態度を取らないでくださいね。もちろん自分の価値を「盛る」必要も、人に認めさせる姿勢も必要ありません。
これはやればやるほど自立が強まるので逆効果です。
自分なりの努力・プロセスにしっかり意味を感じていくだけでよいのです。
このようにしてまず自分の感情を整えていきます。
ただし、これだけでは無味乾燥な関係を変えることはできません。自分をいくら整えても「パートナーとの関わり・繋がり」が切れてしまっていては何の意味もないからです。
ここで使うメソッドが「感謝」です。
感謝は自分の感情を整え、素直さ、謙虚さをもたらしてくれ、自分自身をとても自然で本来あるべき姿に戻してくれる効果があります。
私達が普段使う「ありがとう」という言葉には、そんな大きな効果があるんですね。
この感謝をパートナーに伝えるのもいいですね。
パートナーになにかしてもらったら「感謝」を伝え、その態度で示し続けていくのです。もちろんパートナーの存在に感謝してもいいですね。
今、自分がいる環境にも一つ一つに感謝していくことも効果的です。
その一つ一つに「ありがたいなあ」との気持ちを感じ、それを届けることができたなら、心は安定し、時には安心感・安らぎを手に入れられることでしょう。
ここでココロはつながりを感じはじめます。
それは「自分が何かを与える」と考えるのではなく「自分が何かを受け取る」ことによって実現できるのです。
■自立せざるを得ない事情を受け入れる
先程も書きましたが、「自立」を強めれば相手の価値が見えなくなってしまいます。
どれだけ素敵なパートナーを得ても、つながりを切り、自立を強めて生きれば、その魅力や価値を感じ続けることは難しいのです。
このような状況は、自分自身の内面に「自立を強めざるを得ない事情」があることを暗に示しています。
ついつい自立的に生きてしまい、人とのつながりを切り離したり、自分に厳しくしたり、否定的な目で自分や相手を見るようになること。それ自体が「内面的な事情」が存在している証になります。
「何故自分はこんなにも自立を強めて生きているのだろう?」
そう考えて自分に興味をもつことが、パートナーシップを更に成熟したものにしていく秘訣です。
しかし、そこにはその人なりの「深い事情」が隠れていることが多いものですよ。
例えば
・自分の腕っぷし一つで生き残ることが唯一の成功法だった
・自分なりに頑張っていかないと不安に押しつぶされそう
・人に依存することがどうにも怖くて難しい
・何もしていないと感じるだけで自分の存在価値を感じなくなるような気がする
・自分がしっかりしていないと、全てが壊れてしまいそうな、そんな不安が消えない
ホント人それぞれ千差万別です。
そこにはその人なりの必死さ、懸命さがあります。だから、そういった事情自体を否定する必要はありません。
むしろその事情を抱えている自分を受け入れて、そう生きるしかなかった自分と向き合って理解していくことが必要なのです。
もし、その事情を自ら理解し受け入れたなら、きっと分かるでしょう。
あなたがどれだけ自立を強めていても、そのあなたを選び、そのあなたに寄り添う人がいた、という事実に。
■天国の扉は二人で開く
私達の世界にはこんな格言のようなものがあります。
「パートナーに与えるものがなくなったとき。最後にパートナーに捧げるものは『自分の苦悩』である。」
自分自身の苦悩、葛藤などをパートナーに捧げるだけの勇気を持つことなのです。
もし、あなたのパートナーが真実のパートナーであれば、喜んでその捧げ物を受け取り愛してくれるでしょう。
もちろんあなたも真に愛する人がその苦悩を捧げてくれたなら、喜んでそれを受け入れ、愛するでしょうね。
この体験は、今までに感じたことがないような歓びと安心感、本当の愛の力強さをを感じることになるでしょう。
ココロのより深い部分でパートナーを愛し、パートナーに愛される感覚を感じるのです。
ここからはじまる関係性こそが「より成熟した真のパートナーシップ」。
だから「天国の扉は二人で開く」と表現しています。
決して一人では開けない関係の始まり。それは「無味乾燥な関係」の向こう側にあります。
この向う側にあるものを「本当のロマンス」と呼んでいます。互いに自立し成熟した者同士のみが踏み入れることができる「相互依存の世界」なのです。
(完)