仕事や人生、ライフスタイルのステージチェンジにともなう相談が増えています。
なかでも私が気になるのが、仕事による慢性的な疲れを抱えた大人たちです。
「もう(会社を)辞めてしまいたい」と思うほど疲れているのに、休むことを選べずに病欠や休職、退職が頭を過ぎる方が少なくないようなのです。
あなたは自分が「疲れている」ことをどれくらい自覚できていますか?
疲れを感じたときのリセット方法を持ち合わせていますか?
今回は、積極的に休みを取り入れながら、本音の自分を生きるためのヒントをお届けします。
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◇なぜ、主体的に休む決断ができないのだろう?
仕事に対する責任感や使命感をもって取り組んでいる。そのようなポジティブな姿勢にはOKが出せても、個人的な理由で休暇をもらうことには罪悪感を感じてしまう人は少なくないようです。
参考までに「休むことはできない」と考える理由の代表的なものは「仕事や今のポジションを失ってしまうのではないか」と思っていらっしゃるようなんです。
実はこれ、まったくの誤解なのですが、この思い込みが怖れを誘発するものですからちょっと厄介です。
また、ワーカホリックに陥りつつも、「休むことができない」と思い込んでいたとしたら、本当に必要な選択を罪悪感と思い込みでなくしてしまうのですから、それはかなり危険な状態です。
◇休めないと思うときの深層心理と脱出のためのポイント
仕事に限らず言えることですが、私たちは、本当にほしいものが手に入らない(と思う)とき、嫌悪感や失敗感を持つようになります。
これまで情熱を注いできたものにも心を閉ざし、愛することができなくなっていく、と言ってもいいかもしれません。
そんなときは神様を恨みたくなるような気持ちになるかもしれませんが、それは一種の癇癪であり“怒り”でもあるわけです。
何もかも捨ててしまいたくなる衝動は、そのような癇癪から来るのです。
恋愛や夫婦関係でも、似たような感覚を覚えることがあるかもしれませんね。
心がそのような状態のときは、本人はすっかり忘れているかもしれませんが、実は「本当にやるべきことがあり、それを長い間サボっている」状態といえるのかもしれません。
ここでは“休む”ということがそれに当たるわけですが、休むこと自体を自分に禁止しているわけですから「やってない、できてない」ことがいつも気になり、それがまた罪悪感につながります。
罪悪感は、自分は罰せられるにふさわしい人間であると、自分からいいものも欲しいものも取り上げてしまう心理ですから、今度は「大切な何かを失ってしまうのではないか・・・」と考え、ますます怖れを強くしてしまうのです。
また、怖れはこのように意識を散漫にしますから、次第に私たちの本音を隠してしまうようになるのです。
まずは自分が何を怖れているのか、ハッキリさせておくことがおすすめです。
何を怖れているかを明らかにすることで、逆説的ですが、本当に大切にしたいことが見えてくるものです。
そして、現実(実際)と怖れが描く妄想(恐怖のストーリー)とをごちゃ混ぜにしないことが肝心です。
うまく行っていないと感じる現実があるなら、「自分の観念や常識が制限になっていないか?」と考えて、整理してみるのもいいかもしれません。
◇決意へのヒント
カウンセリングでは、このような思いや考えをお客様と一緒に整理していくのですが、本当に大切にしていきたいこととしてよくお聞きするのは、会社の仲間だったり、家族のことであったりということがとても多いです。
今回の件に限らないのですが、本音を隠したり誤魔化したりせず、きちんと掘り下げてみていくことで見つかる答えは、多くの場合、人に対しても自分に対しても“愛”のある答えなんですよね。
私たちが悪循環の思考のトラップにハマってしまっているときにはなかなか気づきにくいことですが、たいていの管理職や経営者は、これまで一緒に仕事をやってきてくれていた仲間が退職していくことを大変さみしく、残念に思うものです。
仕事に対する誠実さや責任感、情熱をもって取り組んできた方こそ陥りやすい心理的なトラップです。
長期的な視点で見れば、退職するところまで自分を追い込むより、少し長めのリフレッシュ休暇をいただく方が、自分へも会社へも負担は軽くてすみます。
今後、同じように責任のあるポジションにつくことになる後輩たちのためにも、自分の今の本音である「疲れた」「休みたい」を受け入れて、自分を真に休ませて安心させてあげること、信頼を取り戻すことができたなら、いずれあなた自身も、そのような申し出に理解のある上司になれることでしょう。
今回の提案は、ちょっとした自己改革につながるかもしれません。
なぜならば、今までにない選択をしてみる必要がでてきますから。
それは、今までにない選択をするから新しい道が開けるともいえます。
まずは仲間を信頼すること。その上で良いお手本としてのリーダーシップをとってみてくださいね。
あなたがその気になりさえすれば、したいことはできるし、やりたいことは叶うはずです。