心理学の世界では、
今あなたが直面している問題は、与えることによって抜け出せると言われることがあります。
これを初めて聞いた時は、どこかピンと来ませんでした。
困っているのは、自分で、
迷っているのも、自分。
出来ない!足りない!と思っているのに、
そんな自分が何を与えたらいいのか?
皆さんもそう思われるかもしれません。
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先日、7歳の甥っ子と3歳の姪っ子、二人を連れてプロ野球観戦に行きました。
父親である僕の兄が仕事で来られないためのピンチヒッターです。
たくさんの観客の熱狂と雰囲気に興奮したのか?動き回って、暴れまわって、自らも野球選手のようにその身体中のエネルギーを爆発させていました。
子供って本当に疲れ知らずですね。
そこで持ってきていた双眼鏡を出したのですが、甥っ子と姪っ子でその双眼鏡を取り合うんですよね。
子供からしたらドラえもんのひみつ道具のように物珍しいアイテムなのでしょう。
「僕が先に見るー!」『私も見るー!』と取り合いです。
子供は本当に些細なことからケンカになってしまうものです。
お兄ちゃんの方が力も強く、双眼鏡を奪ってしまって、姪っ子の方はギャンギャン泣いてしまいました。
野球会場の大人達の応援の声に匹敵するような泣き声です。
「困ったな?!」と思いながら、ジュースをあげたり、お兄ちゃんに双眼鏡を貸してくれるように頼んだり、あの手、この手を使っても泣き止みません。
お母さんが抱っこしてなだめるも、止まりません。
しかし、さすが母親と言うところでしょうか。
『ねえ、ねえ、◯◯ちゃん見て?!
頑張れ!頑張れ!(野球選手の名前)!
今度はホームラン打つかな??
一緒に応援しようよ?!』
そう言って、選手の応援を始めたのです。
今まで母親の全神経は自分に向いていたのに、
なぜか誰かも分からない野球の選手を応援し始めた母親。
そのことに、きょとんとしながらも、母親の意識の先が気になる様子。
何をしても泣きやまなかったのに、
じ?っと、バッターボックスを眺めています。
子供の手を取り一緒に応援する母親、
姪っ子は母親の見よう見まねで、
発音できずに微妙な名前になっている選手の名前を呼びはじめました。
野球のルールもちゃんと分かっていないだろうに、
『頑張れ?!』という言葉が応援するってことだけを理解しているようで、
バッターボックスを凝視しています。
その応援が通じたのか?その選手が外野前にヒットを飛ばします。
『わぁ?!やった?!』と喜ぶ母親、
つられて一緒に喜ぶ姪っ子!
さっきまでの涙顔から満面の笑みに変わっていました。
甥っ子もそこで、なぜか双眼鏡を姪っ子に渡します。
でも姪っ子の興味は双眼鏡にはすでになく、ずっと手をパチパチと叩いていました。
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僕はこの光景を見て、改めて、『与える』ことって、コレなのかもしれないと勝手に深く頷いていました。
私たちは問題の渦中にいる時に、その問題ばかりを見てしまいます。
この世の全てをその問題を通して見てしまいます。
問題の中に溺れてもがいてしまいます。
双眼鏡が欲しくて、泣きわめいていた姪っ子もそうかもしれませんね。
しかし、そこから意識を外に向けてみると、
そう、溺れていた問題の中からふと顔を見上げてみると、
落ち着きを取り戻していきます。
外に意識を向けること、
それは誰かに与えたり、誰か応援したり、
自分以外のことへ意識をフォーカスすることですよね。
そうすると、たとえその問題はクリアされていなくても、
意識の方向が変化しているので、問題を問題として取り扱わなくなっていきます。
双眼鏡を返してもらったのに、何も気にしていない姪っ子もそうでしたよね。
与えることは、あなたの意識を外へ向けることで、問題からあなたの顔を外に引っ張り出してくれます。
迷ったり、悩んだときこそ、
今誰を応援できるだろうか?今の自分で何を与えられるだろうか?
自分の問題や内面から外へと意識をフォーカスさせる時なのかもしれませんね。