コミュニケーションの基本(その1)

普段から大切だと分かっているけど難しいコミュニケーション。その基本とエクササイズをお送りする1回目(全3回)。

コミュニケーションが大切ってことを感じていらっしゃる方は多いと思うんです。
でも「どうやるの?どういう風にすればいいの?」という面については、あまり学ぶ機会が少ないんじゃないかな?って気がします。

カウンセリングはそれ自体がコミュニケーションですし、その練習の場ですから、
そこから見つけたコミュニケーション上達の秘訣をお話したいと思います。
ただし、そのすべてをお話するには本1冊分くらいにはなってしまうと思いますから、エッセンスを感じていただければ幸いです。

コミュニケーションの種類

コミュニケーションというと色々な意味がありますけど、一般的には“会話”を意味することが多いですよね。
ですから、ここではコミュニケーションというのをそれに限定させてお話を進めさせていただこうと思います。

僕はコミュニケーションには大きく「出来事・考えを伝えるもの(思考的なコミュニケーション)」
と「感情・気持ちを伝えるもの(心のコミュニケーション)」に分けられると思ってます。

そして、ここがポイントなのですが、多くの男性にとってコミュニケーションは前者で、女性にとってのコミュニケーションは後者だったりします。
だから、ご主人からすると自分の意見や出来事を話して「我が家はコミュニケーションがきちんと取れてる」と思っているのに、奥さんからすると「私達はコミュニケーション不足なの」と感じてしまうすれ違いが多発します。

逆に奥さんが心のコミュニケーションをしようとすると、ご主人から「お前は何が言いたいんだ?」と詰問されてすくんでしまうことにもなるわけです。

また、自立して大人になればなるほど、この思考的なコミュニケーションが増えて行きます。
ビジネスの場ではほとんどがそればかりですし、心のコミュニケーションは休憩時間を除けばなかなか入り込む余地がありません。
そして、何よりもこの思考的なコミュニケーションをしていても、イマイチ「繋がってる」という感じがしないんですね。
だから、よく話をする間柄でも仕事場では“仲間”になりにくかったりします。

日頃、何かと寂しかったり、虚しかったり、「友達は居るんだけど本当に信頼できる人って誰だろう?」と感じてしまうことがあったとすると、その多くは心のコミュニケーションが不足していると見てもいいかもしれません。

僕もかつては「表面的な話をする人達は周りにたくさんいるけど・・・」と孤独感を強く持っていました。
だから、僕のカウンセリングでは、そのコミュニケーションの大切さについてより時間を割いてお話させて頂いているのかもしれません。

ですから、今回はコミュニケーションの中でも“心の”コミュニケーションについてお話を進めていきましょう。

心のコミュニケーションとは?

僕は自分が感じている気持ちや感情を表現することを心のコミュニケーションと呼んでいます。
言葉、態度などで伝える、言わば“感情表現”ですね。
これは、自分の感情をオープンにして人に伝えることで、相手との繋がりを感じ、安心感や信頼を創っていくことができる大切な要素になります。

ところが、コミュニケーションとは一般的に相手がいて初めて成り立つものですね。
感情や気持ちを伝えるといっても、相手に気を使ってしまったりして、感じたことを自由に話せる機会ってあまりないんじゃないかと思います。

カウンセリングでは、僕に気を使う必要はありませんし、僕も「出来るだけ感じたことをありのままにお話して下さいね」とお願いしていますから、多くの方が「こんなに話をしたのはいつ以来だろう?」っておっしゃってくれます。

(とはいえ、やっぱり多少は気を使ってしまうんでしょうけどね)
逆にいえば、それくらい自分の感じたことを自由に話す機会が少ないってことだと思うんです。

それに、知らず知らずのうちに抑圧や気遣いや我慢を繰り返して、自分自身が何を感じているのかが分からなくなってしまうことだってあるでしょう。

カウンセリングでも「そのときどんな気持ちだったんでしょう?」とお聞きすると「うーん・・・。
それがイマイチわからないんですよね。うーん。」と答えられる方も少なくありません。

そういう方はまずは、自分の心との繋がりを取り戻して行くことを提案しています。
日常的には映画を観たり、小説を読んだりするのがお勧めですね。
(出来れば女性が主人公のモノ、女性が書いたモノがいいかな)

でも・・・。ここに注意しましょう。

こんなお話がありました。
ある奥さんがカウンセリング後に心のコミュニケーションの大切さを痛感して、早速旦那さんとチャレンジしてみたそうなんですね。

そして、自分が感じていることを素直に伝えてみよう、と思って普段感じながらも我慢していること、自分の気持ちをありのままにご主人に伝えてみたそうです。

そしたら、自分の口からは文句や愚痴ばかりが出て、まるでご主人を責めているようになってしまい、結婚して以来の大喧嘩になってしまったそうなんです。

自分自身も気分悪いし、ご主人も怒ってるし、「やっぱり、あたしにはそんなこと出来ないんだわ」と再び堅くドアを閉めてしまいました。

僕達は普段から知らず知らずの内に自分の近い存在に不満を溜め込んでしまっているものですから、いきなり心のドアを開けてしまったとしたら、最初に出てくるのはそんな怒りや不満の感情ばっかりになるんです。
それに、相手としても、あなたの不満や怒りを受けとめられる準備が出来ていないことも多いですよね・・・。

ですから、自分の心を大切にすると同時に、相手の人の心も大切にして頂きたいな、と思うんです。

お勧めエクササイズ

そういう意味でお勧めしているのが『心の10分トーク』。
最初は5分でも構いません。
お互いに話をすることを同意した上で、一方が10分間、自分の気持ちを自由にお話します。
相手はひたすら目を見ながら「うん、うん」と一生懸命聴きます。
そして、10分経ったら交代します。
但し、このエクササイズでは色々と注意事項があります。
特に注意していただきたいのは次のポイントです。

・必ずお互いに同意しておくこと。
=>積極性がないとこのエクササイズは意味がなくなるので。

・「私は寂しいの」「私は怒ってるの」という風に必ず「私は」で始めます。
=>「私は」がないと、相手は自分のせいのように感じるから・・・。

・相手の言葉に口を挟んだり、さえぎったりしない。
=>自由に話せません。

・相手が話した内容についてはコメントしない。
=>気持ちを話すことに注目するため。相手の話で怒っているのなら、
その怒りを言葉で表現してみましょう。

・話し手の目や動作を見て、耳を傾けてあげる。
=>話す、と同時に、聴いてもらう、という経験がとても大切です。

・必ずお互いにやってみること
=>一方的になってしまわないように。

・答え、結論は出さないこと
=>気持ちを話すことが大切ですから、答えは必要ありません。

終わった後のエクササイズ

これが終わった後はしばらく時間を置いてお互いに次の点を話してみましょう。
30分から1時間程度間を置くのがいいですね。
カップルカウンセリングでも上の手法を取り入れるんですが、可能な限り休憩をはさむようにしています。

・自分が話をして気付いた点
・相手の話を聴いて気付いた点
・やってみて良かったことを最低3つ。

この終わった後のエクササイズがとても大切です。

#次回の僕の講座では「ネガティブな気持ちをどう伝えるか?」についてお話します。
お楽しみに!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

退会しました。