罪悪感と自己肯定感

今回は、大切な存在をなくした時の喪失感についてお話しさせて頂きたいと思います。

私も死後の世界があるのかどうかはわかりません。
魂というものが本当に存在するのかどうか、それも証明する事もできません。

しかし、自分の胸のうちには大切だった人や愛すべき存在はずっと残っています。
何十年経った今も思い出します。

皆さんはどうでしょうか?

私のように思い出す人もいればそうじゃない人もいるかもしれません。
そこは人それぞれですから、正しいも間違いもありません。

でも、あなたがその人の事で悔やめば、その人の人生は悔いしか残らないものになってしまいます。
例えば、助けられたはずなのに、見殺しにしてしまったとあなたが思えば、その人の人生は苦しみに満ちただけのものに映ってしまいます。
あなたが悲しければ、悲しいという気持ちがあの世に旅立った大切な存在にも投影されてしまうって事なんですね。

あなたは、大切なあの人、愛すべき存在を悲しいままにしておきたいですか?
それともあの世でも幸せに微笑ませてあげたいですか?
あなたが悲しければ、その人との人生も悲しかったものになってしまう。
もちろん実際にそんな時だって本当にあったかもしれません。
でも同時にその人とともに過ごした楽しかった時だってあったのではないでしょうか?

勿論大切な存在を失い、悲嘆している人に、そんな簡単に幸せだった頃を思い出せなんて簡単に言えるはずもありません。
私自身、子供の頃に大切にしていたペットを自分の不注意で死なせてしまった時、悲しくて悲しくて涙が止まりませんでした。
家族が見守る中、家の庭に彼のお墓を作り、埋葬して毎日手を合わせては、自分が犯してしまった過ちに苦しみました。
今となってはそれが何年続いたのかも思い出せませんが。

でも、もし立場が逆だったとしたらどうでしょうか?
自分の死を乗り越えられずに悲しみ苦しみ続けている人に、その悲しみを乗り越えて欲しい、幸せになって欲しいと願うのではないでしょうか?

そして後年、父を病気で無くした時もそうでした。
お坊さんから
「故人の為に、どうか泣いてあげてください。
その人を思い出してあげる事でその人は残された者の思い出となって生き続けることができます。
でも、忘れて欲しく大切なことが、もう一つあります。
それは、残されたあなた方自身の為にも泣いてあげて欲しいという事なのです。
悲しい、さびしい、その人を失った痛みを荷物のように抱え続けるのではなく、少しずつでもおろしていってあげてほしい。」

つまり、これって自分の中に残っている辛い感情を解放して上げることと一緒じゃないかなぁと思うのです。

私達カウンセラーは、カウンセリングの現場でしばしばご相談に来られた方に
「辛くて流れた涙は、あなたの未完了の感情を表すものなのです。
だから、我慢しないで、外に出してあげてくださいね。」
と声をかけることがあります。
それは感情を解放してやることで心に受けた傷が癒されてゆくからなんです。
感情は共鳴するといいます。良いものもネガティブなものも。

もし天国があったとしたら、自分が罪悪感を手放し幸せを選択する事で天国の相手も死後の世界で幸せになっていいんだと許可を出しやすくなるんじゃないかなぁと思うのです。
逆にずっと苦しみを抱えたままだと、相手も自分のせいでこんなにこの人を苦しめているんだという罪悪感を背負ったままとなってしまいます。
だからあなたが助けられなかったと悔やんで自分を責めていることがあるとすれば、その罪悪感を手放して行く事が相手を助ける事にもなるという事なんですね。

実はペットを自分の不注意で死なせてしまい何十年もたった今も
「ごめんね、辛かったでしょう?痛かっただろう?どんなに苦しかっただろうか?俺の不注意で大好きだった君を死なせてしまった。ほんとにごめんね」
と思い出すたびに自分が犯してしまった過ちから罪悪感に苛まれます。

でも、こんな風にも思います。
彼(オスだったんですけどね)も、ここまで私が苦しむ姿をみるのは辛いんじゃないかと。

大好きだったペットには、例えあの世であっても幸せでいて欲しい。
口で言うほど簡単じゃないけれど彼のためにも自分を許すということ、自分を肯定してやることにコミットしていくことが必要なんだと。

そして彼はその小さな体で命の大切さと言うものも教えてくれたように思います。

これを読んで下さっている方の中にも、内容は違ったとしても長く自分を責めては許せずに苦しんでいる人がいるとしたら、そんなあなただからこそ相手の苦しみもきっとわかってあげられるのではないでしょうか。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦関係などの男女関係から、親子や対人関係、ビジネスまで幅広いジャンルを扱う。 問題の中からお客様の輝きを見つけ出すことをモットーに、「どんなことも許容される”安心感”」を与えるカウンセラーである。 粘り強く問題と向き合う姿勢から「非常に丁寧に話を聞いてもらえる」と評価が高い。