知らず知らずのうちに身につけてしまう「役割」。その心理学的な意味と有効な活用方法を考えます。
義務と役割という言葉があります。社会生活において気が付くとよくこの言葉に当てはまる状況に身をおいていることがあると思います。
親としての役割、夫としての役割、妻としての役割、部下としての役割、上司としての役割と自分を限定させて、義務と役割に縛られます。
夫として自分はこうすべきだ、妻として私はこうすべきだと、ある規則にそって自分を生きさせます。
その役割は自分を縛っていきます。まるでロープで自分をぐるぐる巻きに縛っていくようなもので、自分を縛れば縛るほど窮屈になってきます。これはストレスになります。
『役割』を演じている時の心理は、『期待の心理』(“期待する心理学”参照)と並ぶトップクラスのストレスの原因になる心理です。
ストレス対策の為にも、今回は『役割』についての心理を勉強しましょう。
役割とは?
役割とは、”こうあるべきだ”という姿に自分の身をおき、その規則どおりの生きるということです。
“こうあるべきだ”という心理の裏側にあるものは、”こうではいけない”という心理です。すなわち本来の自分ではなく、役割を演じることによって自分の何かを証明しようとして意味します。
例えば、過去に挫折や失敗があると失敗感から、良い人の役割、いい子の役割、役にたつ人の役割を演じることによって自分の価値を認められようとします。
この行動は”やりたくてやっている行動”ではなく失敗感を埋める為に認められる為に行動をとっているわけですからこの役割からくる行動は、補償行為となります。(『埋め合せで手に入れられるもの』 ~補償行為~参照)
役割で得られるもの
役割とは、”自分がやりたくてやっている”のではなく、自分の何かを証明しようとする補償行為ですから認められてあたりまえ、認めたれないときはダメな自分が証明されてしまいます。
この役割を繰り返し行っているとがんばっても、がんばってもキリがありませんから、やがて疲れきって消耗してしまいます。
役割で行っている行為は、よいことをしていても、補償行為をおこなっているときは、動機が間違っていますから得られるものは少なくなってしまます。
逆に消耗と疲れきった感じがのこってしまいます。
まさに義務と役割という言葉がぴったりですね。
さまざまな役割りとその罠
役割にはたくさんの種類があります。良い人の役割、役に立つ人の役割、依存の役割、自立の役割、さまざまな役割があり私たちはしらずしらずのうちに、この役割をひきうけていることがあります、そしてその役割の罠に落ちることがあります。
今回は、役割の罠に落ちないようにさまざまな役割の一部をご紹介します。
世話する人の役割
昔、誰かを傷つけてしまった、助けを必要としている人を助けられなかった経験から自分が悪いという罪悪感を覚えます。
この罪悪感から、誰かを助けようと”世話をする人の役割”を引き受けます。
この”世話をする人の役割”は罪悪感という動機から役割を引き受けていますから、100人中99人を助けても、残りの1人を助けられなかった時に、罪悪感をとても感じてしまいます。
マスコットの役割
自分の家族を楽しませることにより、家族の雰囲気をよくしよう、救おうとするマスコットの役割というものがあります。
マスコットの役割は家族のムードメーカであります。
家族を楽しませるムードメーカであるマスコットの役割は家族から好かれます、 しかし、マスコットの役割を引き受けていると、『楽しませているから愛されているのだ』ということを感じて自分が愛されていると思えません、それどころか自分という存在はちっぽけだという思いを感じてしまいます。
役割からのストレス、疲れから抜けるには
義務と役割に縛られるとやらねばいけないことばかりが増えていきます。
“こうではいけない””こうしなければいけない”という感じです。
自分がやりたいからではなく、やらねばいけないことだからしていると補償行為になってしまい疲れてしまいますから、ここでは、”自分はこんなことがやりたい”という自分のものごとや、行動することを選択することで役割からのストレス、疲れから解放されます。
役割で行っている行為自体は、良いことを行っていることは、いっぱいあります。ですが行為の動機がまちがっているとせっかくのがんばりも疲れるものだけのものになってしまいます。これはもったいないです。
自分が行っている役割のパターンを気づき、せっかくの行為を実りあるものにすることを提案します。