男と女の高い壁

男性はネガティブな気持ちを抱えていては生きられないと思うらしい

こんにちは 平です。

女性の読者のみなさまから、よくいただく質問の一つに、「男性は、なぜあんなに気がつかないのでしょう?」というのがあります。

男性は“左脳的”とよくいわれますが、すべての情報を理論的に割り切ることに関しては、よく訓練されています。

一方、女性のみなさんの得意な“右脳的”な処理、つまり、ものごとを感情的に処理することに関しては、ほとんどわけがわかっていません。

つまり、悪気はないのですが、気づかないのです。

 

たとえば、仕事場で、A子さんとB子さんが課長の座をめぐり、争っているとします。

男性的で左脳的なものの考え方をすると、2人のうち1人しか課長になれないのだから、どちらがなったとしても、なれなかったほうには割り切ってもらわないと仕方ない。

そして、次のチャンスに向かって、がんばってもらいたい」というぐらいで終わってしまいます。

しかし、女性的で右脳的な考え方では、「課長になったほうも、なれなかったほうに気をつかうだろうし、なれなかったほうは嫉妬もするだろうし、傷つきもするだろう。その傷をどういたわり、癒すかということに重点を置くべきだ」ということになります。

言い換えると、男性的なものの考え方の土台には“競争”というものがあり、「いかにこの競争に勝つか」ということに男性はものすごくエネルギーを使いますし、ゴールも競争に勝つことにあるのです。

ところが、女性的なものの考え方では、どうやって競争に勝つかではなく、「うまくやっていくには、どうすればいいか?」がいちばん大事なことであるわけです。

男性的なものの考え方とは、「みじめな思いをしたり、屈辱感を感じたりしないために、がんばる」というのが前提になっており、失敗したり、負けてしまったりしたときにどうすればよいのかという準備はまったくできていません。

歴史小説がお好きな読者にはわかりやすいかと思うのですが、たとえば、戦国時代、負け戦が続いているという状況のとき、男性というのは、勝ち目のない戦いでも、「降伏するぐらいなら戦って死ぬ」ということを選びます。

負けて生き残るという発想はあまりないわけです。もっと言うならば、「負けたという、みじめで屈辱的な感情を感じながら生きるぐらいなら、死んだほうがまし」というぐらい、ネガティブな気持ちとともには生きられないと思っているわけです。

一方、女性的なものの考え方では、「生きているかぎり、よいときばかりでなく、どうしようもないときや、いやな感情にとらわれてしまうときもある。そのとき、どう対処することが、その感情を変えていくのに必要なのか」という発想になるわけです。

 

一つ、具体的なお話をしますと、男性はパートナーの女性と「ケンカにならないようにするには、どうすればいいか?」という部分にエネルギーの大半を使います。

一方、女性は、ケンカになったときですら、「どのように私を理解し、愛してもらえるのか」というところをとても大事に見ています。

そして、感情的になり、ケンカになってしまったという時点で、男性はものすごく敗北感を感じ、もうエネルギーは残っていないのです。

女性からすると、二人の考え方の違いに架け橋を架けるべく、このケンカを通じて有意義なコミュニケーションをしたいと思っているのに、その時点で、男性はすでに落ち込み、ヘコみ、コミュニケーションなどできる状態にもうないのです。

そんなときの彼の口から出る言葉は、「なぜ、わかってくれないんだ。こんなにがんばっているのに」というのがいちばん多いのではないでしょうか。

女性側は、なんとか私の事情や立場をわかってもらいたいと望んでいるにもかかわらず、その余力が彼にはもうすでにないわけです。

男性は、女性の意向を聞かず、ほとんど一人で「きっと、こうだろう」と推測し、判断をしたところから、すべての計画をつくり上げることが多いのですが、いってみれば、すでにその時点で間違いが存在するのです。女性からしてみれば、「聞いてくれない」わけです。

そして、男性は、できるだけ自分の感情にふれないようにものごとに対処するので、そのやり方は、女性陣には「冷たい」と感じられることも多いようです。それはまるで、仕事のコミュニケーションのやり方を男女関係や家庭に持ち込むがごとくなのです。

そこで、私が女性のみなさんにいつも提案しているのは、「こうしてくれて、とてもうれしい」とか、「こう言ってくれたことが、とても胸に響いた」など、感情を伝えるコミュニケーションを男性に教えてあげてほしいということです。

男性の多くは、感情というものと怒りというものが同じだと考えています。感情を表現するということは、怒りを解放し、怒鳴りまくることなのだと誤解しているのです。

実際は、うれしい、楽しいといったポジティブな感情表現を嫌う男性はいないはずですが、とにかく男性というのは感情的なコミュニケーションが苦手で、なかでも、女性が聞きたい「愛している」、「素敵だね」といった感情表現は、日本の男性にとっては高いハードルといえそうです。

では、来週の『恋愛心理学』もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。