残業、休日出勤、家まで仕事を持ち帰る・・。
そんな「ハードワーク」が嫌で転職をした筈なのに転職先でもハードワークに陥ってしまった。
こういったご相談をカウンセリングでは結構お伺いします。
転職には相応の労力やリスク、勇気が必要ですから
せっかく転職したのにまた同じ状況に陥ってしまうとしたら
「こんなはずじゃなかった」という思いが付きまとってしまったり、気持ちが沈んでしまったりしてしまいますよね。
そして今の職場にもフラストレーションが溜まり、さらに転職を繰り返してしまう。
そんな負の連鎖が起きてしまったりもします。
こういう場合「社会のせい」「転職先のせい」だと「ハードワークをしてしまう原因」を「勤め先」だけで探しても、問題解決の糸口が見えてこない場合も少なくありません。
というのも、このパターンの本当の課題は「ハードワークを課してしまう自分の心」であることが少なくないからなんです。
今日はこの心理を「無価値観」からひも解いていきたいと思います。
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「状況や環境が変わっても、自分にハードワークを課してしまう」要因はケースバイケースですが、
基本的にハードワークの状態は「人一倍、たくさんの仕事を引き受けている」ことが多いです。
つまり「要領が悪い」「仕事ができない」からハードワークになっているわけではなく「自分のキャパを超えて引き受けてしまっている」ことが多いのですね。
ということは単純な話としては、その「引き受けすぎている分」を人の頼んだりしながら手放せばいい訳なのですが・・・それが「出来ない」状態にあるのがこの心理パターンのポイント。
心理分析としては「なぜ私は、そんなに引き受けないといけないと思っているのか?」にフォーカスすることになりますね。
さてさて、ここでちょっとイメージしていただきたいのですが
長年働いていた職場の仕事量が急増!会社も人手が足りないと判断し求人をかけました。
そこで数人雇うことになり、自分に部下が出来たとしましょうね。
部下は、頭も切れ飲み込みが早い。ぐんぐん頭角を表していく・・そんな中。
「うわ、自分も頑張らなくっちゃ。うかうかしていられないぞ」って焦りを感じちゃう上司の方って多いと思うのです。
もちろんその焦りが「向上心」となり、相乗効果を見込める場合も多いのですが
「向上心」よりも「後輩に場を脅かされる怖れ」のほうを強く感じ過ぎてしまうと、後輩の足を引っ張りたくなってしまうことってあるのですよね。
後輩に意地悪なことを言いたくなったり、相手の失敗を責めてしまったり、マウンティングしちゃったり・・。
この「場を脅かされる怖れ」の正体は「無価値観」
つまり「自分にはそれだけの価値がない」という感覚です。
私たちは「無価値観」を感じると「足りない価値」を何らかの形で補おうとします。
無価値観を感じれば感じるだけ「補わないと、ここにいられない」という強い焦りや不安、怖れを感じてしまうのです。
この状態を打破するためにできることといえば「相手を引き下げること」か「自分が相手より結果を出すこと」
要するに「相手に勝たなければいけない」と考えてしまうことが多いのですが
先ほどの例のように「相手を引き下げる」方法をとるのは良心が痛む。出来ればしたくない。
そんな優しい方ほど「だったら、無価値観を感じなくて済むぐらい自分が結果を出せばいいだけ」と「ハードワーク」の道を選択してしまうようなのです。
人に迷惑かけるぐらいなら、自分が頑張ればいい。
人一倍、いや、10倍ぐらい頑張ればいいだけ、と自分を追い込んじゃったりするんですね。
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こういう場合は「自己価値」を正しい位置に引き上げていくことが大切になってきます。
カウンセリングでは元になっている出来事などを通して、誤解を解いていくことが多いですが
実社会で取り組んでいくといいのは「人に頼むこと」「NOをちゃんということ」
自分も本当は嫌なのに、みんなが嫌がる仕事を引き受けたり
明らかにキャパオーバーなのに断れなかったり。
まわりに助けてもらえる人がいないように感じちゃったりするときには、
「私はこれを引き受けなければ、ここにいられない」という無価値観の罠にはまっているんだと思ってみてください。
そして、少しづつ「人に頼む(人を頼る・信頼する)ことにチャレンジしていきましょう。
人一倍頑張ることを手放し、人に頼ることが出来るようになってくると「私はそれでもここにいていい存在なのだ」と理解することができます。
人一倍頑張り続けていると見えない世界を見ることが出来るようになるのですね。
とはいえ、それでずっと頑張ってこられた方にはとても勇気のいる選択だと思いますのでね
カウンセリングもご活用くださいませ。
心優しいあなたが大好きな仕事を楽しんで取り組める日が来ますように。
応援しています。