ハードワークをする人の心理

ハードワーカー。
この言葉にどんな印象を持ちますか?
仕事ができて格好いいビジネスパーソン?ぼろぼろに疲れ果てているサラリーマン?
ハードワーカーの中には、働くことが大好きで、自分の時間を多く仕事に割きたいと思い、実際にそうしている、充実したビジネスライフを送っている方もいらっしゃいます。
そんな方はいつもパワフルでいきいきと仕事をしていて、プライベートも充実していたりします。
しかしながら、そうでない方も実はとても多くいらっしゃるようです。

後者はなぜ、ハードワークをしているのでしょうか。
また、そのような状況に陥る人にはどのような特徴があるのでしょうか。

働くことは大切なことです。
そして、目標達成するときなど、ハードワークは、時には必要な場合もあるものですが、このような方の中には、どんなに疲れていても、しんどくても、頑張り続けていないと落ち着かないとか、居心地が悪くなるという方もいらっしゃいます。

心理的に問題を抱えていると、人は何かに頼ることが多くなったりもします。
例えば、煙草、お酒、ギャンブル、異性、等々。
これが、過剰に対象に頼ることになると、依存症と呼ばれる状態になったりもします。
ハードワークは、すごく頑張っていて、一見、良いことのように思われますが、これら依存の対象の一つで、他に依存できるものがない人が陥ることがあります。

ハードワークをしてしまう人の背景には、「無価値観」と「罪悪感」等が隠れていたりします。
「自分は駄目だ」とか「自分は役に立たない人間だ」という思いを隠したり、打ち消したりするために、休みも取らず、夜遅くまで働き続けるのです。
これを心理学では、「補償行為」と言います。
何かを補ったり、償ったりする行為です。
ハードワークを心底望んでやっているわけではないので、どれだけ頑張って仕事をしても、小さな喜びはあったとしても、大きな喜びや幸せを感じることはなく、疲れ果ててしまいます。
何かの埋め合わせのためにやっていることなので、何かを手に入れられたとしてもそこに喜びはないからです。
気持ちがいつも張りつめてしまって、心や身体を壊すことすらあります。
また、仕事に邁進することで、パートナーシップや家族等、大切な人たちに影響を及ぼすこともあります。

恐ろしいことに、このようなタイプの人がハードワークをして、上司や周囲から良い評価をされたとしても、これだけ頑張ったから評価されたのだ、認めてもらえたのだ、と解釈し、頑張らない自分では駄目だとか、そのままの自分では価値がない、という思いを一層強化させてしまうのです。
そうして頑張ることを止めてしまうと価値のない自分に戻ってしまうという恐れが生まれ、頑張ることが益々止められなくなり、頑張るしか方法がなくなってしまうのです。

とても辛い状態ですよね。
ハードワークをしている本人だけでなく、その周りの大切な人たちにとっても切実な状況です。
解決のためには、どうしてハードワーカーになってしまったのだろうか、という視点が必要です。
どんな思いを隠したり、打ち消したりするためにこんなにも働いているのでしょうか。
心の奥底に、どんな思いや感情があるのでしょうか。
身を削るくらいに頑張っているのだから、そこにはちょっと自分にとって嫌なものが隠れている可能性があります。

ハードワーカーになる人は、きっととても頑張り屋さんだったり、誰かのために一生懸命だったり、様々な問題を一人で乗り越えてきたりするタイプが多いと思います。
そこは充分に認めてあげて欲しいなと思います。
そして、ハードワークが、自分の喜びのために行なっている行為なのか、そうでないのか、一度改めて振り返ってみて、そして、もしそれが自分の喜びのために行なっているのではないと気付いたときには、この状況を作り出している心の中を少し見てみることが大切なようです。

この記事を書いたカウンセラー