相手に失礼な対応をし、怒らせてしまった。
お客さまからのクレームが社内に届いた。
こちらのミスで相手方にご迷惑をかけてしまった。
私たちは人間ですから、ある程度は、いくら気を付けていても「失敗」は起こります。
とはいえ、トラブルや失敗が起きること自体は仕方がないとはいえ、
「起きてしまったことは変えられない事実」であり、なかったことにはできません。
そしてビジネスは「人と人との関係性」で成り立っていますから、
「相手がどう感じるか」で、その後のビジネスでの関係性にも大きな影響を及ぼしてしまうことも、避けては通れない事実です。
では私たちは「失敗」や「間違い」「クレーム」を起こしてしまった場合、
もう挽回するチャンスはないのでしょうか?
せっかく積み上げてきた信頼を、失うことしかできないのでしょうか?
実は私が長く身を置いていた飲食業の世界では、こんな教えがあります。
「クレーム(失敗)はファンになってもらえる、最大のチャンス」であると。
私自身もその教えに背中を押され、たくさんのミスをチャンスに変えてきました。
もちろんミスをすることは減らすべきだと思いますし、上手くいかなかったこともあります。
でも、ミスをしてしまった瞬間から「大丈夫、ここからでもやれることがある!」と思えるだけで、
トラブルが大きくなることはずいぶんと減ったのです。日々の失敗への不安も減り、失敗自体も減りました。
今日はそのコツについて、お話したいと思います。
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たとえばあなたが発注ミスをしてしまい、先方に迷惑をかけた。
こんな時は何事にも、まず「どんな風に謝罪するか」がとても大切です。
こちらの事情はとりあえず横に置き、まずは「誠心誠意、お謝りの言葉を伝える」これ、とても大切です。
どれだけ間をおかず口からさっと「謝罪の言葉」が出るかどうかで、状況はまったく変わってきます。
言葉で書くと「な〜んだ、そんなこと」って思われるかと思います。でもこれが、本当に難しいのです。
どうも「これには事情があるんです」と言い訳がましくなったり、
「私だけが悪いわけじゃないです」と逃げたくなったり、
「みんなやってますよ」と世間様のせいにしたくなったり、
内心「そんなことで怒るなよなー」って思いながら謝ってしまいがち、なのですよね。
こういった態度は周りからすると「悪いと思ってないでしょ」と感じさせるため、
相手の怒りに更に火をつけてしまうことになりかねません。
2次クレームの多くは、だいたいここから始まります。
テレビの謝罪会見などでも見かける光景のひとつ、でもありますよね。
ですからできれば避けたいところなのですが
「いやいや、でも、私は悪くありません」と、ついやってしまう方が多いようです。
素直に謝れないときほど、自分が悪いと思い責めている状態
では私たちはどうして「素直に謝れない」のでしょうか。
素直に謝れない人は本当に「私は悪くない!」って思っているのでしょうか?
実は私たちは「申し訳ない」「私のせいだ」と罪悪感を感じれば感じるほど、自分を責めて罰します。
マジメな人であればあるほど、たくさん自分を責めてしまいます。
でも、自分を責め続けるのはとてもとても苦しいため、
そのうちに「いやいや私は悪くない!OOのせいだ」と自分以外の物事のせいだ、と思いたくなってしまうのです。
ですが、トラブル発生時にはその「私が悪い・だから自分で自分を罰します」というプロセスの先にある
「今できるベストを尽くそう」という意欲、つまり
「先方の気持ちに寄り添いながら、今、自分が出来ることをやる」ことが求められるわけです。
とくに先方が怒っている場合は「分かってもらいたい」という気持ちが根っこにあります。
その気持ちにちゃんと耳を傾けて、まずは「聞く」ことからやってみてください。
先方の話に耳を傾け、丁重にお謝りした後には、
きちんと事情説明をしたり「相手」に対して感謝の気持ちを伝えられるとベストですね。
とくに感謝の気持ち「相手のおかげ」で私が学んだこと・会社として学べたこと、伝えてみてください。
人は他人に対して怒ってしまったとき、たとえ正当な理由があると分かっていても「罪悪感」を感じやすいのです。
感謝の一言は、その場では伝わらなかったとしても、きっと先方の心に残ることでしょう。
実は私たちの日常においてトラブルが起きたとき、
素直に謝罪してくれる人、真摯に自分の言葉に耳を傾け、大切に扱ってくれる人というのは、
実はあまり多くはいないのが現状です。
だからこそ、こちらが「ミスや失敗に誠実に対応する」ことができたとき「ファン」は勝手に増えていくのです。
あの人だけは、誠実に対応してくれた、って。
失敗やミスは少ないに越したことはありませんが、そういうときほど信頼関係を深めるチャンス。
良かったらお試しくださいね。
参考になれば幸いです。