考えてしまうこと~思考という逃避~

僕達は不安があったり、恐れがあると、ついつい考え込んでしまいます。そんなときの心の持ち方をサポートします。

「考えても仕方ないんですけどね・・・。ついつい、考え込んでしまうんですよ・・・」
という声はカウンセリングを通じてとてもよく耳にする言葉なのです。

僕達は不安があったり、恐れがあると、ついつい考え込んでしまいます。
そして、何とかいい方法はないか?何がいけなかったのか?この状況を抜け出すにはどうしたらいいのか?などを一生懸命考えたりしますね。

時には何とかこの状況が変わってくれないものかを期待したり、空想してみたりします。

でも、考えても考えても実際に答えが出ることってなくて、余計焦り、不安になり、恐れが強くなり、またまた考え込んでしまい、飽くなき悪循環に突入してしまいます。

じゃあ、どうして答えが出ないのか?というと、それが不安や恐れといった感情から逃げるための言わば“逃避行為”になるからです。

考えている間は、その不安と向き合わずに済みますし、恐れを見なくても済みますね。
“逃避”が目的だから、考えても考えても答えは出ないんですね。
むしろ、答えが出たら困るんです。
逃げ道がなくなってしまいますから。

そして、もう一つ考え込むことによって、実際に行動しなくても済みますね。
「考える人」はじっとしていますから、その問題を解決するための具体的な行動を起こすには至らないんです。
ここでは「失敗したらどうしよう」「成功させる自信なんてない」などの感情が動きます。

「何とかいい方法はないだろうか?」って考えること自体は悪いことではないでしょう。
でも、恐れや不安を隠すために考えている時って、実際に「こうしてみたらどうだろう?」というアイデアが浮かんだとしても、実行に移すことが出来なかったり、「いや、失敗するに違いない」とアイデアそのものを否定してしまうようになったり、何かしら出来ない言い訳をたくさん探してしまいます。

カウンセリングでは、僕も色んな提案をさせて頂くんですね。
その人になるべく合わせる形で簡単なものから、ちょっとチャレンジングなものまで。
そのときに「うーん・・・。それはわかるんですけどね・・・。でも・・・」という、後ろ向きな反応を頂くことがあります。

この「でも・・・」というニュアンスの裏に「やりたくないんです・・・」という気持ちがひしひしと伝わってきたりします。

そして、現実は目の前でどんどん酷くなっていってしまうのをただ指をくわえて見ているだけになってしまうこともしばしばありますね。
気持ちだけが焦って、行動が伴わないときって、本当に気分は最悪です。
自分をめちゃくちゃにしてやりたい衝動に駆られるし、相手や周りの人に辛く当たってしまうことも少なくありません。

そうすると100%確実で、間違いがない方法が欲しくて、一生懸命「やり方」を考え始めます。
でも、多くの問題って心が作り出すものですから、心が不安を感じている以上、その感情が処理されない限りは、「100%確実」と言われてもやっぱり不安になって疑心暗鬼になってしまうものです。
そして、不安や恐れがある分、そんな方法でも失敗してしまうことが多くなりますから、今度は誰かのせいにし始めてしまうこともあるでしょう。

出来ない理由、やりたくない理由は山ほどあるでしょう。
大人になれば、上手な言い訳や逃げ道を見つけることもできます。
ですから、この不安や恐れを解決するんだ・・・という気持ちが無いと、問題を乗り越えて行くことってとても難しくなってしまうんじゃないでしょうか。

そんなあなたのための対策

一人でやらないこと
例えばご主人の浮気問題で、例えば失恋のご相談で、多くの人は一人で抱え込んでしまうことが少なくありません。
仲のいい友達に聴いてもらっているとしても「あんまり暗い話をしたら、その友達に迷惑かけてしまうから」と辛いときにこそ、思いとどまってしまうことも少なくないようです。
そして、一人でじっと考え、本を読んだり、占いに頼ったりしながら、解決策を見つけ出そうとします。

でも、気付いて欲しいのは、今の問題をあなたは作りたくて作っているんだろうか?というところ。
きっと自分なりに頑張って、自分なりにベストを尽くして今に至ったんじゃないかと思うんです。
でも、その結果が浮気だったり、失恋だったり、事業の失敗として出てしまったんじゃないでしょうか。
もちろん、足りないところやミスもあったかもしれません。
でも、完璧な人はいないし、ミスをしない人だっていないでしょう。

そんな自分が頑張ってやってきて今の問題にぶち当たったとしたら、それは新しい方法や考え方を学ぶときなんですよね。
だから、今までのやり方や今の自分には答えが無いって、素直に受け入れて見ることも大切だと思うんです。
それは卑下したり、恥じるべきものではなく、新しい学びの機会が与えられているわけですから、むしろ、自分が今も成長しているって証なんです。

だから、誰かに助けを求めてみることを僕は一番お勧めしたいんですね。
余計なプライドや見栄はできるだけ早く捨ててしまうのがいいでしょう。
そして、素直に学んでみよう、受け入れてみよう、と思うことが大切です。

僕は浮気問題で悩んでいらっしゃる奥さんには「一人で頑張らないで下さいね。お子さん達と一緒に家族として、この問題を乗り越えて行こうって思って下さいね。子ども達から勇気と強さを受けとってみましょうよ」ってお話することが多いんです。

失恋の悲しみに打ちひしがれる方には「あなたの友達が失恋して辛い状態にあるとき、どうしてあげたいって思うかな?一緒にいてあげたいって思うんじゃない?だとしたら、きっと友達もそう思ってくれるはずだよ。信頼して今の辛い自分の姿も見せてあげたらどうかな?」と。

一人で頭を抱え、膝を抱えている理由はたくさんあるけれど、それでも、まずは一歩、素直な心で誰かに助けを求めてみてください。

感情と向き合ってみること
不安な気持ちや恐れを感じたいって人はあまりいませんよね。
だから、誰もが嫌で逃げ出したくなるものです。
それで、考え込んでしまったり、何かでごまかそうとするんですが、それでは物事は解決しないもの。
ここではその不安な気持ち、恐れ、焦りなどの感情と向き合って行くことが状況を変えるきっかけになります。

なかなか難しいように感じてしまうものだけどね。

実は、先ほどお話したように子ども達や友達、僕らカウンセラーに自分の今の状況をお話したり、一緒にいる感覚を感じることが、一番簡単な感情と向き合うことになるんですね。
そうして、ただじっと聴いてもらったり、共感してもらったりすることで、心はその感情を感じ始め、少しずつ痛みを手放し始めます。

不安な気持ちや自信の無さを感じたことの無い人ってあまりいないでしょうから、辛い自分を見せたときに「分かってあげたい」と思う人、「うん。分かるなあ」と感じる人は少なからずいらっしゃるはず。

もし、その勇気がまだ無いときは、今の気持ちをノートに書き綴ってみてもいいでしょう。
パソコンでもいいけれど、出来れば手書きの方がお勧めですね。
僕はカウンセリングなどでは出来事ではなく、その日の気持ちだけを書き綴る「ココロ日記」をお勧めしているんです。
日々の気持ちを確認するために。

そうして、自分の感情を感じてみることにチャレンジしてみてください。

どうしても考えてしまうのなら・・・。
2つの方法をご提案しましたけど、これをすぐに行動に移せる方は、きっと素直な方で、問題を上手に解決できる方だと思うんです。
でも、多くの方は、ここでも「うーん。分かっちゃいるんだけどな・・・」なんて感じてしまうことでしょう。

不安や恐れを隠すために考えてしまうときって、考えるポイントが自然とずれてしまうことが少なくありません。
そうするとだんだん自分がどうでもいいことを必死に考えているような気持ちになって、虚しさに襲われたりもするでしょう。

そんなどうしても考えてしまう・・・という人は、次のポイントを考えてみることにしてみるといいでしょう。
これらには必ず答えがあります。
その答えは一つではないかもしれないけれど、必ずあります。
だから、このうちの一つを選んで徹底的に考えて見てください。

・自分という人間は、どうしてこの問題を必要としているんだろう?
・自分という人間は、どうしたら前向きに考え始めることができるんだろう?
・もし、解決したくないとしたら何でだろう?
・もし、誰かに助けてもらうとしたら、誰がいいだろう?
・自分は何を一番恐れているんだろう?どうなることを一番不安に思っているんだろう?

最後に・・・。

僕らカウンセラーのお話。

カウンセリングをしていると、こんな「考え込んでしまうんです」というお話が出ることってすごく多いんですね。
でも、僕は提案はできるけど、あなたの代わりになってそれを実行するってことは出来ないから、歯がゆい思いをすることもたくさんあるんです。
(僕のカウンセリングを受けられてる方で「あ、これって私のことやわ」って思われた方は多分違いますからご安心下さいね)

でも、そんな経験を積めば積むほど、僕の手元にある“方法”は増えて行きます。
その方法をキャッチするアンテナもどんどん磨かれていくような気がします。
「どういう方法なら、この方がすっとチャレンジできるようになるんだろうか?」ってことを延々と思い巡らせて、それが僕のわくわく・どきどきに繋がるわけですから当然かもしれないけど。

そうするといろんな方と出会い、お話を聴いても、たいてい余裕で受けとめられるようになります。
「まだまだ手はあるな・・・。こういうプロセスをこんな風に進めたらうまいこと行くやろ」と思えるから。

だから、悪循環にはまって考え込んでしまう前にぜひ僕達を使って欲しいな・・・と真摯に思うんです。

今、何か壁にぶつかってしまっている方。
きっと、まだまだ手はありますよ。
諦めないで、行きましょうね。

この記事を書いたカウンセラー

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